0-6によるショックを払拭できず
前節0-6で敗れたジェフ。
ここから再起して頑張ってほしいと期待した富山戦でしたが、選手たちは予想以上に前節の大敗による精神的なダメージをこの試合に引きずってしまった印象でした。
応援しているだけでもショックを受けた試合でしたから、その場で実際にやられた選手たちはよりきついものがあったということでしょうか。
こればかりはその場でプレーしている選手しかわからない。
けれども、だからこそその場でプレーしている選手たちにしか解決しようもない問題であり、それを試合の中で見せてくれればと思ったのですが…。
■運動量が少なくミスの多い前半
ジェフはキャプテンの山口慶が負傷し、代わりに勇人がスタメンに。
出場停止明けでキムに代わってスタメンに戻った大岩が、キャプテンマークをつけました。
また、前節途中出場した森本も負傷しベンチ外。
ケンペスもスタメンから外れて、代わりに田中を1トップで起用しました。
前半5分、富山のカウンター。
中盤でボールを受けた三上に兵働がつくものの簡単に縦パスを出され、その後三上が受け直し前線にパスを出されたところを天野が倒してFK。
ゴール前正面でのFKはバーに当たり、何とかこのピンチをしのぎます。
しかし、いきなり兵働の裏を取られる危ないシーンとなってしまいました。
しかも、兵働は2度振り切らていることになります。
それ以降もジェフは選手1人1人の動きが良くない。
運動量が少ないため、後方からのビルドアップでもパスコースが作れないし、CBからのパスミスも多い。
守備も局面での競り合いが甘く、対人で抜かれてしまうシーンも少なくない。
0-6による精神的な影響を、大きく感じた立ち上がりでした。
富山はジェフ対策をしっかりしてきて、サイドでは中村の前を空けず、中央ではCBに持たせてボランチの前まで戻って、ジェフの攻撃を封じてきました。
そして、そこからカウンター…ということで、もともと富山がやりたかったけれども、ここ数試合出来ていなかったサッカーをやってきた形だと思います。
ジェフ相手ということで、ここ数試合よりもやることが明確になった部分もあったのかもしれません。
なかなか運動量を上げられず、パスを前に繋げられない時間帯が続くジェフ。
田中にロングボールを出して、2列目が拾う展開しか作れず、単純なミスからのボールロストが目立ちます。
ようやく動きに改善の兆しが見えてきたのは25分頃。
サイドからのパスワークへのフォローが増え、前にボールを運べるようになっていきます。
前半37分には天野が右サイドを走りこんで相手を押し込み、谷澤が下がって受けたところからアーリークロス。
このボールが相手DFに当たり、兵働がこぼれ球を拾ってシュートもGKがセーブ。
前半ロスタイムには右からのCK。
ショートコーナーで天野が蹴りこむと谷澤がファーで合わせて、最後は田中がヘッドでゴールを狙うもバー直撃。
惜しいシーンを決めきれず、スコアレスで試合を折り返します。
■先に先制するも直後に同点
前半途中から徐々に良くなっていったジェフペースで後半がスタート。
パスワークで相手を押し込むと後半6分。
中村が左サイド高い位置でボールを奪ったところから、町田が相手DFラインとMFラインの間でうまくボールを受けます。
町田は左サイドに流れた田中にパスを出すと、田中はワンタッチで中央に走りこんでいた中村にパス。
これが通って中村がそのままシュートを放ち、先制ゴールをあげます。
全体を通して決して流れのよくなかったジェフですが、このシーンは良いゴールが生まれました。
高い位置で奪ったところからの攻撃。
相手の間を取った町田のポジショニング。
田中のワンタッチプレー。
そして、中村のスプリントと正確なシュート。
これだけ良いプレーが絡ませられることができれば、確実にゴールも生まれるということですね。
今後を考えても、攻撃においての1つのヒントとなるのではないでしょうか。
しかし、その直後にピンチ。
兵働の寄せが甘いところから縦にパスを出され、勇人、大岩と相手を潰しきれず、最後は中村の脇からシュートを放たれます。
せっかく良い流れから、あやしい雲行きに。
そして、後半10分。
相手GKからの流れで浮き球のボールが続く中、天野が不用意に前に出てクリアしようとするもボールを触れず、完全に裏を取られます。
カバーに行った大岩も相手を止められず、中央にパスを出されて最後は大西がミドルシュートで同点弾。
