ジェフの現状と今期後半戦に向けての目標

 先週末の東京V戦が終わり今年のJ2リーグも前半戦が終了。
 …なのですが、感傷に浸る間もなく週の中日である明日3日には富山戦が行われます。
 蒸し暑い日々が続く中での過密日程で、富山までは移動距離もありますから、コンディション調整がすごく大事になってきますね。



 ジェフはシーズン折り返し地点まで来て、9勝4敗8分の勝点35。
 首位のG大阪は勝点46、2位神戸は勝点44で、3位長崎は勝点36で1つ差とはいえ、自動昇格までは差が開いてしまいました。
 シーズン序盤は足踏みしていたG大阪も、地力を出せるようになってからは安定して強く、やはり開幕前の予想通りJ2を引っ張っていく形に。
 それに加えて、神戸も外国人選手が見事に当たって、この2チームが戦力的に他から抜け出している印象になってしまいました。


 昨年は首位通過の甲府も含めて戦力的にどんぐりの背比べで、ジェフにとっては大きなチャンスだったと思うのですけど、今年はかなり状況が違うと言えるのではないでしょうか。
 過去3年間はJ2昇格争いでも戦力的に優位に立っていると言われることが多かったと思うジェフですが、今年はG大阪と神戸が他チームよりもワンランク上でジェフは良くても3番手、4番手というところではないかと思います。
 そうなってしまったのは、やはり毎年短期間しか考えないベテランを中心とした補強ばかりをして、1年での昇格に失敗し、結果的に予算を無駄にしてきたツケが来ているのではないでしょうか。


 加えて、今年の戦力は基本的に選手が入れ替わらず、木山監督の意向に沿ったメンバーだと思います。

木山隆之監督(当時)はシーズン終了と同時に千葉を去ることが決まっていたが、筆者は佐藤勇人選手から「前に自分と(佐藤)健太郎、(伊藤)大介の3人で木山監督に呼ばれて『ボランチを補強しないのはお前たち3人を信用しているからだ』と言われました。自分たち3人でしっかりやっていかなくちゃいけないと思いました」と聞いたことがあり、そのことを伊藤選手に尋ねてみた。「監督の信頼は、選手としてうれしかったんじゃないですか」と…。
すると伊藤選手は「でも、勇人くんや健太郎くんが試合に出られなかった時、ボランチのスタメンはヒョウさん(兵働昭弘選手)でしたけどね」と苦笑交じりに答えた。(J's GOAL

 例えばボランチも木山前監督のサッカーなら勇人、健太郎、伊藤に加えて、兵働でよかったというか、それが監督の望みであったはずです。
 木山監督は水戸時代からダブルボランチに攻撃的な選手を起用するのを好む監督でしたから、守備専門のボランチを補強したところであまり使われなかったかもしれない。
 その分、FWにはチェイシングを求めていたし、CBへの負担は大きくなっていた印象ですが。


 もしかしたら鈴木監督はもっと守備的なボランチを使いたい監督なのかもしれませんけど、なにせ今年の選手構成は昨年からの現状維持。
 TDが後退した影響で構成を変える余裕がなかったのか、昨年の戦力のままでも行けると思ったのか、予算の問題もあるのか…。
 あるいは、昨年は木山監督の下、大幅にメンバーを入れ替えた年でもあったわけで、複数年契約を結んでいた選手も多かったのかもしれません。


 それだけ木山監督は選手補強の面では恵まれていたと思いますし、逆に鈴木監督は厳しい状況だなぁと開幕前から思っていました。
 ベテランが多い中で現状維持というのも辛いですけど、自分の望む戦力補強というのはあまりされなかったのではないかという意味でも。
 もちろんそれだけ"残るもの"はあったかもしれないけれども、昨年も攻撃の形は作れていなかったし、DF陣の衰えなどを見てもマイナス面の方が大きい印象を受けます。
 ちょっと話は外れますけど、兵働は鈴木監督のほうがうまく使えている印象がありますね…(笑)



 J2に降格してからのジェフは、毎年監督の望む補強がされていたと思います。
 江尻監督の時は倉田や山口慶に加えて勇人、村井、茶野、林といった元ジェフ選手に、代表選手のミリガンまで。
 細かな部分はともかく基本的には中盤で優位に立つサッカーをやろうとしていた印象なだけに、倉田、山口慶、勇人などは非常に重要な補強だったと思います。


 翌年のドワイト監督はオーロイ、ゲッセルといった長身選手を補強し、元名古屋コーチということもあって竹内や藤田などを補強。
 オーロイが負傷すればシーズン中には大島も獲得しました。
 ロングボールを多用したサッカーしか作れなかったことを考えれば、オーロイなどは監督の意向もあったのではないかと思います。


 昨年は村井、林、大田、福元など多くの選手を放出し山口智、兵働、荒田、藤田、健太郎、武田などを補強するなど選手の入れ替えをし、大型補強というか再構築までした年だったと思います。
 今考えてみれば早期にドワイト監督を解任した分、早く動けたところもあるんでしょうか。
 逆に今年はぎりぎりで鈴木監督に決まりましたし、監督の意向を組み込めずに現状維持としざるをえなかったのかなとも。
 昨年はシーズン中もトップ下が必要なら大塚を、得点力が欲しければロボを、右SBがもう少しなら高橋を、攻撃のアクセントが足らなければ谷澤を…と次々とピンポイントで選手を補強。
 J1昇格に懸けていた印象でしたが、それでも最終目標には達しませんでした。



 それに比べると今年の開幕前の補強は外国人選手くらい。
 しかも、2人は大卒の韓国人選手で将来性は楽しみですけど、現役代表選手だとかセリエAからの補強など目立ったものではありませんでした。
 ケンペスが予想以上に点を取ってくれているのは嬉しいですが、ケンペスも急遽移籍した藤田の穴を埋める形だったのではないでしょうか。 


 その割には十分に頑張っているんじゃないかなと私は思います。
 もちろんJリーグ初年度の長崎に先を越されているのは、心情的に悔しいものがありますけどね。
 それだけ底上げもされて、今年のJ2はレベルが高い気がします。
 何よりもリーグ全体で大きなポカによる失点が大きく減ったような印象で。



 戦術的には毎回言っているように、今年は目指すべきサッカーが明確で、大きくぶれず、それを基に細かな約束事が作れていると思います。
 J2初年度はバルサ風のプレス+パスサッカーがしたかったのかもしれないけれども、実際にはどちらも中途半端で。
 一昨年もオーロイに放り込んで2列目が拾うサッカーをやっていましたけど、相手に研究されると次がなくなるほど、チームとしての深みを作れず。
 昨年もパスサッカー、カウンターサッカー、パスサッカーと移行するなど、1つの形を熟成できずに終わりました。


 今年は初志貫徹、相手のDFとMFの間で前を向けるサッカーを軸とする。
 チームとしての目指すべき方向性が決まっているから、少しずつでも積み重ねが出来ている印象で。
 もしかしたら、自動昇格はなかなか難しく、プレーオフが現実的な目標となるかもしれませんけど、そのプレーオフでしっかりと戦えるように、チーム力を高めて、チーム力を高めることによって自信を深めていきたいところではないでしょうか。