チームの形は出来つつあるも結果が続かず
アウェイでゴールデンウィーク連戦の最終日。
しかも、暑くなってきたこの時期に13時キックオフと、いじめかと思うような時間設定。
Jリーグは試合のクオリティ面を考えて色々とやっているようですが、こういった部分はどうなのか。
それよりも遠方のアウェイゲームはアウェイサポーターの集客も狙ってお金を落としてもらうことを優先し、早い時間にするしかないのか。
ジェフ云々関係なく、いろいろと考えてしまいますね。
町がJリーグクラブを持つ価値というのも、大事にしなければいけないとは思いますが…。
■ラストパスがつながらず
前線の形を注目していたジェフですが、なんと森本が負傷。
ケンペスが1トップ気味に、1.5列的なタスクで大塚がケンペスの下に。
また、ベンチからはナムも外れました。
前節途中起用したことからもナムへの期待は高いと思うのですが、また怪我をしてしまったんでしょうか。
一方で山口智がスタメンに戻り、大岩とCBコンビを組んで右SBはキムに。
また怪我明けの山中がベンチに復帰。
なんにせよ、主力級の選手に怪我やコンディション不良が多いですね。
前半5分。
智からのパスを受けた左SB中村が、相手を抜き切らず鋭いクロスを前線に送り右SHの田中が飛び出してヘディングシュート。
クロスはピタリと合いましたが惜しくも枠外。
しかし、田中はここ数戦、右SHの位置から左サイドのクロスに反応して、積極的に飛び出そうという動きを見せています。
クロスを上げる中村も田中をしっかり見ていますし、チームとしての狙いなのでしょう。
ジェフがパスをつないでサイドからチャンスメイクを狙い、山形は守る時間が長くなる展開。
両ボランチがパスをつなぎつつ、左サイドではサイドライン際を走る中村をうまく使い、右サイドでもチャンスメイクを狙う。
悪くない流れだったと思います。
もう少し田中、キムなどの技術力があれば…と思うシーンはありましたが、その分2人は走力の部分やフィジカル、守備面で頑張ってくれる選手ですしね。
しかし、なかなかラストプレーが合わない状況が続くと、前半20分からは山形もチャンスを作っていきます。
今年から石崎監督が就任した山形は、石崎監督らしいサッカーになっていると思います。
基本的に粘り強く守って、ボールホルダーを囲うプレスをベースに、カウンターを狙う。
遅攻ではサイドで多人数を絡めてショートパスをつなぎつつ選手を押し上げ、中央で1トップをデコイにしトップ下のディエゴの得点力を活かす展開。
しかし、そのディエゴがまだ3ゴールというところが、チームの誤算なのでしょうか。
まぁ、それはFWの得点が少ないジェフも、同様のことが言えるのでしょうが。
それでもその時間帯をしのぐと、再びジェフがボールをボール時間帯に。
しかし、その後もジェフはクロスや縦のパスがなかなか合わずに、決定機を作れません。
もう1つパスがつながればビックチャンスというシーンは何度も作るのですが、その大事なパスが決まらず0-0で折り返します。
■町田起用が成功するも…
前半動きの悪かった山形。
後半からペースを上げてくるかなとも心配していたのですが、そんな雰囲気もなく。
前半同様にジェフが攻める時間が長い展開となります。
しかし、攻め込むジェフですが、前半同様パスミスが多い状況に。
また、攻撃陣も非常に淡白でしたね。
シュートで終わるのは悪くないものの、無鉄砲なシュート選択は相手にボールを渡し、山形の守備陣を休ませるだけだし、逆に味方にとっては気持ちが落ちてしまう可能性もある。
粘り強くプレーできれば崩せる相手だと思うのですが、強引に前を向いてボールをロストしたり、無理な縦パスを通そうとして失敗するなど、プレーに落ち着きがなく、あせりを感じる印象でした。
その難しいプレーが成功するクオリティを持っていればいいのですが、そうではないのならシンプルな選択をしていかないと。
もしかしたら、連戦や暑い気候の影響もあって疲労があり、"頭も疲れている"ような状況になっていたのかもしれませんが…。
消耗戦が不安視される中、後半15分ころからはジェフも動きが落ちていきます。
特にボランチの運動量が落ちてしまって、攻守にポジショニングの遅れなどが目立ちました。
山形の運動量も落ちてきたので、結果的に大きな穴にはなりませんでしたが、見ていて「怖い」シーンが増えていきます。
そこでジェフは後半25分、田中に変えて運動量のある町田を投入します。
中盤で動き回ってボールを受け、攻撃のリズムを作る役割と守備面での貢献を期待されたのでしょう。
そして、その町田がうまくボールを受けたところから、大塚が抜け出し、最後は中村があわせてゴール。
ようやく前半から繋がらなかったゴール前でのパスがつながって、先制ゴールを上げます。
