フラットな4-4-2で戦った意図

 いつも通り土、日のブログはお休みしようかと思ったのですけど、考えてみれば讃岐戦からGW連戦ということで、予定を変えて更新。
 連戦でサッカーもたくさん観れて良い面もたくさんあると思うのですが、ブログを書く身としてはいつもと違って少ない回数で言いたいことをまとめなければいけないので、いつもとやり方を変えなければ…と思ったりします。
 …まぁ、普段が回数と文字数を使い過ぎているのでしょうし、実際はたいして変わらないのですが…(笑)
 一応次の更新は月曜日です。
■左からのチャンスメイクで先制
 湘南に大敗、富山に引き分けとなったジェフは、やり方をいじってきました。
 前線ではケンペスをスタメンに復帰させ、田中との2トップに。
 右サイドには谷澤、左サイドには井出が入って、町田はベンチに。


 右SBにはキムがスタメン出場。
 個人的にはキムをCBにして大岩を右SBにしてはどうか…と思っていたのですけど、考え方は近いのではないでしょうか。
 大岩はCBとしての連携ができつつありますし、それならそこは動かさずにキムを右SBで使おうと。
 結局昨年の左SBキムも渡邊の負傷もあってSBがいなくなって、スピードあるDFが他にいないということで、起用されたのかなと思います。
 今回もそういった意図だと思うのですけど右利きの選手なだけに、足元の能力や視野なども含めて左よりはプレーしやすそうに見えます。



 メンバーを変えたジェフは、4-4-2のフラットな3ラインに近い守り方をしてきました。
 守備ではSHがSBの前のスペースを、ボランチがCBの前を簡単には空けないように、ポジションに戻る意識をいつもよりも早くしていた印象です。
 攻撃では左SH井出がサイドに開いた位置でポイントになって、中村が積極的に攻撃に参加しつつ、井出も仕掛けを狙う。
 右サイドではキムがボールを持って押し上げていって、谷澤が前に出ていく形。
 いつもほどSHが中央に入って行くわけではないので、町田ではなく井出、谷澤といったドリブラーを起用したのでしょう。


 戦い方を変えてきたジェフですが、序盤はペースを握られます。
 特に元ジェフリザーブズのアンドレアによるパワフルなドリブルに、智を中心としたDFラインが苦しみ、ラインも下がっていきます。
 その上、セットプレーで相手にマークが外れることが多く、危ないシーンを何度も作られます。



 ジェフが落ち着いてきたのは、前半20分あたりから。
 新しい布陣に選手たちも慣れてきた印象があり、ボールをつなげるようになっていきました。
 また前節から長いボールも意図的に使っていこうというジェフでしたが、この時間から徐々にサイドチェンジも使えるようになっていっていきました。


 そして、前半35分。
 中村が切り替えして右足でクロスを上げて、大外の谷澤が先制ゴール。
 まずクロスを上げるまでの形が良かったですね。
 このシーンに限らず、井出が技術力を活かして相手選手を引きつけて、中村の前を空ける形が出来ていました。
 そして、ボランチに一度下げて、フリーの中村に展開しクロス。
 右足でのクロスは、中村の大きな武器になっているように思います。
 仕上げに難しい態勢でのシュートを、谷澤がダイレクトで放ちゴール。
 谷澤らしい難易度の高いゴールだったと思います。


 前半ロスタイムにも右サイド奥で勇人、谷澤が絡んで、勇人がセンタリング。
 勇人のクロスは合わなかったものの、ファーに流れてケンペスへ。
 ケンペスの足元でのシュートは決まりませんでしたが、これも決定的なシーンでした。
 こういった場面を確実に決めていかなければいけないのですけどね…。
■同点後、攻め続けるも…
 先制して折り返したものの流れはつかみきれず、相手に押し込まれる時間帯が続きます。
 なかなか相手の出所を抑えらず、ルーズボールへのリアクションが遅い上に、局面での競り合いに弱い。
 谷澤などが中盤で簡単に前を向かせるシーンも目立ち、人数をかけているだけ前節よりましなものの、守備が安定しません。


 ジェフはカウンター気味に攻め込む形。
 しかし、縦への展開は作れるものの、前半途中からのように落ち着いてパスをつないで崩す形は少なく、なかなかジェフペースにならない時間帯が続きます。
 守備の問題もあって、全体が間延びして、前線が孤立する印象も受けました。
 セカンドボールも拾えなくなりますし、守備の課題は攻撃にも大きなダメージを与えている印象です。



 我慢の展開かと思っていましたが、後半20分。
 ジェフの守備が耐え切れず、アンドレアに同点ゴールを決められてしまいます。
 相手のスローインからのボールに対して中盤で兵働が簡単に前を向かせて、大岩とアンドレアが競争に。
 大岩が並走したものの潰しきれずにやられてしまいました。


 兵働が簡単に前を向かせてしまったのも、若干後追いだったものの大岩が潰しきれなかったのも残念です。
 やはり対人守備が弱い、スピードがないと厳しいところがある…。
 兵働のああいったプレーに関しては、残念ながらポジション以前の問題だと思います。
 谷澤にせよ、兵働にせよ攻撃面ではいいものを持っているだけに守備がすごく残念で、起用の判断も難しくなるところがありますね。



