2列目の組み合せの中で山中の役割は?

 ちばぎんカップで新チームを見て、そこまでジェフの出来を心配をしていない理由は2つあります。
 1つにはコンディションが悪い中、柏相手にPK戦では敗れたものの、90分では1-1で終わったこと。
 柏も低調だったとは思うのですが、ほぼベストメンバーと思われるJ1チームが相手だったわけで結果はそこまで悪くない。


 なぜ両チームともコンディションが悪かったのかを考えると、雪の影響による調整不足が考えられるのではないでしょうか。
 雪によって複数の関東圏内クラブが急遽キャンプを組むなど予定を変え、先日ゼロックスを戦った横浜FMも調整に悩んだそうですが、ジェフの選手たちも沖縄からの帰路で大変な思いをし、練習試合も中止になるなど大きく予定が狂いました。
 ちばぎんカップはその直後の試合だったわけですから、それなりの影響があったのではないかと考えられます。



 もう1つあまり内容が良くなかったように見えた理由として、連携の問題が考えられるのではないかと思います。
 多くの新加入選手をテストし、CB大岩も試したように思われる試合。
 しかし、連携に関しては2列目の選手の組み合せが変われば、ある程度は改善するのではないかと私は思います。
 ちばぎんカップで昨年と異なったのは、2列目の中でもサイドハーフの組み合せでした。


 昨シーズン後半からのジェフは、基本パサータイプ+飛び出し系タイプがSHに起用されていました。
 飛び出し系タイプだと田中、パサータイプで言えば兵働で、谷澤はどちらもこなせるタイプの選手と言えるのではないでしょうか。
 先日のちばぎんカップでも谷澤は短い時間の起用でしたが、積極的に裏に飛び出し詰まりがちだった前線の動きを改善しようとしていました。
 ちょっと太り過ぎかなとも思っていたのですが、動きは思ったよりも良かったですね(笑)


 パサータイプ+飛び出し系の選手が中央に寄って、相手ダブルボランチの間から顔を出して、ボールを受けるところから中央のパスワークが始まる。
 これが昨年の基礎的な部分だったと思います。
 しかし、今年のちばぎんカップにおいて、左SHで起用されたのは山中でした。
 山中は本来SBでどちらかと言えばサイドでプレーするのが得意な選手でしょうから、昨年の組み合せとは異なるタイプの選手。
 昨年で言えば深井がサイドアタッカーということになるのでしょうが、深井が起用されたのは途中出場からで点が欲しい時にチームのスタイルを変えて、サイドからどんどんクロスを上げる状況に限ったものだったと思います。



 それだけに、SHとしての山中の役割が気になるところでした。
 パサーとしてチャンスを作るのか、ゴール前に積極的に飛び出すのか、それとも新たにサイドを積極的に仕掛けるタスクを求められるのか…。
 しかし、見ている限りでは明確な役割というのは感じてこず、終始プレーに迷いが感じられました。
 その原因は、やはり役割が明確ではなかったことにあるのではないでしょうか。


 もう1つ迷いが感じた原因としては、中村との連携が出来ていなかったこともあるのでしょう。
 相手に簡単に預けられるシーンでもパスを出さず、どちらかが飛び出してほしいシーンでも動き出せず…。
 2人とも個人技に関する可能性は十分見せてくれたと思うのですが、あれだけ左サイドにボールが行っても2人がうまく絡んで崩すというシーンがほとんどなかったのは、連携不足の問題が大きいと思います。



 では、なぜそれでも山中を起用したのか…というところが気になるのですが、単純にテスト的な意味合いも強いのかもしれませんね。
 思い起こしたのは昨年の東京V戦。
 あの試合でもケンペスと森本の2トップは難しいのではないかと思ったのですけど、実際に試して上手くいかなかった。
 そして、うまくいかなかったらスパッとやめて次に切り替える、元に戻すということ鈴木監督はやっていますから、今回もそうなる可能性があるのかもしれません。


 山中も個人能力で言えば、素晴らしいものがあると思います。
 パワーやスピードは十分に感じましたし、クロスも鋭いものが蹴れていました。
 ベンチに置くのは惜しいくらいの選手で、スタメンで起用したくなる気持ちもわかる気もします(笑)



 しかし、スタメンで起用されるには、もっと様々な細かい仕事を覚えていく必要があるのかもしれません。
 特にジェフの2列目は相手の間を取る、受ける、飛び出すという中盤的な多くのタスクを要求されてきましたから、より柔軟な動きが求められるのではないでしょうか。
 現状だとサイドアタッカー的な役割しかできないように感じましたから、タイプ的にジェフのSHとしては難しい部分があるかもしれない…。


 ただ、もしかしたらここでもチームの伸び代を考えて、2列目にサイドアタッカーを起用するという新たなチャレンジをしていく可能性もあるのかもしれません。
 そのために、ボランチが前に飛び出していく新手法を試している可能性も考えられるのかなと…。
 けれども、2列目の選手が中央で受けるという動きが昨年チームの肝だったはずなだけに、この変化はリスクも伴うチャンレンジということになると思うのですが…。


 その場合、山中としては中村と良い関係を築き上げることが、すごく大事になってくると思います。
 どちらもボールを持ってタッチライン際で仕掛けるタイプの選手だと思いますし、下手をすればお互いの良さを潰しかねないのではないかとも思わなくもありません。
 ただ、中村は山形でもドリブラーの左SH伊東俊と良いコンビを気づきあげてきたので、チームとしてはそれに近い可能性を探っているのかもしれませんが…。
 それとSHにサイドアタッカーの山中を起用すると、しっかりとSBの位置まで守備で戻ってきてくれるのは中村にとってもありがたいのかなとは感じました。



 戦術的に考えて、個人的にはちばぎんカップで一番気になったのは山中だったりします。
 まだ若い選手ですから、どんどんいろんなものを吸収していけば良い方向にプレーも変化していくかもしれませんし、ポテンシャルも十分に見せてはくれたとは思います。
 ただ、それがうまくチームにはまるかどうかは、また別問題でしょう。
 起用法や周りとの連携も含めて、今後に注目の選手ですね。