兵働、復活のスルーパス

 熊本戦2点目は兵働のスルーパスから町田が抜け出し、クロスを上げてケンペスがゴール。
 3点目は中盤のパスワークから兵働が高橋へスルーパスを出し、4点目も兵働の浮き球のスルーパスから田中が飛び出しクロスを上げてケンペスという展開。
 もっと言えば、先制点も兵働のFKがクロスバーに当たり、それを再び拾ったところからの展開でした。


 兵働は6月末に負傷し、その後戦線に復帰してもなかなか状態が戻ってきませんでした。
 特に相手の寄せに対する反応が遅く、囲まれてボールを奪われるシーンが目立っていたように思います。
 あまりにも動きが良くないので今年中の完全復活は難しいかな…なんてことすら思ってしまったのですけど、熊本戦では兵働復活を思わせるプレー内容でした。


 正直今年の兵働は諦めて、スタメンでの起用も考え直すべきではないかと何度も思っていのですけど、鈴木監督は我慢して使い続けて見事に兵働を復活させましたね。
 コンディションが戻らないのか、怪我の問題がまだ残っているのか…と心配していたのですけど、試合勘の問題も大きかったということなんでしょうか。
 だから、熊本戦ではあえて90分間プレーさせて、感覚を取り戻すように促したのかなとも思わなくもありません。
 熊本戦でも60分頃には疲労が見えて、一時的に足が止まっていましたが。
 試合途中からはボランチでの起用も試されましたが、これも昨日言ったように攻撃オプションの1つとして考えているのかなと。
 特に2トップをオプションに考えるのであれば、守備には多少目を瞑ってもボランチからボールが出る方の方が良いでしょうしね。



 町田や大塚のようにトップ下の位置から正確なチャンスメイクを出せる選手が出てきましたけど、兵働がサイドや少し下がった位置から一気に決定的な展開ができるようになれば、トップ下の選手もより活きてくるのではないかと思います。
 実際、熊本戦では兵働のタメや中距離のパスが出ることによって、同じテンポになりがちなパスワークのリズムを変えられた印象もありますし。
 兵働にとってもマークの厳しいトップ下よりもSHの位置からパスワークに絡んだ方が本人の良さは行かせるのではないかと思いますし、現在の起用法は昨年以上に兵働の良さが出るようになっているんじゃないでしょうか。
 ただ、守備に関してはうまく相手に付ければいいのですけど、守備範囲だとかスピード、運動量の部分は課題になりますね。


 味方選手を走らせるスルーパスだけでなく、前に出ていく回数が多い時の兵働は好調な印象で、熊本戦でもそれが感じられました。

田中佑昌「(52分のケンペス選手の得点のアシストは)中にヒョウさん(兵働昭弘選手が)突っ込んで行ってくれてうまく相手のマークを連れて行ってくれたし、ケンペスがいるのが分かったので。ケンペスに合わせてあげれば競り勝ってくれると思ったので良かったです。(J's GOAL

 町田が小柄ということもあって、ケンペス、田中だけでなく兵働もゴール前に飛び出せるかどうかというのは重要だと思います。
 昨年は気づきませんでしたが、今シーズンに入ってゴール前に飛び出す回数が増えている印象もある兵働は、戦術眼が鋭いということもあって良いタイミングでゴール前に入っていけるため、高さなどはなくても効果的な飛び出しが出来る選手なんだなと感じました。



 まぁ、熊本戦に関しては一方的な試合展開になったためプレーしやすかったという部分もあったのでしょうけど、それを差し引いても状態は良くなってきているのように感じました。
 ナムなども練習試合で復帰し、森本もゴールを決め、山口慶も復活し、かなりタレントは揃いつつあるのかなと。
 その中でも攻撃をコントロールできる兵働の復活は、非常に大きいものだと思います。