右SBの守備の課題と天野に関して

 昨日は精神的な話が多かったので、今日からは守備面の課題について。
 富山戦は1-1で引き分けたわけで当然攻撃面の課題も感じられましたが、それ以上に守備面が目についた試合だったように私は思います。
 良い守備が出来れば流れをこちらに持ち込みやすくなるし、無駄にスタミナも浪費しない。
 後半途中から選手たちの足が止まってしまったのは、守備に締りがなかったことが一因としてあるのではないでしょうか。


 目立ってしまったのは、右SBの守備。
 富山戦での失点シーンは天野の軽率なプレーからだったと思うのですが、その後起用された竹内も再三相手に突破を許すなど厳しい状況でした。
 右SBの守備に関してはここまでの試合でも脆さを感じる部分がありましたし、大きな課題となっている印象です。  



 まずは単純に、個々の一対一の問題。
 天野は2011年までは横浜FMで試合に出場していましたが、2012年に左膝前十字靱帯損傷で全治約8カ月と大きな怪我をおって出場機会が減少していました。
 その怪我の影響もあるのか、特に前から後ろへ重心を移動するときのスピードにおいて、遅れが目立つように思います。


 162㎝と高さやサイズなどは期待しづらい選手ではありましたが、地上戦でやられてしまうのはそういった一瞬のスピード面に問題があるように思います。
 開幕当初は試合勘の問題もあるのかなと思っていて、徐々に感覚を取り戻してくれればという期待もあったのではないかと思っていましたが、これだけ長く続くとそれだけではないのかもしれません。
 湘南戦や富山戦で見られたようにクリアミスなどから失点してしまうなど、プレーに甘さがみられるところも残念なところだと思います。
 せめて地上戦で粘り強さを見せてくれれば…と思っていたのですが。



 ただ、他に右SBがいないという問題も大きい。
 竹内も元々スピードがある選手ではなく、ドリブル対応などがうまい選手とは言い難い。
 身長があってフィジカルも強いため競り合いになれば優位に立てることは多いものの、SBではどうしてもドリブル対応が増えてくるわけですから、それだけでは如何ともし難く。
 SBとしてのプレーも、あくまでもSBに求められる要素以外の部分で"補っている"といった印象がなくもない。
 攻撃面でもビルドアップやクロス精度に課題があって、その部分で天野の方が期待されているのでしょう。
 実際、天野はクロスに関してはいいものを持っていると思いますし、富山戦前半終了間際に見せたクロスなどには右足のセンスを感じました。


 他に候補と言えるのは、大岩、キム、佐藤祥あたり。
 しかし、キムはそこまで器用な選手ではないでしょうし、佐藤祥も守備面では不安があるのではないかと。
 右SBだけを考えれば、キムをCBにして大岩を右に回すのがベターかなとは思うのですけど、せっかく大岩がCBに馴染んできたところですしね。
 やはり田中のSB起用なども考えてみるべきなのか…。
 けれど、田中もリトリート時の守備は意外とうまくなかったですし、ドリブル対応などもどうかわからないですしね。



 もう1つにはSBだけでなく戦術面や、周りの問題もあるように思います。
 現在の右SH候補である井出は一対一での守備に課題があるし、谷澤はスピードが弱点で戻りが遅く、一定の位置までは戻るもののDFライン近くまで下がって守備を埋めようとしない。
 これによって右SBが劣勢な状況で一対一や数的不利で守備を求められることが多く、無防備な状況で守らなければいけない。
 守備が期待できる田中は足元の技術では課題がありますし、パスワークなどには不安が残る。
 だから、富山戦ではFW起用だった部分もあったのかもしれません。


 また、先週も話しましたが、守備時にDFラインが左サイドに偏る印象があって、その分右SBは守備範囲が広くなっている印象もあります。
 山口智がうまく左サイドの守備時に左に寄っていると言えるのかもしれませんけれども、それにしても現状だと右サイドがつらい。


 そして、昨年は左サイド寄りと米倉の積極的な攻撃参加をフォローしたのが、ボランチ山口慶でした。
 しかし、今季はボランチの積極的な攻撃参加を新たなチャレンジとしてやっているジェフ。
 その分、サイドへのフォローなどは遅れることが多い印象です。


 特に兵働が相方として起用されてからの山口慶は、中盤のスペースを埋める役割がより一層高まった印象で。
 富山戦での勇人にもそれは同様のことが言え、勇人らしいシュートやポジショニングもあったものの局面での守備では甘さも感じましたし、両ボランチが高い位置を取りすぎてビルドアップや守備で苦しむシーンがあるなど、うまくバランスをとれていなかった印象です。



 そう考えていくと右SBの守備能力だけの問題ではなく、周りのサポート面でも課題は大きく右SBの選手に同情しうる部分もあるように思います。
 けれども、簡単にボランチの攻撃参加をやめて、ボランチによるサポートを増やすというわけにもいかないと思うのですね。
 それに関しては、また明日取り上げたいと思いますが。
 とはいえ、右SBの代役もそう簡単にスペシャルな選手が見つかるとも思いませんから、最終的には少しずつでも周りの選手がサポートする形を模索する必要性があるのではないかと思います。