打ち合いの果てに…

 こんな時間に更新です。
 ひさびさにサッカーらしい、楽しい試合だったかなぁと思います。
 ジェフなどを相手にすると守備を固めて守ってくることが多いJ2ですが、京都はしっかりとまでに出てきてくれて。


 当然京都も昇格を目指すチーム、勝に行くチームだからこそという部分もあるのでしょうけど、それだけでなくやはり攻撃的なサッカーを目指すチームだからこそ…というのもあるのでしょう。
 ジェフも今期はかなり前よりなチームですしね。
 まぁ、どちらも守備に課題があるとも言えるのでしょうし、どこかに甘さがあるからこそのこのスコア、この順位だったりするのかもしれませんが、こういった打ち合いの試合というのは珍しいだけに新鮮に感じることが出来ました。
 試合中のドキドキ感も含めて、サッカーって面白いんだなと珍しく素直に感じた試合だったような気もします(笑)
■前半だけ2-2の激しい展開
 序盤は京都の流れ。
 大木監督が就任してからの京都は、サイドに人数をかけて狭いエリアで細かくつないでいくサッカーを実施しています。
 それに対してジェフはうまく対応策が見つけられず、サイドで数的不利を作られ、スペースも消しきれず、簡単にフリーで前を向く相手選手を作ってしまいます。
 特にサイドライン際でウイングの後ろ、サイドバックの前の位置でポイントを作られていた印象で。
 ゾーンディフェンスには出来がちなポイントで、そこからドリブルを仕掛けられることが多かったかなと。


 京都は後方からのビルドアップも興味深かったですね。
 DFを中心にジェフがボールを取れそうなゆっくりしたパス回しをしておいて、相手のプレスを引き出しておいて中盤にスペースが出来たところで、前に出して攻撃を展開する。
 パス回しに自信がなければできないビルドアップの形で、ピッチ全体でショートパスの練習をしているんだろうなと感じました。
 大木さんが就任したのが2010年末で、やることもはっきりしているからこそ、できるんでしょうね。



 前半25分。
 至近距離からのFKを横に出されて、京都の久保が見事なシュートを決めて先制点。
 横にパスを出された瞬間、一歩目の反応が非常に遅かったですね。
 押し込まれていた時間帯ではありましたが、それとは直接関係のないところでミスが出た印象です。


 続く34分。
 右サイドでの中盤の守備でジェフの選手が重なってしまい、そこからサイドを攻略されて中であわされ失点。
 守備の連係不足というか、声が出ていないんでしょうか。
 チェック&カバーの基本も出来ておらず、どんどん前にぶつかっていってしまう。
 この辺りの個々の守備能力の問題というか、判断力の部分にも課題があるように思いますね。



 劣勢の流れから先に2点取られてかなり苦しい状況になりましたが、そこから巻き返します。
 40分には左サイド後方の大岩から、右SBの米倉に向けて斜めのロングパス。
 米倉が大外からゴール前に飛び出す形で、入って行きトラップをして自らゴール。
 

 その直後には中盤右サイドから米倉がゴール前に浮かせたボールを出し、難しい態勢からヘディングで合わせてゴール。
 その時間帯までフラストレーションがたまっていたのか危ないプレーや守備での甘さが見られた米倉ですけど、この2発はどちらも素晴らしかったですね。
 ケンペスもあのボールを見事にポイントで合わせてくれました。
 高く上がったボールよりも、胸ぐらいの高さのボールが得意な気もしますね。
■3点目を先に奪うも…
 試合開始から京都が攻め込んでジェフがカウンターを仕掛ける展開でしたが、後半は逆の流れに。
 前半の京都はCBとボランチの4人の守備が固く、そのブロックをなかなか崩せませんでしたが、後半からは京都の動きが若干落ちてブロックに緩さが出来てきたかなと。
 そこに前半の途中から左ウイングからトップ下の谷澤などが入って行く。


