ボランチのスタミナとSBの攻撃参加

 ジェフはこの試合で青いデザインのユニフォームデビュー。
 青いユニ、個人的には単純に鮮やかな青は映えると思うし、あってもいいんじゃないかなと思っていました。
 一応、一時期は青も使っていたクラブなわけですしね。
 東京V相手であることを考えると黄色も見たかった気もしますけど、今年のジェフの1stユニは緑率が高いからダメなんでしょうね。
■連携の改善とコンディション問題
 ジェフは前節から天野に代わって、竹内が右SBの位置でスタメン出場。
 ケンペスが怪我から復帰し、ベンチに入りしました。
 ナム、田代は怪我なんですかね。


 竹内は前節岡山戦で途中出場し良いプレーを見せていたので、その流れを引き継いでということでしょうか。
 東京V戦でもタイミングを見計らっての思い切った飛び出しが、攻撃のアクセントになっていた場面もあったと思いますし守備でも貢献していました。
 ただ、クロスやパスに関してはやはり課題も多いですね。


 逆に左SBの中村はボールを持った後のプレーには可能性を感じますけど、ここまでの試合を見ると攻撃参加のタイミングと思い切ったスプリントが少ない。
 タイプの違いと言えばそれまでなのでしょうけど、もっとオフザボールの動きの質を高めていかないと…と感じます。
 それもあって、前にウイングタイプの山中でもOKという考えなんでしょうか。
 この問題によって攻撃が活性化しきれず、サイドを広く使った攻撃が出来ていないところがあるのではないかなと感じます。



 その他の攻撃バランスは改善されてきた印象で、山中が極端にボールサイドばかりに寄る傾向も少なくなったと思います。
 もっとゴール前に出ていってほしいと思うシーンもありますが、徐々に連携も改善されている印象です。
 また、中央では岡本からのフィードに対して、森本が下がってターゲットになって、町田が入れ替わる形で前に出ていく連携を見せるようになっていました。
 前節のように前で頑張ろうとすると相手CBとボランチに挟まれることが減り、そこでボールを失うことが少なくなったと。
 その分、低い位置で落とすことになりますから、攻撃の形が作りにくいという部分もあったとは思いますが。


 そして、守備でも森本が相手ボランチ付近を見て、町田が前に出ていくシーンがみられました。
 運動量とアプローチスピードのある町田が相手DFを追い回して、森本は下がってボランチと競り合うという狙いだったのではないかと思います。
 前へのプレスの方が広範囲を守らなければいけないし、森本は町田よりはフィジカルが強いので相手の出方を待って体を張るという関係性が作れていて、可能性が感じられる部分でした。



 2列目より前の関係性に関しては、攻守において改善点も感じた前半。
 しかし、全体的に選手のコンディションが、あまり良いようには見えなかった。
 攻撃では前に出ていく人数が少ない。
 守備では中盤のアプローチが全体的に遅く、そこから決定的なピンチを作られるシーンが目立っており、前節のような落ち着いた守備が形成できませんでした。
■終盤の猛攻で何とか引き分け
 東京VはFW平本を中心に、前からプレスをかけてハーフカウンターを狙っていくサッカー。
 若い選手が多いため、スタミナもあって、前に出ていく勢いがある印象を受けました。


 後半8分。
 東京Vが得た右サイドからのセットプレーからジェフが先に失点。
 ゾーンディフェンスの間を吉野に取られて、ヘディングでやられてしまいました。



 なかなか打開策の見いだせないジェフは、後半16分森本に変えてケンペス、町田に変えて谷澤を投入。
 谷澤を左SHに起用して、トップ下に山中をまわしました。
 ケンペスは確かにそろそろ投入したい時間帯だと思っていました。
 東京Vの守備陣は決してそこまで高さに強い印象はなかったですし、どこかで前線に勝てるポイントが欲しかったところ。
 やはり迫力ある一方で、足元に入らないという両面を感じましたが、この時間帯からの投入の方が運動量の問題は出ないのかもしれませんね。


