ちばぎんカップの成果と課題と

 雪の影響も懸念されたちばぎんカップですが、日曜日は快晴に。
 無事開催となり、良かったですね。
 多くの観客が集まり、シーズン前の準備という意味では良かったのではないかと思います。


 しかし、この時期は現状維持とはいえ新規情報が多いので、何を書くか迷ってしまいます。
 まぁ、シーズン中盤の中だるみやシーズン終盤の緊張感の中で何を書くかも難しいので、そう考えていくとシーズン中いつも悩んでいることになるわけですが(笑)
 それでもオフシーズンよりは話せる内容があるので、やっぱり楽しいですね。
■前半終了間際に失点
 ジェフのスタメンは高木、天野、大岩、山口智、中村。
 ダブルボランチは健太郎、慶のコンビで、2列目には兵働、町田、山中。
 1トップはケンペスとなりました。


 天野、中村はスタメン有力候補ではありましたが、高木、山中は意外な人選ですね。
 鈴木監督、保守的なイメージがあるのかメディアなどでは堅実なスタメン予想が多いですけど、実際には今回のように思い切った起用も少なくない印象で。
 高木の起用などテスト的な意味合いもあるのかなと感じましたが、今年に限っては柏の方がベストメンバーで来た印象もなくはありません。
 また、山口智ではなく、山口慶がキャプテンマークを巻いたというのも驚きでした。



 試合の方は両チーム、動きが硬い。
 コンディションの問題もあるのかもしれませんが、ボールがうまく足につかないシーンが多かった印象で、試合勘もまだまだなのかなといった印象を受けました。
 お互い監督継続ということもあって、より開幕に合わせたチーム作りをしているのかもしれませんね。
 また、ジェフも柏も新加入との選手の連携面が、どうしてもまだうまくいっていませんでしたね。
 その結果、試合の方もかなり重い展開になっていきました。


 ジェフのビルドアップは、やはり昨年の後半ほどはスムーズに行っていませんでした。
 昨年同様左サイドにボールが運ばれることが多かったですが、高橋のようなビルドアップのポイントがいないため、中村が後方で持っても悩む時間が多く、高い位置でも細かくパスをつなげない。
 もちろんその分クロスの質は期待できそうですが、高橋がいなくなってどのようにパスをつないでいくのか。


 もう少しボランチから中央に縦パスを出せていけば、良かったのでしょう。
 しかし、ケンペスや町田が顔を出すことも少なく、相手の3-5-1の2シャドーが中に絞る途中がある上、ダブルボランチもあまりポジションを空けないため、なかなか縦へのパスコースが見つからない状況でした。
 この結果中央からの展開が作れず、左サイド大外からのクロスや長いボールが多かった印象です。



 前半終了間際。
 後方からのロングボールを大岩がトラップするも落とし所が悪く、柏の工藤に奪われます。
 大岩は工藤に体を寄せていたものの、角度のないところからシュートを放たれ失点。
 ニアを消せなかった高木の問題もありますが、大岩がシュートコースを潰せなかったのも大きな問題だと思います。


 大岩は前半21分にもレアンドロ・ドミンゲスに仕掛けらた際にうまく寄せきれず、シュートまで持ち込まれてしまいましたし、やはり大岩はSBで起用された時と同様に仕掛けられたときに弱さがある印象です。
 ここが大岩の課題でSBならまだ大きな穴にならないかもしれないですけど、CBでは一気に致命傷になってしまいますね。
 ヘディングでの強さは見せてくれましたが、DFとしてプレーする限りはここをどうにかしないと…。
■田中の途中の投入で攻勢に
 後半に入ってから全体のラインが下がり、運動量も落ちていったジェフ。
 一方の柏は先に1点とれたこともあってか動きも軽くなっていった印象で、ジェフの劣勢となっていきました。


 後半11分、兵働に変えて森本を投入。
 森本を中央に回して、町田を右サイドに起用。
 そして、後半には23分。
 町田に変えて、田中を起用。



 この田中の投入が大きく、流れが変わっていきました。
 それまでは運動量が足りず、ボールを触っても相手のマークが剥がせない状況が多かったジェフの選手たち。
 特に柏は守備面での一対一が強い選手が多いですから、それだけでも劣勢になりがちで。


 J2ならフィジカルで勝ててしまうケンペスも柏CB相手だと潰されることが多く、J2の感覚でやるとうまくいかなかったのかもしれません。
 これは中村などにも言え、J2相手なら勝てるタイミングでも負けてしまう。
 またDFの寄せに関しても少しずつ甘く、選手たちがJ2慣れしてしまっているところも感じてしまいました。
 しかし、田中の運動量やオフザボールでのアップダウンというのは、対人プレーとはないところですから、相手に関係なく良い効果を生んだのかなと思います。
 まぁ、J2とJ1との感覚の違いに関しては、逆に言えばJ2なら勝てるとも言えるのでしょうが。



