今オフの動きから見るクラブの変化

 今年も残すところ、あと数時間となりました。
 今年も1年長くダラダラとした文章を読んでいただき、ありがとうございました。
 先に話しておきますと、次回の更新は3日か6日かあたりを予定しております。
 まぁ、また何か臨時ニュースがあればやっていけたらなと思いますが。


 さて、今オフは久々に他チームに引き抜かれる側の立場に立って、モキモキ…じゃないヤキモキする展開になっていますね。
 昨年も藤田が横浜FMに移籍してしまったわけですけど、あの時はすっぱ抜かれたといった感じでしたし。
 それだけ今季は選手が育っていたとも言えるのかもしれませんし、一方でJ2生活が長いことにより戦力維持の難しさも感じるところがあります。
 大卒新人選手にも、何人も振られてしまっているようですしね…(笑)


 今年最後のブログ更新ということで、ひとまずストーブリーグ前半戦におけるジェフの動向をまとめてみたいと思います。
移籍
大久保択生(長崎)、鈴木隆雅(鹿島)、伊藤大介(大分)、米倉恒貴G大阪)、藤本修司、久保裕一(レンタル→岡山)、青木良太(レンタル→群馬)
現役引退
櫛野亮渡邊圭二

加入
高木駿(川崎・レンタル)、中村太亮(山形)、山中亮輔(柏・レンタル)、戸島章(レンタル復帰)、オナイウ阿道正智深谷高)


 こうして見ると退団選手が多いわりに、加入選手が少ないことがわかります。
 選手数が少なくなることは気になる部分でもありますが、ここ数年のジェフは選手の頭数はいてもチームを引っ張れるレベルの選手が出てこなかったという問題がありますから、数人の予算を1人の選手に当てるような方向で補強をすすめていったほうがいいのではないかとも思います。
 また、退団した選手を見ても、実際に今季の戦力となっていた選手となると、今のところは米倉、伊藤くらいでしょう。
 レンタル移籍していた久保も将来を期待する声は多かったと思いますが、その分同期の森本が加入したと考えれば、心情的にはともかく戦力面では大きなダウンにはならないかもしれません。
 そこは今後の森本に期待したいところだと思います。


 伊藤に関しては終盤に入ってからベンチ入りも出来ていなかったですし、その分町田という次世代を担う選手がスタメンを奪取。
 伊藤退団の同日に獲得が発表された山中は左SBとしてプレーできる選手で、ダブついていたボランチから退団する選手が出て、最も層の薄かった左SBが厚くなったと考えるとすればプラス面も多いように思います。
 まぁ、レンタルであるところは残念ではありますが、現状だと完全移籍で山中のような選手をとれるとは思えませんし、あまり贅沢は言えないのではないでしょうか。
 もっとも山中は伊藤とではなく、高橋と比較すべき状況になるのかもしれませんが…。



 また、米倉に関しても攻撃的な左SB中村が加入しましたから、左右を変えて中村に米倉並かそれ以上の活躍を期待したいところです。
 今季の米倉はパスサッカーを軸とする戦術において、"異物"というか"メイン戦術の外"にある存在だったと思います。
 だからこそ、そこがアクセントになっていたと思う一方で、取り換えはしやすい面もあると思いますから、大きくチームの根底を覆すようなものではないと思います。
 中村は米倉とは違いスピードあるドリブルも武器になる選手ですから、行き詰った時に狭いところで仕掛けてチャンスを作るという新しい攻撃も期待できるかもしれませんしね。
 逆に高橋の方がパスワークのポイントの1つになっていただけにいなくなると困る可能性があると思いますし、高橋が抜けた場合の対応も含めて今後の動向が気になるところです。



 先日も話しましたが、チームを活性化し新たな可能性を求めるためにも、選手の退団や入れ替えというものは非常に重要で、主力選手の退団もマイナス面だけでなく結果的にプラスになる場合もあると思います。
 オシム監督も珍しく選手の出入りが少なかった06年に、代わり映えしない選手構成を嘆いていたことがあったように、チームの伸び代を増やすためにも多少リスクがあったとしてもある程度動きはあったほうが良いのではないかと。
 例えば村井が移籍して水野が試合で成長したり出場したり、茶野が移籍して水本がでてきたり…という部分もあったはずですし、これは他チームにも似たようなケースがあると思います。
 大事なのは代わりとして期待できる選手がいるかどうかですが、今のところ米倉の代わりは補強できたはずだと思いますしね。


