0-2から巻き返しての逆転勝利

 昨日のエントリーに関して多くの反応いただき、ありがとうございました。
 ファン・サポ周辺に関しては、表立っては書きにくい部分があります。
 監督・選手・フロント批判というのは書きやすくネット上でも当たり前のように見るものですが、ファン・サポが対象となると反発も予想されますからね(笑)
 ただ、ファン・サポに関してはプロのライターなどは書けないテーマでしょうし、誰もが口を出せない状況が続けば良くなる兆しも見えてこないかもしれない。
 そして、自分たちが直接肌で感じるからこそ言える部分もあるはずです。


 最も伝えたかった部分をまとめると「いくらなんでもサポの雰囲気が悪すぎるんじゃないの?それが観客減にもつながっているんじゃないの?」とし書いておらず、それに対する詳しい考察も解決法すらもないアバウトなもので、文章としてはいかがなものかと思います。
 ただ、どう捉えられたかはともかく読まれる方それぞれに感じる部分はあるのではないかと思いますし、もしこれが新たな問題の提起になるとすればアバウトな方が良い部分もあるかもしれない。
 ファン・サポ界隈もチーム同様に「誰が悪い」、「ここが悪い」という特定の話をすると、視野が狭くなってしまってそこだけで話が完結してしまう可能性もあります。
 実際、全体的な雰囲気だとか空気感の問題となれば、単純に解決できるものではないでしょう。
 チームの立たされている状況と同じように問題は根深く、まずは問題を把握して少しずつ解決に向けて考えていくしかないのではないかと私は思います。


 個人的には昨年から負のオーラを感じる雰囲気があったからこそ、『FUN』というクラブのスローガンは悪くないんじゃないかなと思っていました。
 それが実現できるかどうかは別としても、選手もサポも「楽しもう」という意識が欠落しているのではないか…という部分は、実際あるような気がしますし。
 まったく試合とは関係ない出だしになってしまいましたが、「フクアリ満員大作戦!」が一定の成果を出せたことも、この試合では見逃せないポイントですね。
■再三ゴールに迫るものの…
 ジェフのスタメンは前節と同じ。
 サブのメンバーが、戸島から町田に代わりました。
 戸島は身長は高いけど空中戦に強いタイプというよりはテクニカルなタイプのFWだと思うので、途中出場で起用するよりも本来はスタメンで活きるタイプなのではないでしょうか。
 しかし、町田の方もフラットな4-4-2だとトップ下のポジションはないし、SHには仕掛けられる選手を起用したいところだと思うので、難しい立場になっているように思います。
 町田も攻撃的な選手ですから途中出場なら得点が欲しい時に投入したいところですが、そういった状況で4-4-2からFWを一枚削ってまで4-5-1にするというのもどうなのか。
 かといって、他に攻撃的な選手もいないし…といったところでしょうか。



 試合序盤、ボールを持ち込んだのは群馬の方でした。
 ジェフはなかなか前節前半のような、プレッシャーがかからない。
 相手にパスをつながれ、簡単にゴール前まで持ち込まれてしまいます。


 ジェフのチャンスは前半18分。
 中村が低い位置で相手を抜き去り、そのまま持ち込んでアーリークロスを上げ、ケンペスがファーでヘディングでゴールを狙うも決まらず。
 しかし、この頃から試合はジェフペースに。


 前半20分にはキムが田中と1-2で抜け出して、スピードあるクロスを放つもニアに飛び込んだ森本には合わず。
 そのこぼれ球を中村が拾ってクロスを上げると、再び森本がニアで受け直そうとするもこれも決まらず。
 前半25分にも谷澤が左サイドで仕掛けて、森本に合わせるもゴールならず。



 群馬は立ち上り飛ばしてきていたのか、早くも動きが落ちてきた印象でした。
 ただ、プレスは緩くなってきたものの、後方に人数をかける守備でジェフとしてはやりにくいところがあったように思います。
 前半37分にはCKからキム、山口智が連続でシュートを放つもGKにはじき出され、中村がクロスを上げケンペスがゴールを狙うもこれもゴールならず。
 チャンスはあるものの、なかなか得点が生まれない展開が続きます。


 すると前半40分、群馬久々の攻撃。
 群馬の得たCKから、ボールがジェフの右サイドに流れてスローイン
 青木孝太スローインしボールを受け直し前に出て言った動きに対して、大岩がついていけず簡単に前を取られてしまいます。
 フリーとなった孝太は、そのままボールを持ち込んでゴール。
 群馬の先制となってしまいます。
 昨年末一度は群馬を契約満了となり、再契約となった元ジェフの孝太。
 今日はキャプテンマークをまいてのプレーでしたが、顔つきも凛々しくなっていたように見えました。
■後半に3点奪って逆転
 得点を奪ってから流れは群馬に。
 後半に入ってからもジェフは運動量が落ち、攻守の切り替えも非常に遅くなっていきます。
 そして、後半11分。
 右サイド後方でボールを奪ったキムがそのまま持ち上がるも、後ろからボールを奪われて、前方の青木孝太へ展開されます。
 孝太はドリブルで大岩に仕掛け、そのままシュート。
 いったんはじき出されるも、瀬川が拾って群馬が追加点を決めます。