その直後に鈴木監督は天野に変えて竹内を投入。
珍しく懲罰的な交代をしたのでしょうか。
時間的も最悪の失点でしたし、この試合に限らず天野は失点に絡むシーンが目立っていましたので、仕方のない交代だったように思います。
キックオフから全体的にメンタル面での問題があったように感じていましたし、これで引き締めたいというところがあったのかもしれません。
ただ、変わって入った竹内も、その後何度も相手にやられてしまいましたし、右SBはやはり大きな課題となっている印象です。
失点直後には、大岩が相手のゴールキックを蹴ったボールが前線に流れて、町田がシュートを放つも枠外。
後半15分には左サイドでボールを奪ったところから田中が持ち出し、中央の空いたスペースに入った勇人がミドルシュートを狙いますが相手GKがセーブ。
得点シーンもそうでしたが、田中は本人がシュートを狙うシーンは少なかったですが、サイドに流れることで中央にスペースを作る形は何度かできていましたね。
後半25分には中村が右足でクロスを上げ、谷澤が合せてゴールか…と思いきやオフサイド。
ジェフもチャンスを作っていきますが、徐々に運動量が落ちていきます。
谷澤のオフサイド直後には竹内が大西にかわされてボールを持ち込まれ、その1分後にも竹内が競り負けてフリーでクロスを上げられるなど、右サイドを中心に攻め込まれてしまいます。
ゴール前はやられていなかったため相手の決定機とまではいかなかったものの、守備で締りが見られなかった分ダラダラとした展開になってしまいました。
苦しいジェフは後半20分に町田に変えて大塚。
後半30分には谷澤に変えて山中と、攻撃カードを切っていきます。
しかし、全体的な動きは改善されず、そのまま1-1で試合終了となってしまいました。
■0-6を引きずって戦えなかった
この試合に関しては、スコアや勝利以上に、内容が大事ではないかと思っていました。
0-6で大敗した湘南戦を良い意味での変化のきっかけとしてほしいと思っていた私としては、この試合で簡単に勝ててしまててもあまり良くないかもしれない。
ここで楽に勝ってしまっては、「今のままでいいんだ」とまた甘さが出る可能性もある。
だから、苦しんで問題を解決して、その末に勝利をつかんでくれれば…と思っていました。
それだけに、前節のショックを引きづりながら苦戦しつつも、徐々に改善点も見られていった前半は、まだ悪いなりにも可能性は感じていました。
試合で失ったものを取り戻すには、試合を通じて自分たちで解決してもらうしかないだろう…と。
動きの悪さが0-6のショックによるものならば、ここで解決さえすればそれ以降に残る問題ではないはずですし。
そして、後半早い時間帯に先制。
ここまでは悪くなかったのですが、それ以降で強さを見せつけられなかった。
言うなれば、前節のショックを払拭しきれなかったようにも思います。
試合終盤は足も止まって、運動量などには課題も感じる大塚が周りと比べてすごく動けているように見えるほどでした。
実際、大塚が良くなってきたところもあるとは思いますが、それにしても試合全体を通して動けていなかった印象です。
アウェーで疲労などもあったのかもしれませんが、もう1歩足を伸ばせばパスが受けられるだろう。
あるいはもう少し集中すれば、パスミスは起きないであろう部分で集中し切れない、頑張れないといったシーンが目立っていた印象で。
選手個々の能力の問題、あるいはそれに応じた戦術的な問題もあるかもしれませんけれども、基礎的な部分が出来ていな印象でした。
では、なぜできなかったというと、やはり一番大きかったのは精神的な問題ではなかったかと思います。
湘南戦での0-6での大敗によって自信を失い、戦えなかったと。
ここまで自分たちの力を出し切れなかったのは久々ではないかと思いますし、内容で言えば湘南戦よりも出来てないなかった印象でしたし。
これが変化や成長の中での苦しみだというのなら、まだ前向きな気持ちにもなれますが、現段階ではそうは感じないのがつらいところで。
ベテランも多い中で、これだけ大敗を引きずってしまうとは…。
1つ形になりつつあった部分もあっただけに変えたくないところもあるかもしれませんが、選手起用なども含めて大きな変化も必要なのかもしれませんね。
本来は出来ることなら、今のメンバーの中での変化・進化を求めたかったところですが…。