4-4-2変更で見えた4-5-1の利点

 個人的な予定もあり、休日はアクセス数が少ないということもあって、ブログの更新をどうしようか迷っていたんですけど、結局こんな時間に愛媛戦の感想をアップいたします。
 2試合を見てからまとめて文章を書くというのも新たなチャレンジとして面白いかな?とも思ったんですけど、実際構成などは大変そうですしね。
 自分の場合、一試合をトータルでざっと振り返りながら、観想を書いていくということが多いというのもありますが。
 まぁ、アクセス数が少ない時の方が、自由に書いてもいいかな?と思ったりもするのですが(笑)
■スタメンでジャイールを起用
 ジェフはジャイールをスタメンで起用。
 代わりに谷澤を外し、兵働をトップ下で起用していきました。


 前半からジェフの動きが良くなかったですね。
 前節開始早々に2失点を喫した愛媛が集中して試合に入ってきたというのもありますが、ジェフのパスミスが多く低い位置で相手にボールを渡し、ピンチを作られていました。
 基本的にビルドアップがうまくいっていなかったですね。
 後方でのパスワークが遅く、大岩あたりが焦れてロングボールを無暗に蹴ってしまうことも。
 また、2列目がジャイール、兵働となったことで、ボールを受ける動きが足りず、パスコースが少なかったという問題もあったように思います。
 

 守備の方もジャイールが入ったことで、どうしても脆さが出てしまいますね。
 試合序盤にもジャイールが前にチェックに行って戻ってこなかったところを健太郎がサポートし、健太郎の前が空いてしまってクロスをあげられてしまったシーンがありましたが。
 ジャイールを使うと左サイドの守備だけでなく、どうしても健太郎が左寄りにポジショニングせざるを得なくなり、健太郎が左によるから勇人も中央に寄って、全体のバランスが悪くなる印象があります。
 ジャイール自身は以前より守備に戻る意思は見せてはいましたけど、それでも基本的には守備力は変わらずアリバイ的な守備も多いので、周りとしてはその後ろが怖いというのがあるんでしょうね。


 加えてこの試合では両CBのスピード不足や、ボランチのエリアで相手を潰しきれないという問題も強く感じましたね。
 勇人、健太郎、山口、竹内とどちらかといえばカバーリングタイプで、1人も潰し屋タイプの選手がいないわけですからなかなか構成も難しいですよね…。
 どうしても守備に芯ができないというか。
 あと、細かいところですけど米倉の相手クロッサーへの寄せの距離が開いているのが、すごく気になりますね。
 サイドバックをやり始めた当初はたまたまなのかなと思う部分もあったのですけど、毎回クロッサーへの寄せが甘いのでそこからチャンスを作られている印象で。
 ポジショニングやアプローチの遅さの問題もありますけど、もう一歩行けるところで行けないというのは、どうにかならないものかなぁと。



 戦術的にも相手のストッパーに対してどう守るのか、迷っているところがありました。
 4バックで相手ストッパーにどう対応するのかというのは悩みどころで、逆に3バックからすれば1つのメリットでもあるとは思います。
 ウイングがマークに行けば後ろが空くし、FWは基本2人だから3バックを追いかけても展開されるときついし。
 オシム監督はジェフの頃からそこを狙っていたはずですけど、最近ではバルセロナなどがそれをやって一時期話題になっていましたね。


 しかし、前半10分過ぎあたりからは、ジェフのほうがワイドにボールを展開して3バックの弱点とも言えるサイドを突くようになっていきました。
 時間が進むにつれて、サイドバックが高い位置を取ってパスをつないでいく形、逆サイドへの展開、ケンペスのポストからの攻撃などが作れるようになっていきました。
■後半に2ゴールをあげてジェフの勝利
 後半からはジェフの動きも持ち返してきて、愛媛の運動量が落ちていった印象でした。
 ジェフの攻撃にもスピードが出てきて、攻撃参加の人数も増えてきました。


 53分に健太郎に変えて深井を投入し、2トップに。
 代わりに兵働と勇人がダブルボランチに入って、4-4-2のような形になりました。
 しかし、深井は基本スペースを消す守備というのが出来ないため、FWの位置にいても相手3バックからのビルドアップのコースを消せず。
 その後ウイングにまわってからも中盤まで相手を追いかけていてしまって、サイドの穴を作ってしまうなど、守備の課題を露呈してしまいました。
 ジャイールも守備の課題は非常に大きくマークに行っても抜かされるなどがありますが、深井も深井で無駄に追いかけすぎて後ろに穴を作ってしまいますね…。
 守備の課題は違いますけど基本的には似た者同士で、同時起用は厳しそうです。


 ということで、その10分後にはジャイールに変えてナムを投入しましたが、これも必然的な流れかと。
 守備だけでなくトップ下の位置に選手がいなくなって、ボールを回しにくかったという問題もあったと思いますが。
 深井が入る直前に兵働がトップ下の位置で受けて、右の大岩に展開しクロスを上げてケンペスがヘディングシュート…と、惜しいシーンを作っていたわけですが、そのトップ下がいなくなったわけですからね。
 やはり選手交代を早くすればいいというわけではないということですね。