 スタートでは兵働がトップ下でしたが、なかなか高い位置にポジショニングできなかったため、ケンペスへのサポートが遅れてしまった印象で。
 ケンペス自身も相手との競り合いで勝てないことが多かったですけど、後半からは少しずつポストプレーが効くようになっていった印象でした。


 守備でもあまり無理にボールを奪いにはいかず、スペースもケアできるようになっていったかなと。
 米倉が前に行った後ろを田中が守るなど、試合を通じて連携が出来ていった印象があります。
 このあたりが後半流れをつかめた要因かなと思います。
 前半飛ばしていたのか、京都の動きが落ちていった印象もありましたが。



 後半25分頃から徐々にジェフの動きも落ちていき、京都の鋭い攻撃にチャンスを作られます。
 しかし、何とかそれを防ぐと、81分中盤高い位置から勇人がスルーパスを出し、田中が飛び出していってゴール。
 田中の運動量が実になった形ですね。
 勇人がスルーパスを出せたのも、相手のバイタルエリアのちょっと手前で、右ウイングがゴール前に入って行く形ということで、チームの狙いに近い攻撃パターンだったと思います。
 若干、相手守備の集中力が落ちていたのかなとは思いましたが、良い形だったと思います。


 しかし、この後にジェフは1点を守りにいってしまいます。
 けれども、ジェフの守備はこの試合に後半に入って多少問題点が改善されたとは思いますが、堅守とは言えないレベルで前半も守りに回された時間帯は押し通されることが多かった。
 後半も相手を押し込んでいたからこそ、ジェフのペースだったわけで、かなり厳しい印象でした。


 全体のラインも下がり、かといってスペースを潰しきれず…。
 それでも何とか時間切れに持ち込んでほしかったのですが、87分。
 相手のCKからファーを狙ったボールを飛び出した岡本が触りきれず、最後はバヤリッツァがゴール。
 今期の岡本はちょっと集中力を欠くシーンが多いかなぁと…。
 キックミスも多いですけど、ここでは判断をミスした印象でした。
■攻撃のいいイメージを残して
 試合は3-3で終了。
 最後に守りに回って失点してしまったのは、非常に悔しいというかもったいなかったですね…。
 あの流れなら勝てたと思うし、この試合に勝てれば自信にもつながると思ったのですが。
 逆に京都の方も先に2点を取ったからこそ、そこで油断が生まれてしまったのかなぁとも。


 この辺りは両者ともに甘さがあるというか、賢さが足りないというか。
 勝者のメンタリティが足りないのかなとも思いましたね。
 両者良さは見せたからこそ、ここから勝ち切る強さを身に付けたいところで…。



 ただ、ジェフからすれば2点取られた後に、3点取りかえして一度は逆転したというのは胸を張っていい部分ではないかと。
 相手が前に出てきてさえくれれば、あれだけの攻撃は作れるんでしょうね。
 もちろん引いて守る相手を崩すことこそが至上命題なわけで、京都のような相手に3点を取れたからといって、それで安心してはいけないのでしょうけど。


 しかし、攻撃に関してはこの試合でのいいイメージを残して、ここから巻き返してほしいところです。
 相手が前に出てきていたこともあって、シンプルでダイナミックなプレーが増えたことが、この試合での攻撃の良かったところだと思いますし、今後もそういったプレーを続けてほしいと思います。


 逆に守備に関しては局面での集中力だけでなく、1人1人の守備意識や粘り強さなどが課題ではないかと改めて感じました。
 それとともに、中盤におけるポジショニングの問題、DFラインのコントロールも含めて、まだまだやらなければいけないところは多いと思います。
 そのあたりを試合を通じて解決できるかどうかが、大事になってくる気がします。


 ともかく、強い相手とオープンな試合をできたのは、チームにとっても刺激になったのではないかと思います。
 やれることとやれないこともはっきり見えましたし、今後につなげてほしいですね。