本田の穴埋めと3-4-3の奇策

 ブルガリア代表戦との強化試合。
 日本代表は報道の通り3-4-3で臨みましたが、収穫はあったのかどうか…といった感じですかね。


 試合展開は置いておくとして、3-4-3のシステムですが。
 まず、代表選手の話などを聞いていると、ザッケローニ監督は3-4-3のストッパーがパスの出し手になることで、ビルドアップを効果的に行えるということだったわけですが、相手がブルガリアのようなパワー系のサッカーだと基本的にビルドアップでは優位に立てることが多いため、あまり参考にはならなかったですね。


 それによりも気になったのが、3トップの関係性。
 日本代表の3-4-3は明確に前3人にが横並びでFW的な動きをしている感じで。
 それによって、"トップ下とFW"というような縦の関係がうまく作れず、なかなかFWが前を向いて仕掛けられない。
 縦のギャップが作れないから、FWを囮にして2列目が飛び出すというような動きのある連動性も作れない。 
 加えて3トップが相手DFラインに吸収されて、スペースを消してしまう。
 その3トップが後ろを向いてのポストプレーからサイドに展開しても、こちらの3トップにDFラインのマークは集中しているから、クロスを上げても簡単に跳ね返されてしまう。
 結局、後半から4-5-1に戻してしまいましたが、それも本田不在でうまくいかず…。


 守備に関しても相変わらず、1人1人ポジションは大事にしているのかもしれませんけど、マークなどが甘く選手たちが連携して守っているようには見えず…。
 結局、個々で守っているような状況で、1人抜かれると一気にピンチになるというような感じでしたね。



 ただ、そういった守備の問題は、4バックの頃から見られた傾向でもあるわけで。
 結局3-4-3にして何をしたいのか?が見えてこないというのが、一番の問題ではないかなぁと思います。
 何かを改善するため、あるいは何かを進化させるためというのならともかく、そういった具体性が見えてこないというか。


 まぁ、ようはトップ下本田不在なので、ならばトップ下のポジションをなくしてしまおうというのが、一番の狙いなのかなとも思うわけですが。
 しかし、結局チャンスメイクをする役割の選手というのが不在なことは、何も変わっていないんですよね。
 トップ下という中盤とFWとの"間"がいない分、ボランチの2人にそれを求めているのかもしれませんけど、2人はビルドアップという役割を果たさなければならず、それは4バックの時と変わらないわけで。
 サイドからゴリゴリとドリブルを仕掛けるだけでは、明確なチャンスも作れないですしね。



 結局、本田がいないときのアイデアが見つからず、3-4-3という奇策(ザッケローニ監督の中では奇策ではないのかもしれませんが、結果的に奇策となってしまっている)に走っているようにも見えなくもない。
 そのように考えると、結構大きな問題だなぁと感じます。


 本田が帰ってきて4-5-1に戻せば、ある程度の問題は解決するかもしれないし、以前のチームには戻るかもしれない。
 けれども、それは結局のところ本田頼りのチームであることを意味するわけだし、それ以上のチームになれるのかどうかというところで、不安を感じる部分があるように思います。
 守備面などを中心に、むしろチーム状況は悪くなっているような気がしなくもなく、今後その穴を埋めなければいけないだろうから、ここからチームを引き延ばすところまで手が回るのかどうか…。
 コンフェデがザッケローニ監督の進退を伺う、大事な大会になるのかなぁと思わなくもないですね。
 ともかくまずは、オーストラリア戦で、最低限の結果を出すところからですね。



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