細かなパスワークに関する質の追及

 さて、土曜日のJ2です。
 特にナイトゲームだと、土曜日開催は助かりますね。
 試合観戦的な意味でも、ブログを書くという意味でも(笑)


 夏に向けて気温が高くなってきましたが、この日は少し涼しいくらいでした。
 前節の長崎戦では気温の高い中、13時キックオフと選手にとっては厳しい環境でジェフは苦戦。
 その分、この試合は涼しい気候の中では頑張れるというところを、見せてほしかったのですが…。
■ビルドアップがうまくいかない
 ジェフはレギュラーボランチの健太郎が出場停止。
 代わりにここのところ右サイドで起用されていた兵働が1列下がって、勇人とダブルボランチを形成。
 左サイドにジャイールが入って、右に田中が起用されました。



 キックオフから、ジェフのビルドアップがなかなかうまくいかない。
 相手は4-4-2で、2トップと絞り気味に守る両サイドハーフボランチとともにブロックを作り、ジェフの中央でのビルドアップを阻止してきました。
 相手2トップがジェフのボランチを、相手ボランチがトップ下の谷澤やケンペスを激しくマークしてくる形で。
 カチッとした組織的な守備で、攻守の切り替えも素早く球際も激しく、ジェフは攻撃のリズムをうまく作れない展開になってしまいます。


 加えて、この試合ではジェフは左にジャイール、右に田中を起用し、両ウイングにビルドアップというよりもどちらかと言えば前に強い選手をスタメンで起用しました。
 前節までは右サイドに兵働を使い兵働が中盤の構成に大きく絡んで、パスワークを作り上げていた部分がありました。
 その兵働がボランチに下がった分、中盤の高い位置での起点が谷澤しかおらず、今まで攻撃のリズムを作っていた中央からのビルドアップが作れなかったというのが大きかったのではないかと思います。
 ジェフは相手の守備を避けるように、CBからSB、SBからウイングへとサイド際の狭い位置にボールを運びますが、相手としてはコースを限定しやすいため守りやすく、仕方なくケンペスへのロングボールに頼ってしまうことも多くなっていました。



 そして、試合は15分。
 徳島による右サイド後方のFKから、堀之内にヘディングで合わせられ失点。
 またもセットプレーからやられてしまいました。
 ゾーンで守っていたジェフですけど、堀之内以外の複数の選手にも前を取られていたような…。


 オフサイドラインを形成するために、高めに選手が位置取っていた影響もあったとはいえ、あれだけフリーの選手を作らせてしまうとどうしてもやられてしまいます。
 やっぱりマンマークのほうが良いんじゃないですかね。
 ここまで来ると、何かしらを変えないと改善されないような気がするのですが。 
■イケイケの状況を作るも…
 前半を折り返したあたりから、徐々に山形の守備に隙が出来ていきます。
 2トップのファーストディフェンスのラインが下がっていき、中盤での圧力も弱まり、CBなどを中央からボールを回せるようになっていきました。
 ボールを奪ってからのショートカウンターから良い形を作りかけますが、少しずつボールがずれてチャンスが作れず。


 後半になるとより山形の動きが止まっていき、ジェフのチャンスが作れるようになっていきます。
 山形はクロスボールに対して、ファーの動きをうまく捕まえることが出来ず、大外でクロスに合わせるジャイールや米倉などが惜しいシーンを作ります。



 ジェフの良い流れだったのですが59分。
 山形のミドルシュートを岡本がはじいた後に、相手がこぼれ球を拾い、そこを岡本が潰してしまってPK。
 微妙な判定にも見えましたけど、岡本が相手を倒したようにも見え、取られても仕方のないPKだったのではないかと思います。
 角度はなかったわけで、岡本にはもう少し待ってほしかったようにも思うのですが…。
 これを決められて失点してしまいます。


 しかし、そのPKから、ジェフがイケイケの状況に。
 PKの直後。
 田中からのクロスを米倉がヘディングシュート。
 こぼれたところを竹内が決めて1点を返します。


 さらに追加点を狙える勢いも感じたのですが67分。
 相手のFWに対するロングボールでの競り合いで山口智が目測を誤って跳ね返せず、結果的に裏を取られる形になり、途中交代の左SB高橋が競りに行きますがシュートを放たれ、これが決まってしまって1-3に。
 山口智がこういったロングボールをしっかり跳ね返せず、失点につながるシーンが続いていますね…。
 スタミナやスピードなどはともかく、こういったシーンが増えてしまうとさすがに厳しい。


