試合序盤に見たワクワク感

 台風18号の接近もあって開催が不安視されたジェフ対京都戦。
 実際、徳島対山形戦は延期になるなど、他会場では影響があった模様です。


 しかし、ちょうど土曜の午後は影響が少なく、助かりましたね。
 試合延期などになって、シーズン終盤の日程が過密になるのはあまり好ましくないんじゃないかなとも思いますし。
 もっとも試合が終わってから考えると、延期でも良かったのかなぁなんてことも思ってしまいましたが…(笑)
■ジェフペースで先制ゴール
 天皇杯讃岐戦を2トップで戦ったジェフ。
 健太郎の出場停止もあってスタメンが気になりましたが、天皇杯で良いプレーを見せたという町田がスタートから起用されるという驚きがありました。
 代わりに外れた形となったのが大塚。
 確かにここ数戦の大塚は疲れも見えなくもなく、バイタルエリアで受けるのか、ゴール前に飛び出すのかといったところで、迷いも見えなくもありませんでした。


 その点で試合序盤の町田は良かったですね。
 トップ下の位置から積極的に走り回って、ジェフの流れを作り上げていました。
 運動量豊富に動くことで、中盤に戻ってボールを受ける動きも、前に出ていってボールを引き出す動きも両方やってやろうと。
 そんな姿勢を感じました。


 町田を中心とした細かな中央でのパスワークから押し込むジェフ。
 それを凌いでカウンターを狙う京都という展開でしたが、京都はすばしっこく動いて、相手のスペースの間に入って行く町田をとらえきれずにいた印象で。
 ミドルシュートも打てていて、流れとしてはジェフペースだったと思います。


 前半15分。
 ジェフが右サイドからのCK。
 伊藤が蹴ったボールをケンペスが合わせて、最後は田中がゴール。
 ジェフが先制します。


 しかし、ゴールを決めた後は運動量も落ちてしまって、受けに回ってしまった印象です。
 先制点をあげると毎回、そのあとに勢いを止めてしまうというのは、やっぱり1つの課題な気がしますね。
 町田も先制点までは良かったものの、運動量が落ちてくるとどうしてもフィジカルコンタクトが増えて、課題の方が目立つようになっていきました。


 とはいえ、京都の方もいまいちピリッとはせず、得意の選手が集まって細かくパスを作るところまでも持っていけずに、長いボールで裏を狙うパターンばかりになっていました。
 カウンターを意図的に狙っているにしても、良い時の京都の比べて選手の距離感が広すぎる印象で、攻撃が単発になりがちでした。
■後半から2失点で逆転負け
 後半からは京都運動量が増してきて、攻撃に厚みが出来ていました。
 この試合から2トップに代えてきた京都ですけど、後半からは中盤の選手のプレーエリアが高くなって、2トップに対してのフォローが増していきました。


 一方のジェフは後半からガクッと運動量が落ちて、全体のラインも下がりがちに。
 ケンペスの守備も後半からはまったく期待できなくなり、中盤の動きも重くなっていきました。


 ズルズルと押し込まれる展開で、後半21分。
 ジェフから見て左サイドから右サイドに大きく展開されたところで、米倉がボールにチェックにいたところ、簡単に突っ込んでいって相手に一発でかわされれしまい、中央にクロスで合わせられて失点してしまいます。
 運動量が落ちてズルズルと守備が下がってしまったというのは大きいな問題ではありますけど、米倉のこのプレーはあまりにも雑な守備だったと思います。
 SBだとかSHとかいうポジションの問題ではないですね。


 チーム全体においても90分間で考えれば、耐える時間帯が出てくることは決しておかしいことではないはずで。
 そこで集中力を切らしたり、我慢できずに穴を作ってしまう…というのはちょっといただけないですね。
 米倉以外のところでも厳しく行けない軽い守備が多かったですし、プレーオフなどを考えると今後が心配です。
 守備のメンタリティが弱すぎるというか、耐える、我慢するという意志が感じませんでした。



