栃木戦後の一連の騒動について

 さて、大きな話題となっている栃木戦後の一連の騒動に関して、自分の意見を述べてきたいと思います。
 twitterなどSNSが普及してリアルタイムで反応しないと、どうしてもタイミング的に遅れてしまう気がして、取り上げにくくなってしまいますね(笑)
 しかし、クラブのことを考えればこれに触れないのもそれはそれで不自然ですし、まずは試合の感想を昨日までの3日間で話してからというのが自分らしい流れかなということで、このタイミングになりました。


 自分の意見を述べる前に、ジェフの公式サイトにてこの件に関してリリースが出ております。
 島田社長はしっかりと今回の騒動を受け止めつつ、クラブとしての主張もしたということで、良いコメントだったのではないでしょうか。
 どのようなことが起こったのかも、この発表で大筋は掴めるかなと思います。



 さて、ネット上での意見を目にすると、まずはこの件に関しての焦点を明確にすべきではないかなと思います。
 「クラブへの愛があるからこそ」だとか、「気持ちはわかる」なんて意見も聞きますが、そこは一番の論点ではないでしょう。
 そもそもチームの結果がでなかったからこその騒動である以上(逆説的に言えば試合に勝っていればああいったことは起こらなかったはずで)相手には結果を求めた上での行為なわけで、一方だけが「愛」だとか「気持ち」だけを主張するというのはちょっと卑怯ではないかと思います。
 サッカーに限らず「愛」や「気持ち」があれば何をしても肯定され許されるというわけはなく、行き過ぎた「愛」が起こす問題は世の中に多数あるわけで。


 今回の焦点はサポーターを名乗って行動する以上は、その行為が『クラブのためになるのか』の1点に尽きるのではないかと私は思います。
 そこが大前提として、あって然るべきではないでしょうか。
 もちろんいろいろな考え方、捉え方があるとは思いますし表現の仕方も異なるため、本来はあまり他者がそこに口をはさむべきではないのかもしれません。
 しかし、こういった件が起こった以上は、クラブに対してそれなりの影響が考えられるもの。
 ですから、そこに対してはどうしても賛否両論あることも、仕方がないところなのではないでしょうか。



 大きな観点で見ていくとすると、今回の件でのプラス面を考えるとすれば、チームに対して刺激を与えられるということでしょうか。
 一部サポーターは現状に満足しておらず、結果を残すこと、あるいは更なる努力を求めたと。
 あるいは、鈴木監督の手腕に納得できず監督を交代すればより良い結果が出るはずだから、そういった意見があることをクラブに表明しようということでしょうか。
 または社長のコメントを読むと、一部ではフロントの運営全般に不満があり改善を求めるという意見があった可能性も、考えられるかもしれません。
 このあたり騒動の意図などは探してみましたが今のところネット上では公式に公表されてはいない模様ですし、そもそも参加者全員が同じ意志であるとも限らないのでしょう。
 しかし、一般的に考えてクラブへ与える影響やメッセージは、大枠ではこのあたりになると考えていいのではないかと思います。


 マイナス面としては、チームの雰囲気の悪化、選手へのプレッシャー、外部へ悪いイメージを与える可能性などが考えられます。
 これまでにもサポーターがチームやフロントに納得できず、スタジアムの雰囲気が悪くなったことはありました。
 そういった雰囲気というのは、少なからず選手へのプレッシャーになりかねず、J2に落ちてから毎年のように精神的に追い詰められているように感じる選手たちに対して、更なる圧力をかける可能性も言えると思います。
 もちろん、このあたりは十分あり得るものと理解した上で今回の騒動が起こったのだと思いますから、そのマイナス面だけを見て評価するわけにはいかないですが。


 そして、悪いイメージを与えたことに関してですが、今回Yahoo!のトップにもとりあげられるほど、ジェフ関係者以外でも話題になりました。
 実際に今回の騒動でその他の観客が来場をためらう可能性も否定はできないですし、そういった話もちらほらと聞こえては来ています。
 たぶん行動を起こしたタイミングでは、そこまで大きく取り上げられるとは思っていなかったのではないでしょうか。


 しかし、それほどまでに、一般的に見れば"異常"な騒動だったのだと思います。
 毎年一部では昇格候補と言われていても、実際には所詮過去4年間J2で4〜6位を彷徨っているチーム。
 そのレベルでしかないチームが、たった1試合に敗れたというだけで、大きな騒動が起こったことになります。
 無論こういったことが起こった理由としては、これまでの経緯、試合内容など様々なものが積み重なったことが大きいのでしょう。
 しかし、それらを差し引いても今季の公式戦42試合中の1試合、時間にして90分と少しだけを見て、クラブへの大きなデメリットも考えられる騒動が起こったことになるわけで。