このまま波に乗っていければ…と思っていたジェフですが、そこまでの体力はジェフに残されていなかったのか、勢いをものに出来ません。
後半39分には、明らかに疲れの見えていた兵働に変えて田代を投入。
守備固めを図ります。
しかし、後半41分。
左サイドで途中出場した比嘉がボールを受けカットインし、そのままミドルシュート。
これが決まってしまい、1-1にされてしまいます。
比嘉がボールを持って前に仕掛けようという時に、山形の中央から選手が斜め左前に飛び出していきました。
これに対して田代がつられてしまって、中央がぽっかりと空き、そこに比嘉がカットインしてやられてしまいましたね。
対面のキムとしては斜めに走りこんだ選手へのパスコースを消しつつ、田代にマークを受け渡そうとしていたと思うんですが、そこに田代がなかった。
山形としては、田代投入前から中央から斜めに出ていって、ジェフのボランチを釣る動きをねらっていたような印象もあったので、狙い通りだったのかもしれません。
連携ミスといえば連携ミスなのでしょうが、ジェフは基本ゾーン気味の守備。
キムは人についていきやすいとはいえ、キムがボランチの位置を、田代が右サイドの位置を守るような約束事にはなっていなかったと思います。
そう考えると、田代がつられすぎたように思いますし、マークをぼかしつつももう少し中にいるべきだったのではないでしょうか。
キムとしては兵働だったらあの位置に残るだろうというところがあったのかもしれませんし、田代の守備意識が高すぎて逆に開いてしまった可能性もあるのかもしれません。
相手のシュートも素晴らしかったですけど、あの位置でフリーで撃たれればやられる覚悟をしなければいけないと思います。
この失点によって、1-1での同点で試合終了となってしまいました。
■出来つつあるチームの形
厳しい環境下での試合となったジェフですが、むしろコンディションでは山形を上回っていたのではないかと思います。
コンディション問題はジェフの大きな課題だっただけに、コンディション調整に成功したとみるか。
それとも、コンディションで勝っていただけに、勝てなかったことを悔やむべきか。
悩ましいところですね。
実際試合内容を見ても、勝てる試合だったと思うだけに、悔しさの方が今は強いですが。
色々なことがありましたが、最終的に今期のチームの形は試合を通じで出来つつあると思います。
選手1人1人の役割も明確になってきましたね。
健太郎が左右にパスを散らし、兵働が縦へ展開するボランチコンビ。
中村のクロスとそれを活かす谷澤のコンビ。
左サイドからのチャンスメイクに田中が飛び出す展開。
山口智と大岩のビルドアップにキムのフィジカル…。
前線の2人はまだ固定化されていないものの、パワーのケンペス、ポストと飛び出しの森本、チャンスメイクの大塚に運動量と繋ぎ・守備の町田と、それぞれに個性はあります。
現時点では今回の試合のように、そこをうまく使い分けていくことが、ベストなのかもしれません。
守備に関してもここ2試合はトップ下の大塚が相手ボランチの位置まで下がることで、前線からの形はそれなりに出来ていたと思います。
ただし、失点が多い問題は変わらず。
後方での局面での守備の改善が求められるのではないでしょうか。
失点シーンでは田代、キムの連携も問題でしたが、全体が下がり過ぎていたことや岡本のポジショニングなども気になる部分でした。
まぁ、あの環境下では、ラインが下がるのもある程度は仕方がないかなとも思わなくもないですが…。
それとこの試合では縦パスやクロスなど、大事なボールがつながらないことも大きな問題になってしまいました。
出し手の質と受け手の質、両方の問題でしょう。
この試合では田中、谷澤、ケンペス、大塚などがタイミングよく前に出ていくシーンがありましたが、前に出ていくプレーだとどうしてもスピードの乗った状況でプレーするので、トラップやヘディングが収まらなかったり。
逆にパスを出す側も動いている対象を狙いますから、うまく合わなかったり。
この辺りは技術力の問題ですね。
考えてみれば、昨年終盤も町田を中心としたハイスピードのパスサッカーが出来つつあり、試合内容も良かったと思うのですが、その分決定力やラストプレーの精度の課題が大きく印象に残ってしまいました。
それに近いものを山形戦では感じたところがあります。
良い内容だったけれども、勝てない。
縦パスのミスや守備の穴の問題など、ゴールに近いところでの質の問題が出てしまう…ということになれば、個々にかかってくる部分が大きくなるはずです。
チームの形も出来つつありますし、当面はこのままいくのではないかと思いますので、それによって連携面で改善される部分もあるとは思いますが、連戦中はゴール前の質の問題も大きく感じましたので、そこは選手1人1人が日々の練習から頑張っていくしかないのでしょうね。