町田「試合を決定づけられるプレーヤーに」

米倉恒貴「自分もシュートを決め切らないといけないところがありましたし、悔しい限りです。今日はやらなきゃいけないという気持ちが強くて、何て言うかサポーターの声に応えなきゃというのをすごく感じていて、その分頑張れましたけど、本当に最後の精度はこういうプレッシャーの中でも大事にしなきゃいけないと思いました。

町田也真人「相手のDFが先にボールに触るかなと思ってちょっと遅れてしまったので、ああいう形になってしまったんですけど、もう少し早く行っていれば余裕を持ってシュートを打てたのかなと思いました。ここ最近、ずっと無失点に抑えられていなかったので1失点は仕方ないかなと思っていました。やっぱり2点、3点取れない攻撃陣に問題があると思うし、その責任はすごく感じています。もっともっと練習して自分が試合を決定づけられるプレーヤーになりたいと改めて強く思いました。」(J's GOAL

 どちらも今や攻撃のキープレーヤーとなった2人ですね。
 徳島戦でも2人のプレーは悪くなかったと思います。
 米倉は90分間を通して良くアップダウンしていたと思いますし、GKを交わしてシュートを放ったシーンでも長い距離を走って飛び出していきました。
 後半途中からは前線に飛び出す選手も少なくなっていましたから、あの動きはかなり効果的だったと思いますし、素晴らしいダイアゴナルなスプリントでした。


 町田もワンタッチでボールをさばくことで、徳島の密集プレスを交わして攻撃のリズムを作っていました。
 後半10分に谷澤のスルーパスからケンペスが抜け出したシーンでは、その前に町田がワンタッチで斜め前にパスを出すことで相手CB一人を交わし、谷澤が後方から飛び出していってスルーパスを出してもう1人のCBを交わしていました。
 それによりケンペスはフリーとなり、逆SBのアレックスが遅れて後追いしなければいけないほどの崩しが作れたことになります。



 しかし、本人たちも話しているようにそれぞれ2度3度とチャンスもあったと思いますし、そのうち1本でも決めてほしかったなぁとは思いますね。
 最後を決めきる力、決定力…。
 そういった部分だけでサッカーを語るつもりはないですが、最後の形まである程度作れていたからこそ、ラストプレーの質も問われる段階にあった試合ではないかと。


 もちろん町田はパスワーク、米倉はチャンスメイクでも貢献していましたから、そこへの負担もあったと思います。
 その分1トップにいるケンペスが決めてくれないと…という部分は大きいわけですが、本人たちの更なる成長を求めるためにもただの「良い選手」というだけでなく、町田の話しているように「試合を決定づけられるプレーヤー」になってくれることを期待したいところです。



 特に町田はこのままのチーム体勢で行けば、来季は町田中心のチームになる可能性も十分あると思います。
 そうなった時に中心選手が大事なところで試合を決められるかどうかの違いが、そのままチームの命運を握るといっても過言ではない。


 戦術的に見てもケンペスがゴールを決められないと苦しむ試合は多かったと思いますが、それも2列目において「パスを出せてゴールも決められる選手」がいなかったというのはすごく大きいと思います。
 田中はゴールを狙える選手ではありますが決定力には課題もあって、それもあって徳島戦では途中出場で使いにくかった、深井の方が選ばれたという部分もあったのでしょう。
 そして、田中は足元の技術に課題がある。
 逆に谷澤や兵働などもパスは出せるけれども、現状だと得点力には課題がある。


 そういった形でパスを出せる選手とゴールを狙える選手が二分化した結果、パスサッカーを目標とする今季のチームではパサータイプの選手が重視されて、結果的にケンペスにゴールが集中したという部分もあったと思います。
 もっとも戦術的に「ケンペスに頼ったチーム」だったかと言うとそうではなくて、むしろケンペスが個人で突破しようとしたシーンではことごとくシュートを外していたわけですが…(笑)
 それでも、難しい態勢でもゴールを決められる「ケンペスの得点力」は、1つの武器だったとも思いますけどね。


 特に徳島戦では谷澤本人も言っているように谷澤がゲームを作っていたからこそ、町田が高い位置でプレーできる回数が多くなったと思いますし兵働もチャンスメーカーとしてプレーしていましたから、どうしてもケンペスの次に町田のゴールが期待された部分が大きかった。
 そこで町田が一本決められるかどうかが、すごく大事なんだろうなと思います。
 来年はより町田を警戒されるかもしれませんし、フルシーズンで主力となれば体力的な問題も出てくるかもしれない。
 けれども、町田が今シーズン終盤に試合に出始めて相手との間合いの取り方なども含めて成長し、2列目で動き回ることによってチームの攻撃がより活性化した影響はすごく大きかったと思います。
 徳島戦でも見せたように前に早いパスワークが出来るようになったのは町田のプレーと成長があったからこそだと思いますし、ああいった試合が続けられればチームの将来にも希望が見えてくると思います。



 一方で来期どうなるかわからない米倉ですが、夏場以降苦しみなながらもシーズン終盤はうまさも見せられるようになってきたと思います。
 徳島戦でも前半終盤においてフリーとなった町田にどんぴしゃのクロスを上げていますし、悪くない試合内容だったかなと思います。


 ただし、相手がしっかりと間合いを詰めてきたことで、アレックスや大崎をドリブルで抜き切れないシーンも目立ちました。
 もともとドリブルがある・スピードがあるといっても、一瞬のスピードで相手を抜き去るプレーやトリッキーなドリブルで変化をつけることができる選手ではないと思います。
 そのあたりはここから伸びる部分ではないと思いますし、それだけにパスワークだとかボールを受ける細かなポジション修正、ボールを持った後の状況判断などをもっと高めていかなければいけないのではないでしょうか。
 加えてシーズンを通して初めて主軸として試合に出続けたことによって、疲労の部分も見られたかなと。
 クロスの精度なども良かったころに比べると落ちていたようにも思いますし、そこも今後の課題ではあるのでしょうね。


 最後の試合に決めきれなかったことも含めて、まだジェフでやるべきことはあるし成長できる部分もあるんじゃないの?と思いつつ、最後は自分の人生ですから悔いのない決断をしてほしいです。
 あれ?移籍やまとめの話は、また今度しようと思ったのに…(笑)