 そもそも今季の補強も出ていった選手を含めて考えれば、決して大きなプラスではなかったわけで。
 大きな変化は期待できないわけですから、今シーズンは耐えつつ我慢して、少しずつ進歩を求めるべき年だったはずです。
 よって、開幕戦で昨年と似たような同じような問題が起こったとしても、それが許されるというわけではないですが、想定できる範囲だったと思うのですが。
 もっとも個人的には昨年に関わらず、ここ数年ジェフに見られるような症状だと感じ、監督や継続性の問題ではなく、クラブ単位でそのレベルにあるからああなるのであって、一歩ずつ時間をかけて解決する努力をしていくしかないと思っています。


 また補強に関しての批判・不満も聞こえてきますが、現実問題として限られた予算という概念がある中で、いったいどこまで要求できるものなのか、その線引きを外部から言うのは困難だと思います。
 「移籍した穴を埋めただけ」という話も聞かれますが、そもそも実績ある選手が多く維持費に多くを費やさざるを得ない現状において、プラスアルファを期待するのは難しい部分もあるのではないかとも想像できます。
 今はその実績ある選手の補強から若手〜中堅にかけての補強にシフトしている段階で、これに関しては斉藤TDも触れていたことです。
 予算の確保に関しては問題もあるのかもしれませんが、実際問題としてJ2にこれだけ長く在籍すれば、どうしても厳しくなってくる部分は出てくるのではないでしょうか。
 少なくともシーズン中の監督交代となれば、またお金が出ていくんだろうなぁ…ということくらいは、外からでも明確だと思うのですが…。


 結局のところ、まだJ2におけるジェフの立場が捉えきれていないところがあるように思います。
 ジェフはこのレベルにいるべきクラブではない。
 しかし、実際には過去4年間の成績は驚くべきほど安定しており、そこからの短期間での大きな飛躍というのは期待できるものではない。
 現実と理想のギャップが、そこにあるような気もします。



 後出しになってはしまいますが(かといって起こる前に口にしたくもなかった)、なんとなくシーズン序盤にこういったことが起こりうるのではないかという予想はしていました。
 それほどまでにネット上での監督批判は多く目にし、中には突拍子のない内容も聞こえてきます。
 今回の件は突発的なものではなく、火種は以前からあったものであり、起こるべくして起こったと言えるのではないでしょうか。


 要するに初めから鈴木監督に対して、一部サポーターは信頼しておらず、強く反対(拒否・拒絶と言ってもいいのかもしれない)されていたと。
 しかし、それはキックオフの前からチームを信頼していなかったということにつながるはずで(監督も含めてのチームですから)、ジェフを応援する1人としてあまり前向きにはとらえられない部分でした。
 初めから信頼していない…むしろ強く拒絶している相手に対して、心から応援できるのか。
 そもそもそんな状況で開幕して、チームは100%の状態で戦えるのか。



 チームへの批判の意見として理解できる部分も当然ありますし、開幕戦後にブログで述べたように全体的には試合内容も良くなかったと思います。
(もっとも個人的には先日までに述べたように、確実にチームは変わろうとしているし、そのためのチャレンジもしていると思っていますが。)
 しかし、チームなどに発破をかけるにしても監督解任を論ずるにしても、アクションを起こすにはタイミングが大事ではなかったかと私は思います。
 "今季チーム"の判断材料はあまりにも少ないわけで、にもかかわらず監督解任論が出たということは、初めからこういったことが起こる可能性は当初からあったということでないでしょうか。


 もしそうなのであれば、この時期に監督反対を突き付けるくらいなら、昨年のプレーオフ後に動くべきだったのではないかと私は思ってしまいます。
 このタイミングでの監督交代など決して良いものとは言えないはずで、逆にその時動かなかったのであればまずは腹をくくり時には我慢もして新シーズンに向けてチームを信じるべきだったのではないかと。
 クラブのことを本気で考えるのであれば。



 どちらにしても起こったことには変わらないわけで、今後どうなるかが重要です。
 こういった行動が今後広がるのか、そうでないのか。
 その他に応援する方達が、どういった反応を見せるのかも今はまだわかりません。


 …しかし、思い起こすのは07年。
 あの時もチームの内容はともかくとして、シーズン序盤から監督批判が多く、試合前からブーイングが起こるほどでした。
 その中で選手たちは苦しそうに戦い、何とかシーズンを乗り切ったという印象があります。
 その後アマル監督は解任、主力選手は流出、そしてチームは崩壊…という経緯は、触れるまでもないでしょう。
 なんとなくあの頃を思い出してしまいました。


 願わくばチームが結果を残して、この話を鎮静化させられれば…とも思いたいのですが、「そのためにも頑張れ」というのもなんだかチームを脅すようで個人的には好きな考えではありません。
 しかし、とにもかくにもジェフがクラブとして良い方向に進むことを祈りつつ、ひとまずは話を締めて次の試合に集中したいところです。