たかが開幕戦、されど開幕戦

 twitterやブログなどで試合前の準備だとか予想、試合中の盛り上がり、そして試合後の嘆きや喜びの声などを聴いていると、いよいよ開幕したんだなぁと感じますね。
 改めて今シーズンもよろしくお願いいたします。


 ジェフはホーム・フクアリで札幌を迎えての開幕戦。
 しかし、天気予報では晴れだったのに、実際には風の冷たい曇り空で、試合後には小雨もちらついていました。
 ジェフの方も今年こそはと期待していたのですけど、内容の方はすっきりとしない試合になってしまいました。
■1トップにケンペス、左SBにキム
 ジェフはちばぎんカップから若干スタメンを変えてきました。
 ナムをベンチスタートとして、ケンペスを1トップに。
 左SBの渡邊は怪我で、左にキムを移して、右SBには負傷明けの高橋がスタメンとなりました。


 渡邉は今年も怪我をしてしまいましたね…。
 ジェフに加入して4シーズン目ということになりますが、これまで一度もフルシーズンを怪我なく戦ったことがないですから、今年もどこかでは負傷するだろうなぁという予想はできていましたし、だからこそ左SBの補強は必要だと思っていたのですけど、この時期に怪我とは…。
 まだチームも初期段階であり、いろんなバリエーションを試せているわけでないうえに、大事な開幕戦直前での負傷ですから、非常に悪いタイミングとなってしまいましたね。



 右SBの高橋は昨年も一時的にではありましたが左SBでプレーしていたので、そちらの可能性も考えられたと思うのですが、守備のしないジャイールが左ウイングで起用されているので、本来はCBのキムを左SBに起用したということでしょうか。
 しかし、左SBのキムは急遽ここで起用されたことになると思うのですが、経験が少ないポジションということもあって、苦戦していましたね。
 さすがにもう少しプレー経験を積めば、向上する余地はあるように見えましたが。


 しかし、それにしても本職ではないSBにプレーさせるには、あまりにも難易度が高すぎる環境ではないかなと。
 というのも、ジャイールが基本的に相手SBのオーバーラップについてこない。
 相手から見て低い位置でボールを持った時にはさすがにチェックに行きますけど(ボールを奪えば攻撃に移れるという発想もあるのでしょう)、相手がオーバーラップすると簡単にキムが一対二の不利な状況になってしまう。


 また、攻撃でもキムは攻撃参加できなかったわけですけど、ジャイールは一発でのロングボールの展開を狙ってばかりで、近い選手へパスを出してリズムを作っていく選択肢がないですから、キムと連携してパスをつないで行こうという意思を感じない。
 しかも、ジャイール自身は一発はあってもボールロストの頻度が高く、SBとしては攻撃参加に大きなリスクを感じる。
 渡邉のようなある意味で怖いもの知らずな選手なら前が誰であろうとどんどん行くでしょうけど、もともと守備を期待されてのスタメンだということがわかっているであろうキムにとっては、攻撃参加もかなり厳しいものだと考えられたでしょう。
 ただ、ジャイールとしてもSBが積極的に攻撃参加してくれた方が、おとりとなって攻撃がやりやすかった面はあったでしょうけどね。
 あくまでもおとりとしてがベース、ですけど。



 また、ケンペスの方も1トップで前に構える選手なため、やはりちばぎんカップでよかった前線の流動性がなくなってしまいましたね。
 この辺りはある程度、予想は出来る展開でもあったわけですが…。
 コンディションもいまいちなのか、全体的に動きが重そうで、局面で体を張れていない印象もありました。
 結果的に、前線で蓋となり、スペースが作れないという問題が作れてしまいましたね。


