鈴木監督「ケンペスの交代理由に関して「前線の運動量が落ちてきた」 

鈴木淳監督「ケンペスは前半に一回ピッチの外に出た場面があったと思いますが、あの前に打撲をしていていい状態ではありませんでした。それから、前線の運動量が落ちてきたのが相手にペースを握られたひとつの原因だと思いましたので、その運動量の落ちた選手を変えるということで、怪我のケンペスも含めて交代をしました」(J's GOAL

 ケンペスの途中交代は、負傷の影響もあったとのことです。
 まぁ、もしかしたら後半話している内容が本音であって、怪我の話はプレー内容が悪く途中交代させられたケンペスに対して、言い訳を作ってあげただけなのかもしれませんが。


 非常に優しい方だと思いますからね、鈴木監督は。
 でも、それでいてやっているサッカーは理路整然としていて、優しさだけでもない。
 選手とどんな距離間でチームを作り上げているのかという点が、すごく気になるところです。
 ある程度は放任主義なのだろうなぁとは感じなくもないですが。
 そのあたりは表面的なものだけではないので、練習を見てすぐにわかるものではないと思うのですけどね。



 ケンペスが交代した際の状況を確認すると、前半のうちに1点を奪い先制したジェフはそのまま1-0で試合を折り返したものの、徐々に運動量が落ち相手にポゼッションされる時間帯が長くなっていました。
 そこで、59分という早い時間帯にケンペスを交代したということになります。
 ジェフの懸念材料は守備やスタミナであり、あれ以上そこに問題が生じてしまっては、チームが大きく崩れる可能性があると見たのでしょう。
 そのため守備面と運動量の改善を、最優先にしたということですね。
 理論的にはわかりやすい交代だったと思います。


 ケンペスのスタミナ切れによる前線の守備力の低下は、この日に始まったものではなく。
 開幕してから1〜2ヶ月間はケンペスのチェイシングがすごく効いていて、まだプレスに関する守備組織が出来ておらず、守備の穴であるジャイールなども起用していたため大いに助かったのですが、気温が高くなってきてからは試合後半の早いうちに、ケンペスの足が止まってしまうことが目立っています。
 前半から攻守において良く動き回るケンペスだからこそ、スタミナ切れを起こしてしまうというところがあるのかもしれません。
 ファーストディフェンスはプレスにおいて極めて大事なポイントですから、そこを失う影響というのは非常に大きいものだと思います。
 疲れて動けない状況でも攻撃では存在感を出せる選手ではありますけど、それ以上にデメリットが大きいとみられても仕方がないような状況かなと。
 特に徳島戦のあの交代は、1-0でリードしている状況でもありましたし。



 プレスに関しては前々節の横浜FC戦で、岡本がこのように話しています。

岡本昌弘「前からのプレスに関しては全部が全部前から行けないとは思っているけど、正直、今年はずっと前からの追い方がまだまだだと思います。コースを限定していない状態で前から行っても後ろは付いて来れないところがあるから、ゴール前まで相手にボールを運ばれたりしてこんなに苦労しているんだと思います。」(J's GOAL

 プレスの課題が守備全体の課題に大きく影響しているという分析です。
 動けているときのケンペスはしっかりと逆サイドにボールが行った時もポジションを修正していますが、疲れてくると相手のCBとボランチの間をフラフラと歩いていることが多く、そこから守備のギャップが生まれてしまう。
 ボールが近くに来ればチェイスにはいきますけど、ポジションを修正していない分一歩遅れてしまうし、それでは組織的なプレスにはならない。
 ボールが来てから動くのではパスコースを限定したことにならず、そこから守備が後手に回ってしまう…と。 
 ケンペスだけを指摘しているわけではないのかもしれませんけど、運動量が落ちてくると苦しい状況になってしまう1つの大きな原因になっているように思います。


 まぁ、このあたりも大塚がしっかり90分間走れたからこそ、より改めて浮き彫りになった印象があるというか。
 チーム全体においてスタミナが足りないなぁと感じてはいたわけですけど、やはり大塚、高橋、米倉といった若手から中堅どころはしっかりと走れるものだなぁと改めて感じてしまいました。
 逆に言うとやはりこのベテラン構成にそもそもの無理があるのではないかと思いましたし、今後の反省材料の1つではないでしょうか。
 まぁ、昨年ベテランを中心に補強をして、昇格という結果がすぐに出ればそれはそれで正解とも言えたのでしょうけど、年齢層の高いまま昇格に失敗してかつ現状維持ではさすがに…。



 攻撃においてケンペスは必要不可欠な選手なだけに、今後の取扱いに悩むところがありますね。
 毎試合途中交代でやっていくにしても、もともと今年はCFW不足が開幕前から不安視されていて、CFWタイプが少ないですし。
 ナムも本来はMFだから前線でのポストプレーなどは得意ではないし、大塚もFWですけど前を向いて生きる選手だと思います。
 ケンペスの他にCFWと考えると戸島しかいなくなるわけですけど、現状欲しいのは強くて動けてうまい選手だと思います。
 戸島も技術はあると思いますけど、動けて強いというより身長のある選手だと思うので、CFWといっても求められる部分が違うような気がします。


 そうなってくると、ケンペスが出来るだけ継続的な守備を長くやれるようになるか、ナムなどを途中起用してケンペスの時とは若干違う戦い方を身に付けていくかということになるのかなと思います。
 まぁ田中の方がケンペスのような動きが、出来る気もしなくもないですけどね…見た目も含めて(笑)
 でも、ナムの攻撃力に期待したいという気持ちもわからなくもないですし、谷澤や兵働も90分持つかわからないので徳島戦では田中はサイドの交代要員として残しておいたのかもしれません。


 それか7月中旬から開く、夏の移籍ウインドーで補強をするかですね。
 何やら次対戦する相手のFW事情が、少しずつ騒がしくなっているようですが…。