 キムの判断も良くなかったとはいえ、ああいった状態でボールを奪われる場面は、周りの選手に問題がある場合が多いと思います。
 まず、それまでの場面でもそうですが、ボールを奪っても周りの動き出しが非常に少なく、パスの出し所がなかった。
 加えて、後方から相手選手が狙っているものの、誰もそこへ声をかけない。
 キムに声さえ通れば簡単に蹴るだけで済んだシーンですから、本当にもったいないシーンでした。



 しかし、その2分後。
 ジェフ中村からのFKにキムが飛び出して、ヘディングでゴール。
 これがなぜ失点直後にしか、決まらないのか…。
 流れの悪いチームというのは、そういったものということなのでしょうか。


 1-2になってからは、再びジェフが攻める展開に。
 後半17分には、田中の代わりに入った大塚のクロスにニアで森本が。
 その流れで得たCKを中央で、再び森本が飛び込むのですが、うまく合わず…。
 後半27分にも中村のアーリークロスを森本が合せるもゴールなりません。
 森本はゴールが非常に遠いですね…。


 ようやく同点ゴールが決まったのは、後半28分。
 谷澤から斜めのくさびのパス、ケンペスが簡単に落とすと、兵働がワンタッチで右サイドを走りこんでいた大塚にパスを出します。
 大塚はDFと一対一になり、相手を抜き切らずループシュートを選択しゴール。
 これで2-2に。

 

 同点に追いつくも、相手の選手交代もあって、流れは若干停滞状態に。
 ジェフがゴールに迫る回数はあったものの、なかなかゴールが生まれません。
 このままいつも通り失速か…とも思ったのですが、後半42分。
 途中交代の井出が仕掛けてFKを得ると、中村が蹴ったボールにケンペスが合わせてゴール。
 この日はそこまでチャンスはなかったですが、これまでの試合も含めると、ケンペスがようやく決めてくれました。


 これで3-2となりその後はジェフが守備に入ってしまって、今度ジェフの方が跳ね返す形。
 ちょっといやな守備バランスでしたが、なんとか守り切って久々の勝利ということになりました。
■集中力不足と決定力不足
 守備に関しては、試合前から前節よりプレスがはまらないかもなぁとは思っていました。
 磐田は4-5-1でフォーメーションが近い関係にあるから、個々に対面する選手に圧力をかける形でプレスをかけやすかったと思うのですが、群馬は3バック。
 実際の試合でも特に試合序盤は相手ボランチのところに誰が行くか不明瞭で、そこから展開されていたところがあったと思います。


 そこに森本がプレスバックするようになっていって、徐々に改善していった部分はあったかと思いますが、森本はDFラインも見なければいけなかったので、どうしてもボランチ対応が遅れがちに。
 かといって森本が初めからボランチを見るようなポジショニングをすると、3バックをケンペス1人で見なければいけなくなりますから、人数的に難しい。
 これが群馬にボールを持たれる時間が作られてしまった、1つの要因だったと思います。
 今後もフラットな4-4-2で戦っていくのであれば、3バックに対してどのように守るかというのは大きな課題ではないかと思います。
 90分通してコンパクトに守れればフラットな4-4-2でもいいのでしょうけど、それは難しいでしょうからね。


 ただし、失点シーンに関しては、それ以外の部分でやられてしまいました。
 どちらの場面もミスがらみ。
 やはり現在のジェフは、守備時においての集中力の課題を強く感じてしまいます。



 攻撃においては3点取ったにもかかわらず、振り返ってみると決定力不足を感じてしまうような展開だったかなと…(笑)
 群馬はペナルティエリアに数多くの選手が戻って、5バック気味のシステムで中央3人を中心にボールを跳ね返すディフェンス。
 ここ数年群馬が良くやってくる守り方で、ジェフとしてはそこをうまく避けるために、ケンペスがファーで待ってDFラインを引っ張り、森本がニアへ飛び込む形を狙っていたのではないかと思います。
 狙い通り森本がニアで合わせる展開は何度か作れたものの、結局その形からはゴールが生まれなかったですね。
 あの形で一度でもゴールが決まれば、今後の森本においても大きな自信になるのではないかと思っていたのですが。


 集中力や決定力というものは、どうやって改善していけばいいのか…。
 結局は選手1人1人の意識の問題なのかなとも思いますが、なかなか難しいですね。


 その代わりに、この試合ではセットプレーから2ゴール。
 中村のキックが大きな武器になった試合でしたし、セットプレーからのゴールは今後にも期待したいところです。
 また、大塚、井出と途中出場の若手選手が、伸び伸びとプレーできていたのも印象的でした。



 守備に関してはまだ課題も多く、攻撃も得点面では物足りない。
 正直相手の守備の出来も悪く、ジェフも反省点は多かったように思います。
 しかし、気温が高くなってきての3連戦目の試合で、どのチームも状態は厳しくなっているはずで、ジェフにもそれは言えることだと思います。


 その中で、勝利できたこと。
 しかも、0-2から巻き返しての逆転勝利ということで、これによって嫌な流れを断ち切れる可能性もあるのではないでしょうか。
 ビハインドになってそのまま落ち込んだり、同点になって満足してしまうような印象もあるチームでしたから、逆転勝利を果たせたのは精神的な面において大きい。
 もちろんこの1試合では、まだ「断ち切った」と断言できるものではない。
 でも、まずはこの一歩からですね。