鹿島から鈴木隆雅がレンタル移籍

鈴木 隆雅選手の加入について(ジェフ公式サイト)


 取り上げるのが遅くなりましたが、鹿島の鈴木隆雅がレンタル移籍でジェフに加入となりました。
 期間は来年の1月末まで。
 左SB、CBなどをこなせる選手で、ユース時代はFWでもプレーしていたとのこと。
 ユース年代の代表に選出されている選手なので名前は見かけたことがありますが、プレーに関しては未見の選手です。


 鈴木は19歳ということで、23才以下の選手の下位カテゴリーへのレンタル移籍は、移籍ウインドー期間にかかわらず可能とするというこちらの報道に当てはまることになります。
 今年は試験的にこの新ルールを試し、来年から正式に採用となる予定となっているそうです。



 鹿島でも基本は左SBだったようですし、ジェフの状況も考えれば左SB候補ということになるのでしょうか。
 ここ数試合、左SBでは高橋が大岩からポジションを奪って、レギュラーとしてプレー。
 粘り強い守備で貢献しています。


 ただし、攻撃に関してはもう1つという部分もあります。
 例えば東京V戦でも左サイド低めの位置でボールを持って対面の選手を引きつけておいて、味方の選手に預けて自分が飛び出し、ボールを受け直すというシーンがありました。
 そこまでのプレーは見事でサイドの奥をつけたのですけど、ボールを受け直してからのセンタリングの精度が大きな課題で。
 そうなってくるとせっかくそこまでの形が良くても、チャンスメイクにはなかなかならないということになります。
 鈴木は左足でボールを蹴られる選手のようですし、大岩も基本は右利きの選手ですから、そこが1つ評価のポイントなのかなと。


 他の左SB候補だと、渡邊は今年も怪我で離脱中。
 ジェフに加入してから(それ以前も怪我が多いことは知られていましたが)毎年半年以上は怪我で戦線を離脱していますので、なかなか計算に入れにくい選手であることは感じていました。
 昨シーズンも途中から戦線に復帰し、積極的なオーバーラップで攻撃のリズムを活性化していましたが、一方でシーズン後半に入った頃からは対人守備に課題を見せ、相手チームに狙われている印象がありました。
 加えて、渡邊もクロスの精度はもう1つですね。
 現在は右サイドの米倉が積極的に前に出ていく分、左サイドでは守備のバランスを取らなければいけない。
 そういう意味では渡邊も大怪我から練習に復帰している藤本も、少し違うのかもしれません。


 それと鈴木は180㎝の身長でCBもできるということもあり、高さの面も期待している部分があるかもしれませんね。
 監督も東京V戦後にシーズン前半の総括としてセットプレーの課題をあげていますし、試合終盤に高橋を大岩に変えたのも相手のロングボールへの対応やセットプレー対策だった可能性もあるのかなと思います。
 また、現在は左右のSBを米倉(右専門)、高橋、大岩で回している状況であり、今後SBでもプレーしていたキムをCBで固定するのであれば、もう1人SBで計算できる選手が欲しかったのかもしれません。



 ただ、左足でのクロスや高さなどのすべてを19歳の鈴木にいきなり任せられるかというと、そう理想通りにはいかないかもしれません。
 もしかしたら高橋は今期で浦和に戻る可能性がありますし、鈴木には将来的な期待もあるかもしれませんね。
 厳しい話ですが渡邊や藤本も来季はどうなるかわからないですし、年齢層の高いジェフとしては大塚のように他チームで出番のない若手選手をレンタルで補強して、うまくいけばそのまま留まってもらうというのも1つの案として考えられるのかもしれません。
 相手方のサポーターとしては心中穏やかではない計画ですけど、クラブとしてはそれなりの覚悟はしているかもしれませんし。
 いや、ジェフも鳥取にレンタル中の久保は、ぜひとも返してもらいたいところなのですが…(笑)


 来期以降の構想など、まだ気が早い話…とも言えないはずです。
 2010年からFIFAのルールに合わせて、選手とクラブは契約の切れる6か月前…Jリーグの場合1月末に契約が終了する選手が多いですから、8月には契約交渉に入ることができる選手が出てくることになっています。
 1か月後には契約切れの選手と交渉出来るようになってくるわけで、そうなれば徐々に来季構想も考えていかなければいけないはずですからね。



 個人的にはCBはキムが安定してくれば、ボール奪取力のあってサイズのあるアンカーや強さのあるCFWの控え選手なども補強ポイントではないかと思っています。
 ただ、カバーリングや技術面など総合力では健太郎もそこまで悪くはなく、前線も大塚とナムのコンビがもしかしたら攻撃の形を作ってくれるかもしれない。
 そうなってくると、アンカーやCFWは中途半端な補強をしても意味はないわけで。
 外国人枠も埋まっていますし、シーズン中にそれなりの能力のある日本人選手を補強するというのはそう簡単なことではないでしょう。
 まぁ、今からでも本気で自動昇格を狙うのであれば、外国人枠を今から空けてアンカーを補強するというのもアリじゃないかと私は思うのですけど、それなりの予算もかかってしまうでしょうしね。


 逆に左SBは若い選手が起用されていることが多く、経験の浅い19歳の鈴木でもチャンスがあるかもしれない。
 若手を補強することで将来性はもちろんのこと、コスト面でも大きな負担にはならない。
 そして、誤解を恐れずに言えば、SBはボランチやCFWほど戦術的に重要なポジションではなく、多少は目を瞑って若手を試せるというか、取り外しがしやすい部分があるのかもしれません。
 そういった意味でも気兼ねなく、まずはジェフに早く馴染んでほしいところです。



 こういった具体的な補強の話ができるのも、戦術が一貫しているからこそではないかと思います。
 チームとしてやりたいサッカーがはっきりしているからこそ、強みも弱みも明確になる。
 もちろん結果に関してはもう少し伸びてきてほしいところですが、その点に関してはもっと評価されるべきではないかと、シーズン前半を折り返した時点で改めて思う部分です。