 これでジェフの勢いも止まってしまいました。
 逆に山形は動きを盛り返して行く展開に。
 ジェフの攻撃陣は点を取りに行きたいのですけど足も止まっており、逆に疲労の見えるDFラインを攻められられて危ないシーンが作られる場面も。
 このまま1-3で連敗となってしまいました。
■もったいない失点とプレーの質
 やりたいサッカーはある程度できていたんじゃないかと思うのですけど、やりたいサッカーをできていたからこそ、精神的にはずしりと重いですね。
 前半良い形が作れなかったのは、ある程度仕方がない気もします。
 後半の山形の動きを見ると、試合開始と同時に飛ばしていたところはあったのではないかと思いますから、そこを無理に攻める必要はなかったわけで。
 むしろスタミナに課題のあるジェフですから、じっくりと様子を見る時間帯というのは、90分間の中でどうしても作っていきたいところなはずです。


 しかし、その間にあっさりと失点してしまっては、試合展開も作りようがない。
 その後の2点目、3点目も自分たちのミスからであって、防げた内容だったと思います。
 この試合は非常にもったいない失点が多かった。
 単純ではありますが、これが1つの大きな敗因でしょう。



 攻撃に関しては、前半の25分過ぎから相手のプレスは緩くなっていた。
 2トップと両サイドハーフボランチからなる山形の守備構成の間は、徐々に空きが出来ていたはずで、実際に間を取れるようになっていけていました。
 また、前半の途中からジェフが中盤でボールを奪って、2度3度とショートカウンターからチャンスを作れそうなシーンもありました。


 しかし、そういったシーンでのパスの繋ぎで、パスの出し手に対して、スピードを遅らせるようなボールを出してしまう。
 あるいはサイドに展開するようなパスで、急速の遅いボールを出して、攻撃をスピードアップできない。
 結果的には向きたい姿勢とは逆の体勢であっても、狙った出し手にボールが行っていることは多いので目立たないかもしれませんけど、その少しのずれやスピードが攻撃の質を左右するわけで。
 そういった小さなミスが珍しくない状況では、なかなか得点にはつながらないし、延いては勝利も遠のいてしまうように思います。



 結局、今のジェフというのは運動量だとかスタミナ、攻守の切り替えだとかスピード、パワーなどでは勝てないことの方が多いわけで。
 中盤でボールが拾えなかったのも、健太郎不在の影響もなくはなかったかもしれませんけど、健太郎がいても中盤の拾い合いでは負けることの方が多いわけですし…(笑)
 走れなくても、じっくりとボールを回すサッカーをする。
 その分サッカー自体は野暮ったい印象になってしまって、それがなかなかサポやファン内での評価が上がらないことや、この試合でのハーフタイムでのブーイングにもつながったのかもしれません。
 けれども、メンバーを見るとベテランが多く、こういったサッカーになるのは仕方のないところもあると思います。


 しかし、それならばその分細かなパスワークの質は、しっかりと追及していかなければならない。
 ショートカウンターのシーンで1試合に2度も3度もスピードを殺すようなパスを出すことを許しているようでは、パスワークを追及するサッカーなんて出来てくるはずもないわけで。
 

 個人的にはそこがとても残念でした。
 もちろんそういった細かなパスワークにこだわっていないわけではないのでしょうし、カウンターではハイスピードでのボールコントロールが必要になるため、簡単なプレーではないのでしょう。
 けれども、目指しているサッカーはある程度出来ている。
 それでも勝てない…ということになってくると、問題なのは大事な部分でのプレーの質ということなってくるはずです。


 守備の課題の改善はもちろんですけど、パスワークにおけるプレーの質というのをもっと高めていってほしいところではないかと思います。
 本当に残念ですけど焦ってばかりでもよくないのでしょうし、こういう時だからこそ前を向いて頑張ってほしいところです。