 そして、ケンペスが潰れたところを山中に拾わせる狙いだったのでしょうか。
 確かに山中がゴールを狙える位置でのプレーは、あまり作れなかった印象です。
 谷澤に関しては、前線でのタメや変化が足りなかったので、そこを狙ったんでしょうね。
 当初は意外に感じた交代ですが、思ったよりもコンディションは良くキレのあるドリブルなどを見せてくれました。



 ある程度の効果は見られたものの、決定的な変化は作れず。
 後半34分には、慶に変えて兵働と攻撃的なカードを切っていきます。


 試合終盤は攻めるジェフ、守る東京Vといった展開となり、東京Vは後方に人数を固めていきます。
 徐々に東京Vのマークも緩くなっていったものの、このまま敗戦となってしまうか…と思われた後半ロスタイム寸前。
 左サイド中村からの右足のクロスに、攻撃参加していた山口智が飛び出してゴール。
 やはりこのシーンのように、FWだけでなくもう1人ゴール前に飛び出してほしいところで、もっと早い時間帯からああいったプレーが見たかったところです。
 まぁ、ゴール前に飛び出すにしても形が作れなければ難しいわけで、だからサイド攻撃を活性化したくて谷澤を投入したのでしょうけどね。



 その後は押せ押せの展開となりましたが、ゴールは決めきれず。
 1-1の引き分けとなってしまいました。
ボランチとSBの攻撃参加
 試合展開からすると、痛み分けといったところでしょうか。
 試合終了直前まで1-0で進めていた東京Vと、悪いなりに引き分けたジェフと…。
 東京Vはかなり気持ちも入っていたように見えましたね。



 個人的にはボランチの動きが両者良くなかったかなと。
 慶はいつもに比べて守備でのアプローチが遅く、交代となったのもそこがポイントとしてあったのではないでしょうか。
 アプローチの早さが慶における一番の特徴でもあるわけで、そこがもう少しということになると厳しい。
 それによって全体的なラインも下がりがちだった印象です。


 また、攻撃においても前節まで見られた慶、健太郎の前への飛び出しが、あまり出来ていなかった印象で。
 その結果、縦へのパスコースもなかなか作れなかった問題もあった気がします。



 今年からボランチが前に出ていく動きをやっているために、すでに消耗してしまったところがあるんでしょうか。
 しかし、それにしてもまだ3節。
 気温も高くない時期なのですけどね。


 昨年はボランチがそこまでの運動量を求められていなかったですが、その分両SBがアップダウンするというのが大きな特徴になっていたはずです。
 そのため両SBへの負担は大きかったと思うのですが、実際問題として全体的にベテラン選手が多いこともあって、走れる選手が他にいなかったという点もあったのではないでしょうか。


 ボランチが前に出ていく動きにチャレンジしているのも、その両SBが抜けたこともあって…という面もあるのかなとも。
 けれども、そのボランチが早くも疲労困憊状態になっているのでしょうか。
 いくら昨年以上に運動量を要求しているとはいえ、そこまで過度な負担ではないようにも思うのですが…。



 ここでもう1つのポイントが、前半に書いた通り「もっと中村が走らなければいけないのではないか」ということ。
 中村のオーバーラップがなければ、攻撃も活性化されないし、サイド攻撃ももちろん、他の選手への負担も増してしまう。
 前節まで右SBで起用された天野もそうですが、昨年はSBの攻撃参加が特徴だったチームなだけに、もっと前に出ていかないと攻撃に厚みも生まれないように思います。


 無論、昨年の2人と同じような動きを期待するわけではありませんが、それにしても中村のポジションは総合的に見て低すぎる印象で。
 中央でパスを回しているときに、もう数歩前にいてほしいという時に、そこに出ていけない。
 あるいは前にスペースがあるのに、走りこめない。


 連携面がまだできておらず遠慮している部分があったとしても、攻撃的な選手なのですから自分でボールを呼び込むくらいの気持ちを持ってプレーしていかないと、進歩も遅くなってしまいます。
 天野もその結果としてスタメンを外されたという見方もできるのかもしれませんし、そこは大きな問題なのではないでしょうか。
 アシストとなったクロスは素晴らしかったとはいえ、その他では良い形でクロスを上げられたシーンは少なかったと思いますし、その技術を活かすためにももっと前に出ていってほしいと思います。