東アジア選手権2013 日本代表対オーストラリア代表

 昨日行われた東アジア選手権日本代表対オーストラリア代表戦ですが、今回の試合もついついミリガンを中心に見てしまいました。
 今大会ではオーストラリア代表のキャプテンを任されている元ジェフのミリガン。
 しかし、なかなか大変そうな役回りですね。


 日本代表同様に国内・アジア組と若手選手を中心に、チームが構成されているオーストラリア。
 しかも、考えてみればAリーグは現在オフシーズン。
 Jリーグの過密日程も厳しいでしょうけど、オフシーズンの方が「体が動かない」という意味では辛いんじゃないでしょうか。
 アジアツアーを行っている西欧クラブがJリーグクラブに苦しんでいるのも、そこに1つの原因がありそうな気もしますし。
 にも関わらず、オーストラリアのオジェック監督は、今回の日本代表戦のスタメンを初戦の韓国代表戦からまったく変えなかったようで…。
 サブのメンバーがどうなっているかはわかりませんけど、途中出場した選手が活き活きと動けていたことを考えると、それでよかったのかなと(笑)
 対する日本代表の方が、メンバーを総入れ替えしてきたわけですが。



 そういった状況もあって、全体的に動きが非常に悪かったオーストラリア。
 ミリガンもその1人だったわけですけど、攻撃の方で貢献していたように思います。
 フジテレビの実況に"プレーメーカー"なんて呼ばれてしまいましたけど、本来のプレーはともかく今回は確かにそう見られても仕方ないのかなと。
 ショートパスをつないでリズムを作りながらも、時に長いボールでサイドの奥を突いたり、浮き球のスルーパスで裏を突くシーンもあったり、さすがの技術力を見せていました。
 オーストラリアはチームとして左サイドを縦に突こうという狙いがあったように思うのですが、そこに精度の高いロングボールを供給していましたね。
 ただ、左サイドを付いても中が準備できていない…というか、高い位置にボールが入ってもFW以外がどうそこに絡むのかが見えてこない感じで。
 コンディションも悪かったのでしょうが、チームとしての意図が見えてこなかったかなと。


 これは守備でも同じでプレスの狙いがはっきりしておらず、日本代表のボランチがボールを受けても誰がチェックに行くのか曖昧でした。
 そのためボランチのミリガンが慌てて相手ボランチまでチェックに行くシーンも度々見られ、難しい対応を余儀なくされていました。
 ミリガン自身も運動量が少なく、走れていない印象でしたから、かなりきつかったと思うのですけどね。
 韓国戦では前半のうちに交代していますので、怪我などを抱えていたのでしょうか。
 それでも後半に見せた、齋藤を後追いで止めたシーンなどはさすがのセンスを感じました。
 ファールを取られてしまいましたが、リプレイを見るとしっかりボールに行っていたんですね。


 ちなみに、今夏ミリガンには以前トレゼゲがプレーしていたUAE1部バニヤースやプレミアからの降格が決まっているQPRへの移籍報道に続き、プレミアへ復帰するクリスタルパレス移籍の可能性が報じられています。
 報道によれば100万ドルの移籍金が提示されたとのこと。
 本人はメルボルン残留するという話をしていますが、ファンとしてはぜひプレミアで活躍するミリガンも見てみたい気もします。
 「元ジェフ選手がプレミアでプレー」というだけでも、嬉しいものがありますしね。



 さて、日本代表の方は、前節に比べるとコンディションも連携も良かったんじゃないかと思います。
 時間の経過によるところも大きいのでしょうが、柿谷、原口、高萩といった天才タイプのプレーヤーより、今回のメンバーの方がより組織的なプレーがしやすいのかもしれませんね。
 齋藤学のドリブルからのシュートを見ると、乾などより途中交代で変化がつけられて面白いようにも思います。
 個人的には今回呼ばれたアタッカーの中でも、工藤などに並んで好きな選手ですね。


