勝点をグラフ化し見えてくるもの

 ゴールデンウィーク連戦を前に、2010年から今年までのジェフの勝点のデータと、過去5年間の2位の平均勝点、6位の平均勝点推移をグラフ化したものを作成してみました。
 例の如く参考例としてみていただきたいのですけど、それでも大まかな流れや分析というのは出来るはずだと思います。



 昨年に比べて今年のほうがうまくいっていないイメージもあるのかもしれませんけど、実際には第10節終了時点で勝点差は1のみ。
 昨年もこの時期はパスサッカーを目指していましたが明確な形は作れず、その後木山監督が水戸時代にやっていたようなカウンターサッカーに変更して勝点を伸ばしていきます。
 フォーメーションも4-5-1から深井などを前線で起用した4-4-2にして、明確に戦い方を変えていきましたね。
 しかし、夏の終わりの選手たちのコンディションが悪化し低迷。
 最後は再びパスサッカーに戻して、なんとか勝点を伸ばした展開でした。


 ただ、昨シーズン終盤はチームの完成度が高まったというだけでなく、プレーオフという"ニンジン"があったからこそ最後に頑張れたという部分もあったような気もします。
 逆に目標がなくなった他チームが低迷する時期でもあり、そこを叩けたという面もあったのではないでしょうか。
 しかし、大分にはそれが通じず、しっかりとジェフ対策をされて負けてしまったと。
 一昨年の終盤なども監督交代という博打に失敗した面もありましたが、J1昇格がなくなりモチベーションが保てなかったという面もあったように思います。



 もちろん今年もこのままでいいわけではなく、今後しっかりと勝点を稼げるように、チームが軌道に乗っていかなければなりません。
 しかし、大事なのは目先の結果だけに期待するのではなく、焦らず丁寧にチームを1つ1つ積み重ねていくことではないかと思います。


 というのも、過去3年間のジェフはシーズン途中までは悪くないものの、年間を通じてチームを右肩上がりに成長させることが出来ず、毎年ほぼ同じ時期に伸び悩みの時期が来ています。
 2010年は勝点50となった31節から33節まで勝ち星なし。
 2011年も東日本大震災のため日程が変更されましたが、実質的な29節〜34節まで勝利なしの引き分け2つで、その間の勝点は50〜52で推移。
(実質31節の前にドワイト監督を解任したためその影響もありましたが、実質29節、30節の2連敗が監督交代の引き金となりました。) 
 そして、2012年も勝点49となった26節から30節まで、勝点を2つしか伸ばせていません。

 
 それまでのジェフは2位3位争いが出来るペースで戦えていたにもかかわらず、勝点にして50前後、時期にして20節後半〜30節前半に足踏みをしている傾向が見られます。
 これはJ2に降格してから毎年、シーズン終盤に入るところでチームが伸び悩み、その結果として昇格争いから後退し、そのまま昇格に失敗するというパターンが出来上がっているということになります。



 チームの伸び悩みに関しては、こちらのグラフでも見えてきます。
 過去5年間の2位平均勝点から、各年の勝点推移を節ごとに引いて出したグラフです。
 ようするに各節ごとに、2位になるための目標勝点からどれだけ勝点が離れているか、超えているのかがわかるということになります。



 グラフの作り方次第というのもあるのですけど、それにしても思った以上に見事な落ちっぷり。
 3つのグラフがほぼ重なって見える、30節前後に見られる右下に下っていく斜めのラインというのが、先ほど説明した"勝点50の壁"のところですね。


 ちなみに、2010年も最終成績で目標勝点から-5だったのですが、昨年の最後もちょうど目標勝点から-5という数字でした。
 実際1試合平均の勝点も2010年が1.69なのに対し、昨年は1.71で大差はないことがわかります。
 シーズン後半の伸び悩みは相変わらずでしたし、最後の最後にプレーオフというブーストはありましたけど、その前の落ち込みの方がひどく挽回できたとは言い難いですね。
 個人的にそこまで昨年のチームを評価していないのはそのあたりにもあります。
 最後に帳尻は合わせたけれど、プレーオフ本戦の盛り上がりも合せて、どこか"誤魔化された"感があるようにも思わなくもありません。



 これらのグラフから考察するに、ジェフとしてはシーズン序盤の結果よりも、しっかりと伸び代のあるチームを作れるかどうかが大事ではないかと思います。
 一昨年などはオーロイに合わせるシンプルなチーム作りをした結果、早い段階でチームは出来あがりましたが、序盤こそ結果を残せたものの、その後は大きく失速してしまいましたし。
 単純なチーム・ビジョンでその先の方向性がなかったため、途中からは伸び代がなくなり、最後は選手主導で戦っていました。
 早い段階で「このチームに伸び代はあるのか」という不安の声はありましたが、その不安が的中してしまった印象です。
 もちろんだからといって、単純ではなく複雑なサッカーだからいいというものでもないですけど、今のうちにしっかりとぶれない軸を作っておくことが必要ではないかと思います。


 08年の広島や10年の柏は前年からの準備期間などもあって初めから快走していましたが、昨年の甲府や一昨年のFC東京もシーズン序盤は決してそこまで順風満帆ではなかったはずで。
 今から変に焦らず目先の結果ばかりに囚われず、将来的なビジョンを持って、目指すべきサッカーをじっくりと作り上げていくことが大事ではないかと私は思います。