2013シーズンを振り返る 山口智編

 今季は佐藤勇人からキャプテンを受け継いでプレーし、41試合に出場している山口智
 DFラインのリーダーとして欠かせない存在だったと思うのですが、自身のプレーにおいては苦労した1年だったと思います。
 特に35歳という年齢もあって、スピード面での課題が明確に出ていた印象で
 DFラインの裏への対応に弱点があることは相手チームの選手からもはっきりと指摘されていましたし、昨年以上にその課題が出たシーズンだったと思います。


 昨年山口智が加入してDFラインが横一列に綺麗に整備されましたが、横一列のラインというのは相手選手を見るのではなく味方選手を見ながら調整するわけですから、一発で裏を取られる可能性は高まる場合もあります。
 それでもラインを高く維持できればコンパクトに守れて出所を抑えられますが、山口智が入ってからはラインが低めになることも少なくなく。
 今季特に多かったのが、山口智が前に潰しに行って相手を潰しきれず、裏を取られるパターンでした。
 一歩目のスピードに課題があるから、前に出ては行くもののそこでボールを奪えずに、その裏を突かれてしまう…と。
 これに関してはボランチのボール奪取能力や高さの面に課題があるため山口智が前に出ざるを得ないという部分も大きかったと思いますが、相手にもそこを狙われていた印象があります。
 来期も山口智をCBとするのなら負担削減のためにも、ボランチで潰せる選手が余計に欲しくなりますね。


 また、空中戦においても身長や高さなどはある選手ですが、アジリティがない分落下点に入るのが遅れて前を取られてしまうことが多い。
 それが顕著に出たのがセットプレー時の守備で、ここも相手に狙われていた印象でした。
 オーロイもセットプレー時に前を取られて失点する…ということが多かったですけど、それに近いような感じでしたね。



 しかし、ビルドアップにおいては大いに貢献しており、パスサッカーを目指すにおいて重要な存在だったと思います。
 また守備時も読みの部分などは素晴らしく、さすがと思わせるカバーリングを魅せてくれるシーンもありました。
 キャプテンシーについては言うまでもなく、例えば米倉のポジショニングの改善は山口智の存在も大きかったのでしょう。


 ただ、そのキャンプテンシーがあまりにも強すぎて、山口智に他選手が依存しきっている印象もなくはありません。
 他選手のコメントなどを見ても影響力の大きさを感じますし、昨年も山口智が怪我でいなくなった途端にDFラインが混乱してしまったことがありました。
 代わりに出場した竹内・大岩のコンビも決して、能力的には大きく劣っているとは思わなかったのですが。
 これは山口智本人ではなく、周りの選手の問題が大きいように思います。


 しかし、そういった影響力の大きさもあって、山口智を代えたくても代にくい問題がより一層強くなってしまっている。
 周りからは簡単に変えろと言えるかもしれないけれど、ピッチ上のリーダーであることに変わりはないわけで、それで負けでもしたら…ということになりますしね。
 中西永輔を解雇とした時もオシム監督が影響力の強さを懸念して…という話があった記憶がありますが、その時も大きな波紋が起こりました。
 いわゆるレジェンド選手の扱いというのは難しいですが、山口智を獲得してしまったことによって自発的にその状況を作り出してしまった印象があります。



 個人的には戦術を理解しているというよりは、どちらかと言えば自身の経験と勘を元にプレーしている印象があります。
 DFラインの押し上げにしても、今季のサッカーを考えればもっと上げてほしいけれども、そうもいかない感じで。
 昨年はSBが極端に絞ってCBも下がってゴール前で跳ね返す戦い方だったのでそれでもよかったのでしょうけど、今季はよりコンパクトに守ろうという意図だったと思います。
 にもかかわらず昨年同様のラインの高さだった印象で、その守り方はG大阪時代にも近い印象があります。
 チームの意図よりも自分の感覚でラインを制御してる印象で、シーズン序盤に少しラインを引き上げた時も、先日取り上げたように健太郎が主導だったのではないかなぁとも思わなくもありません。
 それはそれで1つの武器とも言えなくもないですが、守備時に上げられないのはプレスの問題もあるにしても、攻撃時にもラインは低くカウンターを受けた時に前の選手が長い距離を戻らなければならなくなる。
 これが足が止まる1つの要因だった気もします。


 山口智にはどうしても厳しくなってしまいますけど、それくらいのことを他の選手も思ってやってほしいなと(笑)
 山口智が特別なのではなく、周りが山口智を特別にしてる面もある気もします。
 もちろん実績などは十分なのですけど、大事なのは今どういったプレーができるかですからね。
 ジェフ復帰組が多いことは心情的には嬉しいのですけど、逆に一番旬な時期は他のチームで過ごしたこと、ジェフにベテランが増えてしまうことなども考えて帰ってきてほしいと思いますし、こちらもデメリットはあるのだからそれなりのプレーをしてくれなければ。
 年金リーグなんて言葉がありましたが、年金クラブにならないようにしないと。
 そこは今後のクラブのことなどを考えても、1つの反省としてはっきりとさせておかなければならないところがあると思います。



 山口智のコメントなどから察するに、契約は後1年残っているのでしょうか。
 山口智としてもJ1昇格のラストチャンスかもしれないですし、大事なシーズンになるでしょう。
 チームとしては他の選手がポジションを奪うくらいのプレーをしてほしいところですが、その中で山口智が活きるとすればプレーオフ準決勝のように司令塔のように積極的なプレーが毎試合できるかどうかということになるのかなと思います。
 あれを1シーズン続けられる体力があるのかどうかも含めて。
 チームとしても頻繁にDFラインの軸を変えることは出来ないでしょうから、ここは来期も頭を悩ませることになるかもしれませんね。