伊藤の移籍と山中の加入 高橋は神戸へ?

 まさかの連日更新。
 当ブログも年末進行です。


伊藤大介選手移籍のお知らせ(ジェフ公式サイト)
 移籍リスト入りやトライアウトでの欠席表記もあって、予想はされていた移籍。
 しかし、米倉移籍の翌日に発表されたこともあって、ショックは大きくなりましたね。


 伊藤はジェフユース出身で、順天堂大を経由して2010年ジェフに加入。
 1年目から11試合に出場するなど、将来性に期待を感じさせてくれました。
 入団当初はトップ下の位置から動き回って、ボールを散らすプレーが印象的だった記憶があります。


 しかし、2年目からはボランチでのプレーが増えていきます。
 トップ下としては前への仕掛けの面で物足りないと評価されたのか、ゲームを作れる選手が他にいなかったという問題もあったのか。
 両方なのかもしれませんが、前にも言ったように個人的にはこれが分岐点だったのかなぁと思わなくもありません。
 パスを散らす部分に関してはミドルパスだけでなく伸びのある中長距離のキックも蹴られる選手ということで、まずまずの可能性を見せてくれたと思います。
 またプレースキックにおいても武器になっており、オーロイ、ゲッセルなどがいたドワイト監督体制で出場機会を伸ばしたのは、その点もあったのかもしれません。
 しかし、守備に関しては課題も多くプレスに行けている時はいいのだけど、受けに回るとポジショニングが曖昧で前に詰めることが出来ず、サイズも小さいので相手を潰しきれないという状況が多々ありました。
 攻撃面においてはともかくとしても、守備面においてはなかなかボランチの動きを習得しきれなかったのかな…とも。



 リーグ戦での出場試合数を見るとここ3年で24試合、25試合、23試合と大きく変わりないように見えますが、出場時間で言えば2003分、1776分、1467分と年々減少していました。
 それだけに本人が移籍を考えるのは妥当だと思います。
 チームとしても戦力ダウン…と言いたいところではあるのですが、今年はシーズン途中にスタメン出場していたものの終盤にはベンチ入りすらできなくなるなど尻つぼみの状況でした。
 パサーとしては兵働に勝てなかったですし、ポジションは違えど若い町田などが出てきたことも大きかったでしょう。
 井出もそうですけど町田も含めてサイズの問題がありますので、2人、3人と同時起用しにくいという部分もあったのではないでしょうか。


 それにしても藤本、久保と大卒選手の難しさを感じます。
 近年は高卒でプロ入りしても出場機会は得られないので、大学で経験を積むルートが非常に増えています。
 しかし、大卒だとプロ入り3年もすれば25歳。
 サッカー選手においてはすでに中堅で働き盛りの年代であり「出場機会があればいい」というレベルでは、その後の選手人生において支障をきたすかもしれない。
 例えばとして彼らの同世代では米倉がいるわけですが、米倉のように入団からじっくりと見てあげるというわけにはいかないわけで、プロ入りしたチームに対しても早い段階で次のステップを考えなければいけなくなる場合がある。
 もちろん高卒は高卒で難しさもあるとは思いますが、大卒においても早くチームになじみ結果を出し軸とならなければいけない…という難題が出てくるわけですね。



 今シーズンも途中までは試合に出場していただけに、個人的には来期以降にも期待する部分はなくはありませんでした。
 しかし、終盤の試合で町田がボランチで起用されたことがあるのですけど、あれを見て伊藤もこのままでは…と感じてしまいました。
 町田は本来トップ下の位置ですが、ボランチに入ってもスペースがあればスッと守備に入って、右SBの攻撃力を活かそうと思えば自分から右に寄って、チームをコントロールしていた。
 サイズ的には町田の方が小さくも見えますけど、伊藤の方がボランチ経験は長いであろうにも関わらず、攻守に町田の方が気の効くプレーが出来ていた印象でした。


 それはようするに、"積極性"というか"自発性"の問題ではないかと。
 自分がチームをコントロールし、引っ張っていくんだという姿勢の部分。
 以前から伊藤そういった面は指摘されていましたけれども、個人的には伊藤に限らず現在のチームにおいて一番足りていない部分ではないかなと思わなくもありません。
 山口智に依存してしまう部分もそうだし、自分がチームを引っ張るんだという姿勢を感じられない選手が多い。



 その最もたる選手の1人が伊藤ということになってしまうわけですけど、3年間それなりの出場機会があったにもかかわらずそこが変わっていかないということになると、それに対して一番手っ取り早い対策というのは環境を変えることなんじゃないかなと。
 現在のジェフではどうしてもベテランが多いし、環境に関しても慣れてしまっている部分があるでしょう。
 伊藤自身もそれをわかっていて、大分のHPで「強い気持ちと覚悟を持って」とコメントしているのではないかなと思います。
 能力が高い選手であるということはわかっているだけに、この移籍で変わる可能性も十分あるのではないでしょうか。
 ライバルとしては手強い相手になる可能性もあるかもしれませんけど、選手としての更なる一歩を遂げられるように祈っております。