 しかし、出来ることなら勢いのあった両SBではなく、限界も感じたボランチやCBの一角などにおいてその入れ替えを期待したいところでしたが。
 また、ベテランの多い選手構成を考えれば、ベテランを放出して若手や中堅どころを獲得できれば…とも思いました。
 ベテラン選手とは実績がある分複数年契約を結んでいる場合も多いのでしょうし他からの引き抜きもないでしょうから、やりたくても出来ない部分もあるのかもしれませんが…。



 ただし、一方で今季加入してきた選手を見ると、こちらも若手・中堅が中心となっています。
 若手・中堅が退団し若手・中堅が加入したのだから年齢構成的には大きな変化はなかったとも言えるとは思いますが、これまでのジェフなら早期の結果ばかりを優先して、ベテラン選手で補強・穴埋めをしていたのではないかと思います。
 これに関しては、もしかしたら斉藤TDが就任して方針が変わった部分があるのかもしれません。
 振り返ってみると、昨年も外国人選手が多かったとはいえ、ケンペス以外はナム、キム、ジャイール、碓井と若手から中堅の選手を補強しています。


 ベテランが多い選手構成によってチームが伸びてこない、スタミナなどフィジカル面に問題が生じるといった大きな課題がありましたから、ベテラン補強優先の補強方針から若手・中堅を中心とした補強をしていくというのであれば、それは大いに期待していきたいところではないでしょうか。
 もしその分レンタルでないと若手有望選手が補強できない…というのであれば、そこは我慢しなければいけないところもあるのではないかと思います。
 

 もちろんまだまだストーブリーグも後半戦が控えていますから、まだ結論を出すには早すぎますけど、個人的にはここまでのオフの動きは決して悪くないと思っています。
 特に米倉の穴埋めなどやるべきことはしっかりとやった印象で、若手育成といっても退団した選手たちは伸び悩みを感じるところが多かったですし。
 若手育成を目指すからといって、いつまでも芽の出ない選手を置いておくのは、チームのためにも本人のためにもならないですからね。



 今年1年を振り返ると決して順風満帆ではなくJ1昇格という目標も逃してしまいましたが、鈴木監督のチーム作りに関しては進歩が遅かったという面はあったにせよ、大枠での方向性は間違っていなかったのではないかと個人的には思っています。
 細かな戦術面の構築や積極的な選手起用の部分において少しずつでも着実な進歩を感じていましたし、ようやくチームをじっくりと積み上げることができる指導者を連れてこれたのではないかと思います。
 それに加えて、斉藤TDが就任したことによって選手補強に関しても、目先の結果にこだわって実績あるベテランばかりを獲得して、バランスの悪い選手構成になってしまうという問題が解決の方向に進む可能性も見えてきたのかなと思わなくもありません。
 そう考えていくと、ようやくジェフが少しずつ"正常化"しつつあるのかなぁと感じます。


 もちろんまだまだ足りないところはありますし、クラブが良い方向に変わる可能性といってもまだ兆しレベル。
 それによって、クラブを成功に導けるかどうかという点も、まだ未知数と言えるでしょう。
 正しい方向性を打ち上げられたとしてもそれをモノに出来なければ意味がないわけですし、そういった意味ではこれからが大事になってきます。
 それでもクラブにかかわる多くの人たちが、かすかな希望の光を信じて、1つの方向性に向かって共に歩んでいけるかどうかが、何よりも重要なのではないでしょうか。 
 今はまだそういった部分が足りていないような気もしなくもありませんし、サポとしてもそこが来季に向けての1つの課題なのかなとも思わなくもありません。
 ともかく、ジェフとジェフの関係者全員が素晴らしい一歩を踏み出せる1年になることを期待して、今年のブログを締めたいと思います。