 田中投入から引き寄せた流れから後半29分。
 ペナルティエリアで工藤が森本を倒しPK。
 これをケンペスが決めて同点に。
 ジェフは勢いを増し健太郎に変えて田代、山中に変えて谷澤を投入。
 後半38分にはレアンドロ・ドミンゲスが田代を肘打ちしてしまい、レッドカードを受けて柏が1人少ない状況に。


 相手を押し込む状況になったのですが、昨年もそこからが悩むところがありましたね。
 ここ数年は押せ押せの状態になると前掛かりになることが多いのですが、その分パスの出し手がいなくなってしまったり、前にスペースがなくなったりとバランスが悪くなる印象があります。
 ボールを触ってから飛び出すというようなプレーがなく、選手もボールも動きが少なくなってしまう。
 ですから、この試合でもそうでしたが、押せ押せ状態になりきる前の方が得点の可能性が高かった印象があり、実際にゴールも決まっています。


 試合は1-1でPK戦に。
 ここからはもう運のようなもので、柏は5人とも決めジェフは中村がセーブされてPK戦の末の敗戦となってしまいました。
■新加入のテストと後半途中からの巻き返し
 この時期にどれだけのものを望むのかというのは、難しいところではありますね。
 コンディション、試合勘が完璧ではないのも仕方がない部分があると思いますし。
 ただ、それにしても兵働、ケンペスあたりは、動けていない印象が強く心配ですね…。
 ケンペスはいつも通りとはいえ守備も出来てなかったですし、もともと動きが少ない2人とはいえそういった選手を多く抱えているとやはりつらいものがありますね。


 それと予想以上に、新加入の選手の連携が取れていなかった印象があります。
 これは柏のレアンドロや高山にも近いことが言えると思うので、そんなものなのかなとは思いますが。
 中村、山中や高木あたりはボールを持って迷うシーンも多かったですし、開幕までに改善が必要な部分だと思います。
 まぁ、逆に言えば連携面はしっかりと練習から時間をかけていけば、十分解決する見込みのある部分なのだろうなとも思いますが。



 守備に関しては相変わらずサイドチェンジをうまく封じられず、あれで3バックは難しいだろうなぁといった印象を受けました(笑)
 サイドで囲い切れず、その後もスライドが遅いという部分も含めて、守備の課題の1つですね。
 ただ、ボランチの2人は予想以上に動きも良く、ズルズルと下がることも少なかったですから、ボランチの頑張りもあって大きく崩れることはなかったのかなと思います。


 それよりも攻撃面で、うまく相手を崩せなかったことの方が心配かなとは思います。
 左サイドからボールを運ぶことが多かったとはいえ、崩せていたわけではないため距離のあるクロスが多かったですし、大外からクロスを蹴らせるというのは柏ディフェンスの狙いの範疇ではないでしょうか。
 中央でもポイントを作れず、右サイドからの展開は数も少なかったですね。
 うまく兵働、町田、天野あたりが絡めた時は可能性を感じなくもありませんでしたが、なかなかその形を作るまでに至らなかったですね。
 3バックで中央を固められる時の攻略法は、今年も悩みそうな気がしました。


 また2列目をどういった組み合せにするのかというのが一番気になるところではありますが、どういった形になるにせよ左サイドの攻撃に偏る傾向は改善していきたいところなのかなと。
 中村、山中といった攻撃的な選手が左サイドに並んだというだけでなく、山口智、健太郎といったパサーが左なのでどうしてもそちら寄りになるのかなとは思うのですが。
 しかし、中村、山中は高橋のように高い位置でパスワークのポイントになるような選手ではなく縦が多いですから、そこから中央を覗く形や逆サイドへの展開というのは少なかったですね。
 このあたりはチームとしてのオーガナイズも必要だと思いますし、中村、山中あたりのプレーの幅も広げていなかなければいけないところだと思います。



 全体的には低調だったかもしれませんが、相手はフルメンバーと思われるJ1柏でジェフはテスト的な意味合いも少なくなかったのであれば、まずまずの試合だったのではないかと思います。
 移籍組は全員試せたわけですし、それぞれ持ち味は出せていたと思います。
 まだどのように活かすのかという課題は残ってるかと思いますが、連携を深めていけばより良い部分が出てくるのではないでしょうか。


 また試合後半から巻き返せて同点ゴールが奪えたことも、大事だったのではないかと思います。
 後半開始からは運動量も落ちて押し込まれる時間帯が長くなっていましたが、田中の起用もあって動きが増え流動性が増していった。
 選手交代ではなく出来ればピッチにいる選手たちで解決してほしかったですし、流れからのゴールを見たかったですけど、劣勢の状況から最後に良い時間帯を作れたことに関しては、収穫があったと言えるのではないでしょうか。


 ともかく開幕も間もなくということで課題も収穫もあったとは思いますが、ちばぎんカップだけでも見どころはたくさんありましたし、本格的なシーズンスタートが楽しみですね。