自分たちの形の裏をついて
発達した温帯低気圧の影響で、週末は台風並みの暴風と雨が予想されましたが、Jリーグは大きな影響なく開催された模様です。
各地のサポーターの皆さん、お疲れ様でした。
改めて、観戦には天候が大事なぁと思います。
とあるJリーグクラブの運営者も雑誌で開始数時間前に雨が降っていたら、観客数に影響が出ると話していたくらいですしね。
天候と試合開催は切っても切れない関係にあるはずで、秋春制の話もいまだに進んでいますけど、そこへの回答もしっかりとしていただきたいですよね。
国際Aマッチの日程や、海外との日程のすりあわせもわかる。
けれども、下から上がってきているはずの問題への答えをしていただかない限りは、真の意味での賛同は得られないと思うのですが。
…と、試合内容とは、まったく関係のない話をしてしまいました(笑)
■守りを固める群馬
基本3バックということになっている群馬ですが、守備時は5-4-1のようなフォーメーションですね。
ウイングバックがDFラインまで下がり、2シャドーがMFラインまで下がって守備をする。
そこからMFラインが前に出てきて、中盤の4人が小さく固まってラインで守り、くさびのパスコースを消しながらプレスをかける。
ジェフがサイドにボールを回したら、4人が片方のサイドに寄って、FWとともにチェックに行く。
そのため、ジェフは逆サイドのSBがフリーになることが多かったですけど、相手は5バックですからその前も完全には空くわけではなく。
そこで遅らせておいて、MFラインがサイドにスライドする…と。
群馬のMFラインはしっかりと前へのプレスをかけるだけでなく、プレスバックも献身的に行い、DFラインも低くはなく、DFラインとMFラインの間を狭くしてきましたね。
2試合連続の大敗後のホームゲームということもあってか、素直に「守備で頑張っているな」という印象を受けました。
ただ、後方よりに選手が集まっているのは事実で、かなり守備的な戦い方だったとは思います。
試合序盤のジェフは、守備で米倉のところを突かれた印象でした。
米倉は前へのチェックは積極的ですけど、相手を遅らせる、相手の動きを待ってアタックを仕掛けるというところが出来ていなくて…。
攻守においてフィジカルに任せたプレーが多く、賢くプレーできていないところがあります。
まぁ、高橋も鳥取戦では奥山に同じようにやられていましたし、右SBに攻撃的な選手を置く分の難しさはあるのでしょうけどね。
また、守備を固めてくる群馬は、カウンターの意識が非常に強く、守備から攻撃への切り替えが速かったですね。
一方のジェフは、相手を甘く見ているのかここ数年、攻撃から守備への切り替えが遅く、カウンターに弱い。
前半20分過ぎのジェフのCKからの守備では、完全に人数が足りていませんでした。
それとやはりジャイールのところで相手に前を向かれてしまいますね…。
ジャイールは基本攻めた後に戻らないので、そのまま中央寄りで攻め残ることが多いわけですけど、その位置から展開されてしまうと、どうしてもそのあとが後手になってしまう。
やはり押せ押せ状態でのジャイールならいいのですけど、接戦になってくるとジャイールの穴のほうが目立ってしまいますね。
攻撃の方ではいつもよりもロングボールを多用していた印象でした。
相手は攻撃時にラインを上げている印象でその裏を付けますが、時間をかけて攻めるとスペースを潰されるという予想もあったのではないでしょうか。
実際、試合序盤は相手DFラインの裏にナムが飛び出して、シュートまで持ち込めるシーンが作れていました。
しかし、あまりにもロングボールへの意識が強くなりすぎて、悪い状況でもロングパスを出す傾向も目立ち、その分ボールを失うことも多かったと思います。
また、相手MFライン4人が絞って守り、くさびのパスのパスコースが消されていたにもかかわらず、無理にボランチが縦パスを狙ってボールをロスト…という展開も目立っていました。
この辺りがなかなか流れをつかみきれない原因だったのかなとも思います。
■相手の退場もあって後半2ゴール
後半から流れを変えたいジェフでしたが、勢いは群馬に。
後半早々に左サイドから攻め込まれて全体のラインが下がり、中央に展開されて、孝太がシュート。
これがポストに当たり、跳ね返りも拾われてゴールかと思いきやオフサイドというシーンがありました。
山口智が後ろで1人だけ残っていましたから、相手FWはオフサイドはギリギリで非常に危ない展開でした。