 そして、65分。
 右サイドでナム、田中などがパス交換をし、兵働に一度下げて大きくサイドチェンジ。
 左サイドバックの大岩が受けて、クロスを上げ、最後はケンペスがゴール。
 クロスからの展開でしたが、理想的な形だったのではないでしょうか。
 右サイドでパスワークからのタメを作って、大きくサイドチェンジしたことによって、相手の守備陣が右によって大岩の前が空きました。
 また、ケンペスがファーでクロスに合わせる前に、ニアにナムが飛び込んでいき相手DFを引きつけたというのも大きかったですね。
 投入直後のナムのプレーですけど、やはりセンスをすごく感じる選手です。



 続いて79分。
 ジェフが得た右サイドでのFKを中央で合わせようとしたところで、相手選手がファールでPKをゲット。
 これを山口智が決めます。
 山口は守備で精細を欠いていましたから、これをキッカケに良い方向に行ってほしいところです。
 これで2-0として、そのまま試合は終了。
 ジェフは久々の勝利ということになりました。
■守備の穴を埋めること
 前半の10分あたりまでは愛媛も飛ばしていたのでしょうし、そこは劣勢に立たされても仕方のない部分はあると思います。
 どんなに強いチームでも90分間、自分たちのペースで戦えるというわけでもないですしね。
 しかし、そこでの相手のいなし方というか、劣勢な状況での戦い方、落ち着かせ方に問題があったように思います。
 特に問題なのは守備なのでしょう、やはり。


 この試合では守備のやり方を、多少変えたのかなぁとも思わなくもありません。
 DFラインを高めにして、守備時は4-4-2となって前へボールを追いかけるよりも、スペースを消す方を重視したのかなと。
 しかし、前へプレスをかからず最終ラインは高い状況ということで、ボールを奪われると一気にピンチを作られることが多かったですね。
 4-4-2のゾーンで守るのなら全員の選手に最低限の守備能力を求めたいところですけど、少なくともこの日のメンバーだとそれは難しい印象で。


 ジャイール本人の守備能力もそうだし、それに引っ張られてMFラインのバランスが悪くなり、スペースを消すどころではなくなってしまいます。
 まぁ、ジャイールが前にプレスに行くと簡単に後ろが空いてしまうので、プレスはある程度諦めてスペースを消してきっちりブロックを作っていこうということなのかもしれませんが…。



 もちろんジャイールの個人技だとか深井のスピードなどは武器になりますし、相手が守備を固めてきたときなどは欲しい存在だとは思います。
 しかし、この試合トータルでジェフのペースを保てなかったのは守備からの問題だったと思いますし、守備の問題を改善しなければ今後も苦しむように思います。
 ジャイールなどだけの問題ではないとは思いますけどその影響は大きいと思いますし、守備に問題があるからこそそういった選手は使いにくいというか。
 正直に言ってしまえば、ジャイールは諦めたほうが良いような気がするんですけどね…。
 もちろん改善する可能性は期待したいところですけど、今のところ望みは薄いかなと。



 攻撃に関しては決してそこまで悪くなく、試合序盤と4-4-2にした時間帯以外はまずまずの動きは出来ていたと思います。
 4-4-2になるとトップ下で受ける選手がいなくなり、ビルドアップの1つの狙いもなくなる印象で、チーム全体の意図が薄れてしまい、MFラインとFW2人の距離も空いてしまいました。
 逆に4-4-2を試したことで4-5-1のほうが良いということがわかりましたし、そういった意味では良かったのかな?と思います。
 しかし、監督が4-4-2の可能性を今後も考えていくのかな?ということであれば、今後が心配かな…とも。
 何を攻撃のメインテーマにしていくかが曖昧になりますからね。
 結局そのメインテーマで点が取れなくとも、そこを見せておくことで他が空くかもしれないし、チームのやりたいことも明確になるわけで。


 ただ、兵働を1列下げたくなったという気持ちはわからないでもなく。
 結局、兵働がトップ下でもボールを受けるときは相手MFラインの周辺と、高い位置でボールを持てることは少ないですから、やっていることはサイドへの展開などボランチ的な役割で。
 兵働を中心に見るとすると、兵働をトップ下に置く意味はあまりなくなってしまいますしね。


 しかも、兵働が下がって受けて両ウイングが中央に入っていく分、ゴール前のスペースがなくなってしまう。
 単純にサイドから中に入って行くだけでは、相手のストッパーやサイドの選手がそのままついていってしまいますから、ゴール前に渋滞が起こってしまう。
 一方のナムはフィジカルもあるから前にも仕掛けられるし、トップ下の位置から飛び出すこともできる。
 それがあったから先制点も生まれたわけですし、やはりトップ下には前にも飛び込んでいける選手のほうが良いと、個人的には思うのですが…。
 谷澤はこの試合、途中出場もしなかったですけど、何か問題があったんでしょうか…。
 まぁ、今までの起用方法を見ても、そこまでの信頼は得られていないのだろうなぁとは思いますが。



 久々の勝利ではありましたが、この試合で勢いに乗って行けるのか…というとちょっと疑問のある内容でしたね。
 もちろん勝てたことは大きいですし、勝利のためにもろ刃の剣でもなんでも使うという気持ちは買いたいのですけど、それにしても穴が多すぎるというか。
 穴はないけれども停滞状況での勝利なら闇雲に戦っての勝利も追い風だと思うのですけど、そうではないですしね。
 個人的にはともかく守備の穴を少しずつでも潰すことが、優先すべき案件ではないかな…と今は思うところです。