 後半32分。
 ケンペスに代わって森本投入直後の時間帯に、2失点目を与えてしまいます。
 右サイドで途中交代の兵働がボールを受けて、米倉がオーバーラップ。
 しかし、兵働がボールを失い、米倉の裏を狙われてカウンター。
 竹内が並走するもクロスをあげられてしまい、中央の山瀬がゴール。
 京都とすれば前半から狙っていたカウンターが、ようやく実った展開ということになるのかなと思います。


 それ以降ジェフも攻めにはいきますが、前半から見られたようにパスミスも多く、足も動かず、反撃すらできなかったような印象でした。
 森本もうまく活かしきれず、1-2での敗戦となってしまいました。
■90分間スタミナが持たず
 試合開始直後のジェフは動きが良く、コンディションが戻ってきたのか、それとも飛ばし気味なのかという部分が気になってはいたのですけど、残念ながら後者だったようですね。
 その時間帯はスタメン起用された町田が積極的に動き回って良いプレーをしていましたけど、それに周りの選手もつられて頑張りすぎたのかな…という気もしないでもありません。
 その結果がここ数試合はあまり見られなかった、顕著なスタミナ切れにつながったのではないかと。


 90分間スタミナが持たないにしても、もう少しやりようはあったはずで。
 試合序盤にあまりにも飛ばしすぎないこと。
 飛ばすなら飛ばすで、1点取った後にもう1点その流れでゴールを奪いに行くこと。
 押し込まれた時間帯で、我慢して守ることを覚えること。
 そのあたりが、この試合で欠けていた部分だったように思います。



 特に後半の出来の悪さが際立ってしまいましたね。
 FWももちろんですけど、中盤もチェックに強く行けず、ラインがずるずると下がって、DFラインの選手たちの動きも1歩ずつ遅い。
 これでは守りきれるわけもなく、攻撃に移っても攻撃参加人数が足りず、前でのキープも出来なかった。
 パスミスなども多かったですけど、選手が動けていないからパスコースも出来てこないし、DFラインも上がってこない分、後方からの押し上げも出来ていない。


 毎年言ってはいますけど、やっぱりベテラン補強ばかりでは厳しいよなぁと改めて感じてしまいました。
 もちろんそれだけの問題だとは思いませんし、この試合ではベテラン以外のプレーにも課題は見られましたが、谷澤、兵働、竹内、山口智ケンペスあたりのプレーを見ていると、やはりシーズン通しての安定したパフォーマンスは期待できないのかなと。
 全体的に動けず、走れない選手たちばかりでは、どうしようもないというか。
 京都の選手たちが前半抑えていたとはいえ、しっかりと走れていたのをみると、すごくそのあたりの課題が大きく浮き彫りになってしまった気がします。
 ジェフでもこの試合での高橋、町田あたりは最後まで動けてはいましたしね。


 逆に言うと前半途中まではすごく良かったわけで、それを伸ばすためにはどうすればいいか、何が足りないかと考えると、やっぱりスタミナの問題が大きいのではないかなぁと。
 もちろんそこに関しては、シーズン中に改善できるようなものではなく。
 選手としての完成度が高くても走れないベテランばかりではなく、現状ではまだ課題が多くても走れる選手の補強というのを考えてほしいように考えてしまいました。



 昨シーズン補強したベテラン選手を中心に、勝負を仕掛けて1年で昇格を目指して失敗したツケというのが、今来ているのかなと思います。
 かといってその選手たちの契約などを考えると、今年はどうしようもなかったという部分もあったのでしょうし。


 シーズン全体のまとめに入ってしまいましたけど、とはいえまだ昇格をあきらめてはいません。
 現状でJ1に上がっても難しいと思わせるような試合ではありましたけど、前半に良い時間帯が作れたのもまた事実であり、その時間を伸ばせればいいとも言えるはずであって。
 スタミナが主な原因であれば昇格決定以降の補強などによって改善できる部分もあるとは思いますし、この試合に関してはあまりにも前半飛ばし過ぎてしまったという問題もあると思います。
 夏場のスタミナ切れはいつものことではありましたけど、それ以降はここまで酷いスタミナ切れを起こしてはいなかったはずですしね。


 個人的にはそこまで強く悲観はしていません。
 この試合序盤に自分たちが見たサッカーのワクワク感は幻ではなかったはずですし、まだプレーオフ圏内にもいるわけですから、可能性がある限りは頑張っていきたいところだと思います。