G大阪相手に挑戦者として自分たちのサッカーを

 2005年のJリーグ
 Jリーグ開幕当初から参戦するオリジナル10と呼ばれるチームの中で、まだタイトルのなかったジェフとG大阪は明らかにJ1の中心にいました。


 ジェフはその年のナビスコカップで優勝。
 決勝の対戦相手はそのG大阪でした。
 両チームのサッカースタイルから激しい撃ち合いになるのではないかと予想されたこの試合でしたが、実際の試合は両者が粘り強く戦う緊迫した展開で、足をつる選手が続出した"死闘"でした。
 120分間得点が動かず、PK戦の末5-4でジェフが初タイトルを獲得。
 この後、ナビスコカップ2連覇と続きます。
 ちなみにG大阪でPKを止められたのが遠藤で、G大阪の最終キッカーはジェフユース出身で現在ジェフに復帰した形となる山口智だったりします。


 ナビスコカップはジェフの初制覇で終わりますが、2005年のリーグ戦を制覇したのはG大阪
 この年のJ1は、リーグ戦最終節を残してC大阪G大阪、浦和、鹿島、ジェフに優勝の可能性があるという大混戦でした。
 最終節で1試合残して首位だったC大阪が引き分け、G大阪、浦和、鹿島、ジェフが勝利したため、G大阪のリーグ初優勝となりました。


 ジェフとしては、この年が最もJリーグ制覇に近いシーズンだったのではないかと思います。
 当時指揮を執っていたオシム監督も「列車は行ってしまった」と話していたように、すでに最終節の段階で優勝の可能性は極めて低い状況ではありました。
 しかし、もったいなかったのはナビスコカップ優勝直後のリーグ戦で、引き分け、負けと続いてしまったこと。
 ナビスコ優勝で気が緩んだのか、疲れもあったのか…。
 特に敗戦の方は非常に痛く、それまで10試合も負けがなかったことを考えれば、非常に残念な試合でした。
 その時の相手がFC東京であり、その年の最終節でC大阪を引き分けに持ち込んだのも同じくFC東京でした。



 個人的にはジェフのライバルと言うと、この頃のG大阪を一番に思い出します。
 もちろんライバルなんてものは人によって見方が違うものかもしれませんし、相手はライバルだと思っていなかったのかもしれませんが。
 当時勢いのあった浦和との試合も盛り上がったし、村井、茶野が移籍した磐田との対戦も白熱していました。
 また、誰が見ても明確なライバル…という意味では、同じ千葉県内がホームである柏もライバルと言えるでしょう。


 しかし、非常にサッカーのレベルも高く、同じ攻撃的なサッカーを志向していたチームという意味で、G大阪との戦いが一番楽しく見られたかなと。
 遠藤、橋本、二川といった黄金の中盤と、大黒や外国人選手の強力なアタッカーで構成していた技術力の高いG大阪と。
 阿部、勇人、羽生、巻など運動量豊富で戦える選手たちが懸命に走って、リスクを恐れずどんどんと後方から選手たちが攻撃参加をするジェフと。


 この頃のジェフがクラブ史上、最も輝いていた時期でもあり強かった時代でもあります。
 他チームのサポーターやライトなサッカーファンですらも、当時のジェフは非常に攻撃的で楽しいサッカーをしていたという評価を受けていました。
 Jリーグ20周年ということで過去を振り返る企画が増えていますが、個人的には2008年の奇跡の残留よりもこの頃のジェフを後世に残したいと強く思ってしまいます。
 


 …ということで、久々に過去の話をしてみました。
 たぶんもう当時のジェフを知っている人も、少なくなってきているのでしょうし。


 個人的にはG大阪と再び戦う時は、J1の高いレベルで試合をしたかったなぁという思いがあったのですが、残念ながらお互いJ2での対決となってしまいました。
 考えてみればジェフはアマル監督を解任しオシム路線をやめたところからチームが崩壊、G大阪も05年当時から指揮を執り続けていた西野監督が退任してJ2に降格…と時期は違うものの、同じように当時の流れから切り替わろうというところで失敗しているんですね。
 クラブ運営の難しさを感じるところでもあります。



 今年はJ1昇格に向けてのライバルと思われていましたが、残念ながらジェフはG大阪に水をあけられている状況です。
 G大阪は一昨日の岐阜戦で日本代表の遠藤と今野が復帰し、8-2で勝利。
 残念なことに元ジェフの倉田は怪我で戦線を離脱してしまいましたが、倉田抜きでも8点を奪ってJ2新記録となる1試合の最多得点数を記録しました。


 一方のジェフは、富山相手に2-1で辛勝。
 これだけの情報で考えると、厳しい試合になることが予想されます。
 さすがに8-2で勝った相手の翌戦というのは、少し怖さを感じるくらいですね(笑)



 しかし、3月末に戦った前回のG大阪戦は1-1の引き分け。
 加えて、もう1チーム順位表で抜け出している6月に行われた神戸との試合でも、2-2の引き分けとなっています。
 その頃のG大阪はまだ波に乗り切れず、神戸も一時期の勢いが落ちていた状況だったとはいえ、ジェフにも十分に戦える力はある。


 そして、何よりも普段は他チームに挑戦状を受けるような立場のジェフが、G大阪相手には思い切って向かっていける状況になります。
 ようするにチャレンジャー精神を持って戦えるわけで、モチベーションという意味において追い風を受けることになるはずです。
 相手は独走状態に入ろうとしており、日本代表の主軸選手を2人も抱え、前節には8-2という記録的なスコアで勝利してる…。
 『失うものは何もない』状況なはずで、選手たちは思い切って戦ってほしいと思います。


 こういった状況での試合というのは、J2に落ちてからなかなかなかったわけで、ジェフの選手はどこかに重荷を背負いながら戦っていた印象があります。
 「戦力はあるはずのジェフ」、「環境に恵まれているチーム」、「フロントが約束する1年でJ1昇格」、「J2に落ちても応援し続ける健気なサポーター」…
 G大阪戦では久々のそういったものをあまり感じずに、戦える試合になるのではないかと。
 そもそも強かった頃のジェフというのは、変なプライドなどなく挑戦者として成功してきた歴史もあるわけですし。


 ともかくいい試合になることを期待したいですね。
 前節の内容を思い返すと決して楽観視はできませんけど、G大阪相手にしっかりと今やれる自分たちのサッカーをやりきってほしい。
 結果はどうあれ、まずはそこが大事ではないかなと思います。



 明日明後日は更新お休み。
 来週の7月10日に月刊J2マガジンが発売されるとのことです。
 J2専門誌ということで一部で注目を集めていますが、話題性だけでなくどれだけのクオリティのものになるのかが気になりますね。