2013シーズンを振り返る ナム・スンウ編
昨年、キムとともに韓国の大学からジェフに加入したナムは、初年度リーグ戦で20試合に出場しゴールも1つ決めています。
ちばぎんカップでもスタメン出場してゴールをあげ、シーズンが開幕してからも主にスーパーサブとして活躍を続けていましたが、夏場に大きな怪我をしてしまいそこから長らく戦線を離脱。
10月に入ってようやく練習に復帰しますが、その頃にはチームも固まっていたこともあり、結局夏以降の出場機会はありませんでした。
怪我をする直前の試合ではスタメンフル出場を果たしていただけに、怪我がなければより良い結果を残せていた選手なのではないでしょうか。
ナムテクニックもあって、アイデアも豊富で、相手への仕掛けに鋭さがありますね。
加えて韓国人選手らしく体幹も強いため、2列目の位置からボールを持って、グッと前にボールを運べる選手だと思います。
筋力があるためショートパスも力強く、現在開催中のU-22アジアカップではプレースキックも担当していました。
守備においても献身的に戻ろうという意識を感じますし、真面目な性格の選手なのではないかと思います。
特にトップ下で起用されてジャイールの穴埋めをするため、左サイドにスライドして守る動きはナムにとっては大きな負担だったと思いますが、しっかりとその任務をこなしていましたね。
谷澤が同ポジションで起用された時は、サイドの穴埋めまで行っていなかったことが多いですし…というか、そもそもジャイールが守備に全く戻ってこないことが大きな問題だったわけですが。
フィジカル、テクニック、アイデアと総合的に潜在能力の高さを非常に感じる選手で、将来性の高い有望な選手だと思います。
しかし、ゴール前までのプレーは素晴らしいにもかかわらず、シュートだけが決まらない。
あれだけ上手い選手なのに、なぜあれほど大きく吹かしてしまうのか…。
メンタル的な問題があるのかしれませんが、それにしても珍しいケースだなぁと思います。
だから、韓国でも高校までは高い位置でプレーしていたのに、大学でボランチにコンバートされたのでしょうか。
ジェフでも2列目に良い選手が多いこともあって、ナムのボランチ待望論は良く耳にします。
U-22アジアカップでの韓国代表戦を少しチェックすることができましたが、ナムはボランチ起用されて中盤の底からロングボールを振り分けるような役回りをしていました。
パワーがあるのでロングキックでもまずまずのボールを蹴っていましたし、ビルドアップの動きも無難に出来ていた印象を受けます。
ただ、そのロングキックがあまり効果的な攻撃にはつながらず、ナムに限らず技術はある選手はいたのでもっとパスをつなげばいいのに…という場面も多く見られました。
しかし、これは選手の判断というよりは、チーム全体の問題だと思います。
韓国代表は4-4-2をベースとしており、2トップがグイグイと前に仕掛けていく強引なサッカーで、2トップへのフォローが少なく厚みのある攻撃が出来ていませんでした。
そのたびに「ナムがトップ下の位置にいれば打開できるのに…」と思ってしまったことを考えても、やはりできればナムの攻撃センスはボランチよりも高い位置で見てみたいような気がします。
守備に関しては、フィジカルとスピードはあるものの、現時点ではそこまでうまいとは言えない印象でした。
遅れてアプローチにいってファールをしてしまったり、相手に交わされてしまったりという場面も多く、相手との駆け引きでうまく寄せる、先を読んで相手の選択肢を減らす…といった守備はあまり出来ていないのかなと。
決して守備が下手というわけではないのでしょうけど、中盤に安定をもたらすようなレベルとは言えないのかなと感じました。
総合的な能力の高い選手なだけに、2列目かボランチか、迷うところではあります。
シュートに関しても技術はあるのだから安定してくれば問題なくなるかもしれないし、ボランチでの守備も真面目でフィジカルはあるのだから使っていけば向上する可能性は十分あるでしょう。
今ここで結論を出すことでもないかとは思うのですけど、個人的にはやはりあのセンスは攻撃で活かしたいのではないのかなぁと思うのですけどね。
もっと言えばトップ下は町田、大塚といることですし、SHでプレーしてそこからゴールに絡むプレーが出来れば、チームとしても攻撃に厚みが増すのではないかと思います。
田中のような泥臭いプレーをするタイプではないのかもしれませんが、ちばぎんカップでは渡邊のクロスに対して少し下がった位置から前に出ていってヘディングでゴールを決めていますし、サイドから飛び込んでいくパワーやダイナミックさもある選手だと思います。
ナムならスピードもあって守備もある程度計算できますし、SHでレギュラーを狙うというのも面白いのではないかと感じるところです。
考え方としては大岩のSBに近い感じですね。
大岩もどちらかといえばCBの方がやりやすいかもしれないけれどCBでは物足りなさもあるから、まずはSBで出場機会を狙ってみるべきでは…?と。
ナムの場合はトップ下にライバルが多いしボランチは大事なポジションなだけに、SHで攻撃面のセンスを発揮しつつ飛び出しも狙わせるというのも面白いのではないかと。
もしかしたらナムの場合、変に考えてしまう足元でのシュートよりも、思い切ってゴール前に頭などで合わせに行ったほうが、決定力も高くなるかもしれませんし(笑)
起用法はともかくとしても、チームの軸となれそうな町田と天才肌でセンスを高く感じる大塚、ナムなどがどれだけ活躍できるかは、今季のチームを占う上で非常に大事になってくる気がします。
昨年も期待の3選手にはしっかりとチャンスは与えられたと思いますが、今年はそこからブレイクできるかどうか。
"可能性"のレベルから"戦力の軸"レベルにまでなれるかどうかがチームおいて重要であり、見ている方としても今から楽しみな部分でもありますね。
明日、明後日は更新お休みします。