2013シーズンを振り返る 佐藤勇人編
GK、DFも一通り終わったので、続いてMF部門へ。
まずは主にボランチとしてプレーしていた選手を、取り上げてきたいと思います。
2013年の佐藤勇人は、リーグ戦で30試合に出場。
ジェフ復帰1年目の2010年は全36試合にフル出場し11年にも36試合に出場していましたが、12年には31試合、昨年は30試合と徐々に出場機会が減少しています。
昨年は途中出場も多かったですから、出場時間ではより短いものとなりました。
現在のトレンドとも言えるのかもしれませんが、ここ2年間ジェフもボランチに丁寧なビルドアップができることをベースとして求めている印象で、パスセンスという意味では物足りない部分もある勇人は難しい立場になっているのかなと。
加えて90分間のスタミナ、活動量や動きのキレ、怪我などの問題もあって、出場機会を失っている印象です。
シーズン終了後に自身のFacebookで、自分が良い子になり過ぎていたこと、もっと自分を前面に出し周りにも要求していきたいことなどを話をしています。
ゴール前への飛び出しの話もしていますから、来期はその部分をもっとやっていきたいということなのでしょう。
勇人はシーズン中にも、もっと前へ飛び出していきたいと話をしていたはずです。
ただ、先ほども言ったように昨年のジェフはボランチからのパス出しを重要視している上、2列目の3選手がボールを受ける形からチャンスを作る戦術でやっているだけに、ボランチからゴール前へ飛び出していく形は余程うまくやらないとはまらないかもしれません。
2列目の選手が受ける動きをするためにビルドアップ時にはあまり前にスペースがない状態ですし、チャンスを作ってラストのところでタイミングよく飛び出せればどうかな…といったレベルで、相性はあまり良くないように思います。
そうなると来期も勇人の立場は厳しいままなのかという話になりますが、個人的には勇人の良さというのは飛び出しだけではなく、中盤でバランスを取れることだと思っています。
ポジションが「これでもか」というほど入れ替わって「アンバランスさがバランス」だったオシム監督時代の2,3年目にも、実際には勇人あたりがうまく中盤で動いてピッチ全体の均等を保っていた印象で。
もともと守備を期待するにはサイズの問題があり、攻撃においてはパスセンスがそこまであるわけではなく、運動量をベースにした飛び出しも年齢的に厳しくなってくる中で、今後勇人が生きる道というのは飛び出す動きよりも、ベテランらしくバランサーとしての役割をこなすことではないかと。
勇人が思い切って飛び出してくるプレーは勢いを感じますし見ていても盛り上がるところはあるのですけど、いつまでも若い頃のイメージだけでは生き残れないでしょうしね。
もちろんバランスを取りつつ飛び出せる形が作れれば、それが一番の理想なのかもしれませんが。
しかし、2013シーズンの勇人は夏場に伊藤からボランチのポジションを奪い返した時も、右サイドの守備の改善を勇人に託されたのではないかと思っていたのですが、残念ながらうまく貢献できなかった。
前への飛び出しを意識するコメントをしていましたけど、その分米倉の穴は埋めきれず攻守において大きな活躍とまではいかなかった印象です。
そして、怪我明けの山口慶にポジションを明け渡すことに…。
当初は戦術的な問題もあったのかなと思ったのですが、その後山口慶が入って米倉の裏のスペースを消したり、米倉を前に押し出す動きが出来ていたのを見ると、勇人のプレーは物足りなさを感じてしまいました。
アプローチのスピードやカバーリングなどは能力的な違いもあるとは思いますが、米倉の裏のフォローなどは勇人にもできたはずで。
山口智にキャプテンを簡単に…なのかどうかはわかりませんが、譲渡してしまったことも含めて今季の勇人はちょっと残念な印象がありました。
良い子になり過ぎていたのは、プレースタイルよりも精神的な問題だったような気がしないでもありません。
1年前に山口智が入ってきて、遠慮してしまっているところがあるんでしょうか。
そういったケースもあるからこそ、実績ある選手の獲得というのは慎重にやらなければいけなかった。
工藤も勇人が帰ってきて立場を失った印象だったし、久保も藤田が来なければ活躍できたかもしれないし。
OB戦をやるなら何とでもないるのでしょうけどね(笑)
もちろん勇人にだって十分すぎる実績があるのだから、勇人自身にも問題はあると思うのですが。
厳しい話になりますが、実際問題として勇人もかなり厳しい立場にいると思います。
昨年に関しても出場時間減少だけでなく、終盤の大事な時期にベンチを温めるだけで終わってしまった試合が多かったですし。
ベテラン選手ですし、今年ダメなら…という部分も出てくることだと思います。
もちろんジェフにとっては大事な選手で、ジェフに戻ってきてくれた恩もある。
けれど、ベテラン過多なジェフとしては、世代交代も考えなければクラブの将来が見えてこない。
クラブに将来性がなければ、そこにいる選手にとっても良い状況とは言えないはずで。
ジェフに帰ってきてくれた恩があるとはいえ一度はジェフから出ていったという事実もあるわけで、他にベテラン選手もいるわけですから、それだけでは残せないところもあると思います。
今年はベテラン選手にとっても、生き残りをかけた大事な年になるかもしれませんね。
その中でも勇人は長くジェフに在籍している選手ですし、頑張ってほしいと思います。
明日、明後日は更新お休みの予定です。