 ただ、それにしても谷澤や米倉、勇人といったちばぎんカップで走れていた選手が、この試合では動きが少なかったというイメージもあって。
 流動性ケンペスだけの問題ではないようにも見えましたし、そもそもケンペスを起用するということはある程度流動性は損なわれるのは見えていた部分であったはずで、そのうえで何が出来て、何が出来なかったのかを計るのが重要なのかなと思いますが。
■テンポアップできず後半ロスタイムに失点
 後半途中から、右SBの高橋を積極的に使っていく展開が増えていきました。
 高橋は後方から長い距離を走って、前を向いてボールを受ける。
 そのためボールを持った時点ですでに高橋はスピードにのっているため、相手も守備をしづらくなるという状況になります。


 この辺りがジャイールを中心として、前線の選手に確実に足りていない部分でしたね。
 足元でボールを受けようとしてばかりで、走って受けようという意思を感じない。
 その結果、全体的に動きが足りない印象を受けました。


 高橋の前は米倉で、米倉が高い位置で絞り気味のポジション取りをしていたために、より高橋の前のスペースが空く流れとなりました。
 しかし、米倉は前で張りすぎて、ケンペス同様に前線の蓋となってしまっていました。
 確かに前線の選手がゴール前に出ていくのは大事な動きですけど、そこで待っていてはスペースを潰すだけであって。
 ボールをもらい直すために、何度も動きなおすこと。
 そこが重要だと思うのですが…。



 後半の中頃から、相手も動きが止まっていき、ジェフにとってはチャンスだと思われました。
 しかし、その流れの中で、なかなかギアをあげられない。
 もう一頑張り出来ず、攻撃を仕掛けられない状況になってしまいます。


 すると後半ロスタイム、札幌MF内村に裏を取られて失点。
 このシーンで札幌がやったような裏を走る攻撃をもっと見たかったなぁと思ってしまいましたが…。


 なんだか、流れ的にも時間帯も失点の形も、昨年のプレーオフ決勝のようでしたね。
 CBとCBの間を走られて、そこに中盤からボールを出されて、裏を取られて失点という展開。
 山口と竹内には、二度とやってほしくない失点パターンだったわけですが…。
 それまでにテンポアップできなかった攻撃も残念でしたけど、守備の方も残念なラストとなってしまいました。
■昨年からの大きな変化を感じず
 すっきりとした開幕戦とはいかなかったですね…。
 財前新監督の率いた札幌は、目立った特徴こそないですけど、穴もない印象だったかなと。
 選手の動きもそこそこといった感じでしたけど、やはり櫛引と奈良の両CBには魅力を感じました。
 ケンペスが苦戦したのも納得というか…。
 いや、納得してはいけないのですけど(笑)


 残念だったのは、昨年からの大きな変化を感じなかったことですね。
 運動量豊富に流動的なサッカーも見られなかったですし。
 相手が引いてきた状況での攻撃の形も作れず、結局ちばぎんカップでゴールを奪えたのは、カウンター展開だったからなのかな?と感じざるを得ない展開でした。
 また、ゲームコントロールというか、試合運びのつたなさも感じ、大事なところでテンポアップできない、集中できない。
 そして、最後にあっさりと失点…と。


 こうやって書くと、明らかに去年の悪い時のジェフといった感じで…(笑)
 やはり大幅にメンバーが変わっていない以上は、昨年からの大きな変化は期待できないのか。
 唯一の収穫に見えた高橋の動きも、昨年終盤1人で頑張っていた試合が何度かあった気がしますしね…。
 ジャイールも下手をすると深井と被るイメージがありますし。
 まぁ、とはいえ、それらの課題を見てそこから変えられるかどうかが大事です。



 まだ開幕戦。
 とはいえ、されど開幕戦。
 できることなら、昨年までのジェフを吹っ切るようなサッカーを、開幕戦から見せて、今年は違うんだぞというところを感じさせてほしかったですけど、それは残念ながら出来なかったようです。
 良い状況には思えませんが、その状況をしっかりと受け止め、問題点を把握した上で、次に進んでほしいですね。


 スタートラインとしては、決して良い位置にいるわけではない。
 けれども、個々から成長できるかどうかが、何よりも大事ですからね。
 ともかく、ここから開幕です。