 それ以降、ジェフは攻撃の回数を増やし、主にセットプレーから攻撃を狙う形に。
 失点直後にも山口智が惜しいヘディングをシュートを放ちますが、決まらず。


 後半30分に井出に変えて森本を投入してからは、より一層ジェフが攻め、讃岐が守る展開に。
 しかし、何度もチャンスを作るも、最後のところが決まらない。
 ケンペスや谷澤など決定的なシュートはあったものの1点が遠く、そのまま1-1で引き分けとなってしまいました。
■フラットな4-4-2の意図
 フラットな4-4-2にして、SHのボランチなどの帰陣を早くし、ひとまず守備で数的不利を作られないようにする。
 その守備の意図はここまで数戦の守備の課題を考えれば、非常にわかりやすいものだったと思います。
 その分、どうしてもプレスの面は弱くなるけれども、裏を取られ過ぎていることから、まずはシンプルにスペースを与えないようにということだったのでしょう。
 守備の課題は深刻でしたし、今季開幕からの4試合でそういった方向に近いサッカーをやっていたわけで、そこまで目新しいものでもなかったと思いますから、その狙いは十分納得できるものだったと思います。


 しかし、あまりにも個々の選手の局面での守備が弱い。
 自分のポジションに戻ってもただいるだけの選手が多く、簡単に相手に前を向かせてしまう。
 あれだけ守備ができる選手が少ないとどうしても試合が締まらないし、かといってスタメン以外のメンバーを考えても守りが得意な選手は決して多くない。
 4-4-2でフラットな状況でスペースを消しながら守るというのだから、我慢して丁寧に守備をこなさなければいけない試合展開だったと思うのですが、にもかかわらず結局裏を取られてやれてしまいました。



 攻撃においても4-4-2にしてクロスからの展開は増えましたが、前節もボールが回せるようになったのはサイドからの展開でした。
 前節序盤は運動量が足らずパスを回せなかったものの、少しずつサイドへフォローする選手が増えていって状況が改善した展開だったと思いますし、ゴールが決まった場面でも左サイドに人数が寄って、相手を崩したところからでした。
 今回はSHを初めからサイドに開かせて、その状況に近い状況をあらかじめ作った形ではないかと思いますし、それに関しても効果はあったと思います。


 当然その分相手のバイタルエリアを攻略するというプレーは減ってしまったわけですが、井出などの動きを見ても外から中への侵入を狙っていたのではないかと思います。
 そして、その動きによって、中村の前が開けられたことになります。
 右SBキムに関しては守備主体ということになりましたが、それも仕方のないところだと思いますし、守備での強さはそれなりに見せてくれたと思います。


 これによって中村がフリーでクロスを上げる形は何度も作れましたし、CKなどからのチャンスも多かった。
 確かにクロスでの攻撃に偏ってしまったところはありましたが、あれだけセットプレーのチャンスはあったわけですし、実際にケンペス山口智などは決定機があったはずで。
 欲を言えばパスワークによる確実な崩しをもう少し作りたかったですけど、現状の力では「すべて」を賄うのは無理があるのでしょうから、プレスにせよパスにせよ取捨選択をしなければいけない部分はあるはずです。
 しかし、あそこまで出来ていて2点目がとれないとなると、攻撃においては決定力のなさが響いた試合だったといっていいのではないでしょうか。



 ある程度試合前から覚悟はしていましたが、厳しい状況ですね。
 監督を変えればサポのガス抜きにはなるし、選手にも精神的な逃げ道やカンフル剤にはなるかもしれませんので、そういった視点を重視するというのであればそれも考えられるのかもしれません。
 けれども、結局それは一時の効果であり、本当の意味で良くなるのかどうかはわからない。
 上記した通り今回フラットな4-4-2を選択した意図も、十分納得できるものだったと私は思いますし、井出、谷澤、兵働などの選手起用も大きな失敗とも一概には言いづらいところがある。


 毎年のように苦戦している事実もあって、むしろ強化費は絞られベテランは更に厳しい状況になっている印象もありますから、問題の解決は簡単ではないでしょう。
 あれだけ守備のできない選手が多く決定力もない状況を見ると、選手個々の問題も極めて大きいと思いますし、監督交代などでは根本的な解決にはならないかもしれない。
 その上で監督を変えれば、またジェフは我慢できず、1人の監督と共に戦う道を捨てたのか…ということにもつながる。
 もちろんかといって私も現状に満足しているわけではないのですが、個々の選手たちの動きを見ると、残念ながら監督交代だけで一気に良くなるようにも思えないというのが実際のところで。
 本当に悩ましいところですね。



 次戦が直後にあるというのが、不幸中の幸いと言ったところでしょうか。
 あまり悩むことなく、次に進まなければいけないですからね。
 井出の仕掛け、中村のクロス、キムのフィジカル、谷澤のスペシャルなゴールなど、決して見るところがないわけではなかった。
 総合的に考えると今上げた選手たちのプレーも決して満足出来るものではありませんでしたが、全く何もなかったわけでもないはずで。
 今はそういった小さな部分を励みに、次の試合に進むしかないのかなと思います。