山中亮輔選手加入のお知らせ(ジェフ公式サイト)
 中村に続いて驚きの補強ということになるのではないでしょうか。
 ユース代表にも選出され、柏でも大いに期待されていることが知られている選手。
 出場試合数も10試合に伸ばしてきていましたし、今後柏でブレイクする可能性も十分にあったと思うのですが、今年は橋本の怪我も多く高山、輪湖といった実力ある選手を補強したため、山中はレンタルで…ということなのでしょうか。


 スピードのある左サイドアタッカーで、左足でボールを蹴られる選手。
 SBでのプレーも可能で、ジェフにおいては薄いポジションを埋めたことになると思います。
 中村を補強したとはいえ、今年の1トップなどを思い出せばわかるように、やはり1人では厳しいところがありますからね。
 もし高橋が残ってくれたとしても、高橋は右SBで固定することに越したことはないのでしょうし、左SBを中村と山中が争うことになるのかなと。
 どちらも攻撃的な選手で、スーパーサブ的な役割も期待できるかもしれません。



 レンタルでの獲得というのは残念ではありますが、長年J2にいることや予算があるといってもJリーグ全体においては決して豊富ではないこと。
 ベテラン選手が蓋をしていてなかなか若手選手は来づらいだろうことなどを考えると、実際問題として補強も簡単ではないだろうなと思います。
 しかし、一方で勿論チームのレベルを上げていくためには、選手の質というは極めて大事なことで。


 ここ数年とりあえず実績のある選手をかき集めては見たけれど、飛び抜けた選手がおらず苦しんだことを考えれば、どうにか工夫をした補強をしていかなければいけない。
 中堅で実力ある選手という一番の即戦力は補強は難しいわけで、今まではそこでベテラン選手補強に走ってきたわけですけど、それでは結果が出ないことを考えると、レンタルでも若手有望選手を捕まえてくるという策も使っていかなければいけないのではないかと。
 新人選手獲得においても、今年は見事に振られ続けている印象ですしね(笑)


 J2を立場を活かして、J1からレンタルで補強するという考えも持って補強していく…と。
 さすがに長崎までいったらレンタル依存率が高そうで不安だろうし、あそこは予算の問題もあるでしょうから完全移籍への移行も難しいかなとは思うのですが。
 相手チームからしても武者修行というケースもありますが、レンタル移籍を決めた時点でチームは放出を決めているケースも少なくないと思いますしね。


神戸 千葉DF高橋&ロンドン五輪韓国代表MF獲得へスポニチ
 …で、たぶんそのケースなんだと思うわけですよ(笑)
 もともと浦和は戻すつもりは、あまりなかったのではないかなと。
 しかし、契約の問題や本人の浦和への強い思いもあって、レンタル移籍だったのかなぁと。
 まぁ、普通に考えても本気で残しておきたい選手なら、レンタルなんてさせないほうが良いわけですしね。


 相手が浦和ではないだけにチャンスはあると思うし高橋はぜひ確保したいところですが、お金の面なのかJ1の方が良いという意思があるのか。
 神戸ということを考えると、右は奥井がいるし左の相馬と勝負?
 決してそこまで分のいい相手ではないように思うのですが、チャンスもなくはないという感じなんでしょうか。
 神戸は米倉獲得にも動いていたようですけど、まさかの木山さんルートなんですかね…。



 心情的には米倉移籍の方が痛いけれども、戦力的にはもしかしたら高橋の方が痛いのではないかなぁとすら思っていました。
 ビルドアップが出来て、守備が出来て、走れて、両サイドをこなせるSBというのは、なかなか探しても出てこないでしょう。
 ドリブル突破やクロスといった派手なプレーはない選手だから評価が上がらないところがあるかもしれないけれど、逆にそういった派手なプレーができる選手というのは意外といるわけで。
 オシム監督も地味でもビルドアップの出来る選手やポリバレントで水を運べる選手が大事なんだと、口酸っぱく言っていましたけど高橋はそういった選手の1人だと思います。
 これでサイズもあればいうことはないでしょうけどね(笑)


 今オフ、ジェフで引き抜かれるような移籍があるとしたら、米倉か高橋だろうなと思いました。
 町田もまだフルシーズン通して活躍したわけではないですし、それ以外はどんぐりの背比べといった感じでしたから、そういう意味での驚きはないです。
 しかし、両方引き抜かれるとなると、さすがにちょっと残念ですね。


 まぁ、米倉が出て中村が入って左右入れ替わるとしても、また修正していかなければいけない部分は出てくるだろうなとは思いました。
 またチームを活性化するためにも、ある程度のシャッフルは必要だろうとも(できればSB以外でしたかったですけど…笑)。
 けれど、ポリバレントな高橋だからこそどういった形でも対応しうる能力のある選手だと思いますし、それは例えば一発はあるけれども課題も明確にある米倉などには難しい部分があったはずです。
 それだけに出来ればジェフに残ってほしかったですけど、どちらに転んだにせよ切り替えるしかないですね。