しかし、その直後に、ペナルティエリア内で裏に飛び出したケンペスが倒され相手DFが一発レッド。
これをケンペスが蹴り一度は決めますが、味方選手のペナルティエリア内への侵入が早すぎたとして、取り消しに。
もう一度PKとなりますが、これを失敗してしまい、先制のチャンスを失います。
その後は相手が1人少ない中で、ジェフがどうやって点を取るのかという試合展開に。
ナムが負傷交代し田中が起用されましたが、結果的に良かったですね。
中盤に運動量とスピードが加わりました。
相手が中央に人数を固め、裏を狙える展開だからこそ、サイドをスピードで駆け上がる田中の良さが目立つ状況だったと思います。
また田中が右サイドに入り、谷澤が明確に左サイドに入ったことで、ジャイールが左サイドから攻撃に移ってサイドの空いた穴を埋めなければいけない…という問題もなくなりました。
しかし、チャンスは作れてもなかなか得点は奪えず、ようやく試合が動いたのは78分。
兵働からの浮き球を米倉がヘディングで中央に合わせて、フリーになったジャイールが頭で合わせて先制ゴール。
米倉がトラップで受けず、ダイレクトでヘディングで合せてラストパスを送ったというアイディアが良かったですね。
これによって相手DFが守る時間を作らせず、相手の意表を突くことが出来ました。
こうなってくると、ジャイールは乗ってきますね(笑)
2点目が生まれたシーンも、ジャイールからのスルーパスにサイドで田中が走りこんで頑張って粘って、最後はケンペスがゴール。
田中の頑張りが実になった形だと思います。
■守備の課題が攻撃にも影響
2-0での勝利ですが、なかなか苦労した試合だったと思います。
やはり守備のほうが課題は多そうですね。
中盤の選手の寄せが遅く厳しく行けず、DFラインの選手も前に潰せに行けないから、全体がずるずると下がってしまう…。
試合終盤に勇人、山口慶といった選手が起用されたところから考えても、鈴木監督も守備の課題を感じているのではないかと思います。
守備で良い流れが作れないから攻め込まれる時間帯も多くなり、ラインが低いから攻撃時に前線との距離も広がってしまい、攻撃にも支障が出てきてしまいますね。
攻撃の方も相手に退場者が出るまでは、なかなか良い形を作れませんでした。
ただ、裏を狙うパターンはあまり期待していなかったのですが、思ったよりも出来ていた印象はあったかなぁと。
前半のナムの飛び出しもパスの出し手と受け手のタイミングがしっかりとあっていましたし、後半の田中や米倉がサイドを狙う形も良かったと思います。
相手はMFラインの4人の絞りと5バックの中央で、ジェフがこれまで狙ってきたくさびのパスを潰そうという意図を感じました。
そのため、ジェフのボランチからFWへの縦パスは機能しない状況に。
それは今までやってきた攻撃のパターンを封じられてしまったということになるわけですから、ジェフにとっては歯がゆい部分もあったと思います。
ただし、群馬のMFラインが中に絞るためサイドは空き、DFラインも間を潰すために前に出てくるために、裏を取れる展開になりました。
DFラインとMFラインの間を狙うというジェフの基本パターンがあったからこそ、他に穴が生まれたとも言えなくもないと思います。
その他の穴をしっかりと狙って、それを実行できたというのは収穫ではないでしょうか。
例えば鳥取戦では相手の激しいプレスの中でも、ポストプレーからの展開ばかりを狙ってボールを失ってしまっていましたが、この試合ではしっかりと裏への形も作れていたわけですから、相手の出来は違うとはいえ進歩が見られたようにも思います。
ただ、今度は逆にロングボールを狙いすぎていたような気もしますし、サイドが空いた分SBにパスを展開してもそこからのビルドアップが出来ないなどの課題もあったと思います。
相手の裏にSBが走りこんでボールを受ける役割を作れる時はいいのですが、SBからのボールの展開は見られなかった…。
SBがビルドアップに効果的に参加できるようになれば、例えばボランチにもっと守備的な選手を置けるかもしれないし、パスワークにも幅が広がるし、もっとそのあたりは要求したいところではないかと思います。
まぁ、しかしそれよりも、やはり守備の改善が急務かなぁと思いますね。
夏に相手を潰せるボランチあたりを期待したくなるほど、今の守備は軽すぎる気がします…。
もちろん兵働の起用なども守備の課題はわかっていてやっている部分があるのでしょうけど、それにしてもちょっと全体的に苦しすぎる気がします。
ジャイールの穴も含めて、どうにかしたいところですね。