深井正樹との契約満了を発表

深井正樹選手の契約について(ジェフ公式サイト)


 深井は昨年の12月上旬に、長らく更新されていなかったブログの閉鎖を発表していました。
 このタイミングでのブログ閉鎖、しかもシーズン終盤には「もっとサッカーを続けたい」というようなコメントも出ていたはずですので、退団の可能性が高いのではないかと噂されていました。
 しかし、今回発表されたコメントによると昨年末に負傷していたということで、発表がここまで遅れたのは移籍が決まりかけていたけれど破談になってしまったということなんでしょうか…。
 そのあたりは状況次第では非常にナイーブな情報で、表に出てこなくても仕方のない部分だと思います。
 コメントからは小さな怪我ではない印象も受けますから、怪我が大きく影響したのかなとも想像できなくもありませんね…。



 昨年の深井は出場13試合のみと、厳しいシーズンだったと思います。
 一昨年も序盤は左SHで起用されるものの守備に難があり、その後2トップにしてFWで起用されるもののポストプレーがうまくできず、その後は徐々にスタメンの座を失っていくシーズンでしたが、それでも36試合に出場していました。
 昨年は怪我も何度かあった記憶がありますが、2列目の選手が相手の間を取りながらショートパスを繋ぐサッカーで、深井にはフィットしにくいスタイルだったと思います。


 それでもシーズン終盤は、徐々に出場機会を伸ばしていきました。
 コンディションも非常によくドリブルにキレがあり、なかなかパスワークで打開できない展開や相手が守りを固めてくる状況で、深井がサイドから仕掛けクロスを上げるというジョーカー的な役割を任されていました。
 その頃には当初上手くできていなかった間を取る動きも、徐々に出来つつあった印象でした。


 しかし、間は取れるけれども、そこからはパスは少しずつずれることが多かった。
 そこでの小さなずれがパスワークのスピードを下げ、相手を崩しきれない要因の1つになりますので、スーパーサブとしてはともかく現行のサッカーではスタメンでは難しいのだろうなぁと感じていました。
 加えて町田、大塚、ナム、井出といった若い2列目の選手も出てきていますし、彼らを伸ばすためにも来期残留してもより難しい立場になるのではないかと。
 山中の加入も左SBのバックアップ兼アタッカー系スーパーサブで半分は深井の代わりとして期待しているのではないかと思いましたし、深井の退団は決まっているのではないかなとも思うところがありました。



 これだけベテランが多いチーム状況ですから、こうなってしまってはこのような別れも予想できたはずで。
 今年このままでいけば30歳以上の選手が10人にものぼり、世代交代は待ったなしの状況でした。
 その中でも深井は今年で34歳と、サッカー選手としてはかなり上の年齢になっています。


 それでもチームが成功を収めているのならよいのでしょうが、4年連続で1年でのJ1昇格を目指し失敗。
 今オフは退団する選手が多いですが、現状を考えればチームの改革は必須だと感じます。
 もちろん深井への思い入れは強く、できれば一緒にJ1に上がりたかった気持ちもありますが、一方で契約満了の予想もでき、そこまで驚くべきものではなかったと思います。


 チームに貢献してくれた選手とはいえ、山口智、勇人、岡本などジェフの"レジェンド候補"は他にもいるわけですから、その中で誰か1人を特別扱いするのは難しい状況で。
 ちょうど昨日も話しましたが、チーム状況が悪ければそこに残った選手も幸せとは言えないでしょう。
 今のジェフには世代交代が必要であると考えれば、こういった別れも考えていかなければいないはずだと思います。



 深井は2008年途中にジェフに加入。
 当時主力が大量流出して苦しんでいたジェフに移籍し、J1残留に大いに貢献してくれました。
 2008年後半のジェフというのは非常に勢いがあって、どんどんアタックを仕掛けるイケイケサッカーで残留争いを乗り切りました。
 深井はその中にいて、当時のジェフの象徴的な選手だったと思います。


 しかし、やはり勢いだけでは続かない。
 翌年には深井も32試合に出場しますが、早々にJ2降格が決定。
 2010年には倉田などの加入もあって深井も出場試合数を19まで減らしますが、2011年ドワイト監督がオーロイにあてて深井が拾うサッカーを行い、深井は再びジェフの主力選手となります。
 けれども、相手に研究されチームは徐々に失速。
 当時も話していましたが、個人的にはオーロイ対策というよりもボールを落とすだけのオーロイはある程度放っておいて、深井への対策を強められたことで攻撃が止められてしまった印象でした。
 深井の直線的な仕掛けはスピーディで勢いがあり魅力を感じますが、一方で相手は対策を取りやすく、守備面では戻りが遅い・ブロックを作れないという課題もあり、良い面と悪い面がはっきりしているプレーヤーだと思います。



 個人的には積極的に直線的なアタックを仕掛けるサッカースタイルが今でもサポに好かれている印象なのは、オシム監督というよりは08年のジェフのイメージが強いからではないか?とも思っています。
 昨年、米倉が積極性に縦に仕掛け、一方で守備に帰ってこないのを見るとどこか深井のプレーと重なって見えましたし、深井はチーム内外において影響力の強い選手だったなぁと改めて感じます。
 その選手が退団するということで、1つの時代が終わろうとしているのかな…といった印象すら受けます。


 気持ちのこもったプレーができる選手で、今のジェフの選手たちはその点で大きな課題があるだけに、そういった面では非常に残念です。
 今回のコメントからを読んでも力強い意志を感じますし、選手として迷わずに一つの道を突き進む姿に、多くのファンが魅了されたのだろうなと思います。
 しかし、一方でいつまでもそういった部分を深井1人に頼り続けていては、このチームは先に進まないだろうな…とも思っていました。
 ああいった熱いプレーがジェフで見られなくなるのは残念ではありますが、チームとして深井から卒業し自立を目指していかなければ、いつまでたっても足踏み状態が続くのではないかと。


 今期の所属先は決まっていないとのことですが、深井らしく怪我がしっかりと完治すれば今後もサッカーを続けられる環境を探すということなのでしょうか。 
 まずはしっかりと深井の怪我が治ることを。
 そして、再びサッカーができる場所が見つかることを祈りたいと思います。