 また、大迫も良いプレーを見せてくれましたね。
 本来FWの大迫がトップ下に近い位置で起用されてどうなるのか…と心配していたのですけど、試合を見ると納得でした。
 考えてみれば主軸選手である本田のトップ下での役割は、フィジカルを活かして前へパスを出すこととポストプレーがメインではないかと思います。
 技術力も大事ですけど、フィジカルも駆使してのトップ下像というか。
 しかも、大迫は前に出れば2トップになるわけで、クロスからの展開にも迫力が増す…と。
 大迫に限らずトップ下にポストプレーヤーというのは、ありかもしれませんね。
 これまでも憲剛や香川、長谷部などが本田の代わりを務めてきましたけど、大迫の方が意外と本田っぽいプレーをしていたと思います。
 ただ、コンサバなザッケローニ監督ですから、これを見て今後もやっていくのかどうかというと疑問がある気がします。
 大迫がベンチに入れば前田の代わりとしても期待できるかもしれないし、こちらも可能性は感じる選手だと思うのですが…。



 守備に関しては、相変わらず残念な結果になってしまいました。
 栗原は中国代表戦後にこのように話していたようです。

「監督から一番、言われているのはラインの押し上げ。
そこが日本にとっての生命線。それがどこまでできるかどうかだと思う。組んだもう1人のセンターバックと中心になってラインの上げ下げをやれればいい」(フットボールチャンネル

 しかし、オーストラリア戦の2失点もそうだし、初戦で栗原がPKを与えたシーンもそうですけど、CBが前に出ていって裏をやられるシーンが多い。
 ザッケローニ監督の意図とは逆で、むしろCBの前への意識が強すぎるんじゃないでしょうか。


 確かに体の大きさでは勝てないという考えからラインを積極的に押し上げようという意図はわからないでもないですけど、ある程度までボールを持ち込まれてしまった状況では落ち着いたポジショニングというのも大事になってくるはずで、特にプレスがかかっていない状況では無理はすべきではないように思います。
 決して現在の日本代表のCBも裏への対応がうまい選手が多いようには見えないですし、これから世界レベルの相手と戦えばなおさら…。
 ボランチに強さがないから、潰せないから、CBを前に出ていかせてバイタルエリアを消そうという考えなのかもしれませんけど、その結果DFラインに凹凸ができることが多すぎるように思います。
 そこをミリガンがスルーパスでついたシーンもありましたが。


 CBが前に出ていく状況でも他の選手がカバーできるのならいいのかもしれませんけど、現状では他のDFラインの選手がカバーをして、その結果ますますバランスが崩れることが多い印象で。
 CBが前に出ていった分ボランチが下がるというような動きも見られないですし、組織としてのリスクケアが出来ているのかな?という疑問がなくもありません。
 もちろんCBが前に出ていって潰しきれない、相手に反転されて遅れてしまうという部分は、個人能力の問題もあるのかもしれませんけど、メンバーが変わっても同じような問題を抱えているように見えるので、それだけではないのかなと。
 まぁ、この試合の2失点目もそうですが、中盤のアプローチも一歩ずつ遅れることが多い印象ですけど、そこもやっぱりメンバーは変わっているのに同じ問題が出ているわけで…。



 今はやっぱり守備の方が心配ですね。
 コンフェデのイタリア戦なども守備が安定していれば…と思いましたし、今大会を見ても攻撃は悪くないというか、やはり個々の攻撃センスは感じます。
 以前は高さのある相手に弱いという印象もあった日本代表ですけど、オーストラリアだとか東欧チーム相手の試合を思い返すと、むしろ強くなっている気がしますね。
 それよりもバネのあってスピードのある攻撃的選手がいる相手だとか、フィジカルの強い相手の方が苦手なのかな…と。
 そういった相手に対しても含めて、どうやって守るのかが今の課題なのかなと思わなくもありません。
 ジェフもそうですけど、バイタルエリアを狙う攻撃がトレンドになっているからこそ、バイタルエリアをどう守るかが守備での大きなテーマになっているように思います。



 明日明後日は更新休み。