希望の光をモノに出来るか
春の訪れを告げるちばぎんカップ…となるはずが、まだまだ気温は低く、寒い毎日ですね。
観戦に行かれた方、お疲れ様でした。
この時期は毎年、新チームに対するワクワク感も強いですけど、一方でチェックしたいポイントもたくさんあって、見る方にとっても大変だったりしますね。
当ブログも久々に真面目に試合のレポートを書くのでリハビリ感覚なんですが、取り上げたいところは盛りだくさんといった感じで、そのギャップが悩ましいです。
ただ、どのポイントにせよまだプレシーズンマッチの1試合ですから、結論を出すにはまだ早いんだろうなとは思います。
■ジャイールのパスから米倉が先制ゴール
ジェフのスタメンはGK岡本。
DFラインはキム、竹内、山口智、渡邊。
ボランチは勇人と兵働。
そこから前は流動的で、左FWにはナム、左ウイングにジャイールがほぼ固定ですが、右FWと右サイドの谷澤と米倉は流動的な感じかなといった印象を受けました。
柏は報道の通り3バックで、やはりテスト的な意味合いが強い印象だったのかなと思います。
サイドを攻め込まれた時の対応などが後手になる印象が強く、CBもゴール前などでのマーキングなどで曖昧な部分があったのかなと。
1人1人、局面での守備はさすがに強かったですけど、組織的にどう守るかの約束事はまだまだこれからの段階なのかなといった印象を受けました。
対するジェフは中央では兵働が、右サイドでは谷澤がポイントとなって、左サイドではジャイールが前を向いて仕掛けるサッカー。
選手たちも柏より動けている印象で、試合はジェフ優勢で進んでいった印象でした。
ただ、試合序盤は中盤の後方やサイドでパスはつなげても、流動的なサッカーのためか、なかなかCFWの位置に選手がいない状況だったと思います。
本当の意味でのナチュラルな0トップというか。
実際の0トップは前線の中央をあえて空けておいて、そこにどんどん選手が入って行くことで成り立つわけですけど、そうではなくて単純に選手がいないという。
この流動的な前線のシステムにしていくとすると、シーズンに入ってからもそういった状況が起こりやすいのかもしれないですね。
この試合は相手が守備を固めてこなかったから、そこまで気にはならなかったですけど。
前半19分、左サイドでボールを持ったジャイールが、縦に仕掛けず中に入っていきクロス。
外から中に入ってきた形の米倉が、頭で合わせて先制します。
米倉の入り方、良かったですね。
こうやってヘディングでの得点も増えていくと、昨シーズン終盤のようにドリブルだけという形にはならないと思います。
ジャイールはスピードもあってドリブルで仕掛けられるだけでなく、中に入ってパスを出すプレーもできる選手のようですね。
ボールを持ちすぎる感もあり、スムーズなビルドアップに協力するというタイプではなく、ラストパスを狙っていくタイプですが、視野も広くて精度も高い。
逆にドリブルに関しては一辺倒な印象もあり、まだ柏の選手はデータもなく様子見の状況で仕掛けやすい形だったと思うのですが、それでも試合が進むにつれ徐々に強引なドリブルは出来なくなっていましたし、公式戦となればあそこまでうまくは行かないだろうなとも感じました。
■カウンター展開の流れから2ゴール
前半3バックで守備に迷いも見られた柏は、後半開始と同時に4バックに変更。
前半ジェフは左のジャイールや右の米倉、谷澤を中心に攻めていましたが、柏が4バックにしたことで、その攻め手を抑えられる格好となりました。
4バックになったことで攻撃面でもワイドにボールを回せるようになり、ピッチを広く使うようになっていきます。
これによって、ジェフは守備で相手を捕まえられなくなり、相手に振られることが増えていきました。
しかし、柏の動きは徐々に良くなっていきましたが、やはり前半からの流れというのは大きかった上に、1点を先に取ったジェフは守備を固める流れになっていきました。
前半からジェフは、右サイド担当の谷澤と米倉が低い位置まで守備に戻ることが多かったですね。
1つは左ウイングのジャイールがあまり守備に参加しないため、DFラインの4人が全体的に左よりになってジャイールの後方を埋める分、右サイドが空くためそこのスペースを消すために、どちらか1人が下がらなければいけなかったこと。
もう1つは相手が3-5-2で中盤が3人だったため、また兵働は守備面で不安要素がある上に、勇人とのダブルボランチコンビはサイズ的に不安があるため、中盤に1人が下がらなければいけなかったこと。
このため、守備時はトリプルボランチ、あるいは1アンカーの中盤2人にも見える時間帯がありました。
この下がるタイミング等に関する規則性は、この試合を見ただけでは正直わからなかったのですが、2人はFWに近い仕事もしつつボランチあるいはサイドハーフ…というよりはサイドバックにも近い仕事をしていましたから、かなり大変そうでしたね。
特に2人のうち守備に戻ることの多かった米倉は、FW、中盤、サイドと複数のポジションを同時にこなすような形になりますから、消耗が激しそうだなぁと。
もともとピッチ外での性格はまじめそうな米倉ですけど、ピッチ上では意外ととそうでもない気がしますから、年間を通して気持ちが切れないかちょっと心配だったりもしますが…。
この試合も守備におわれている時間帯に一瞬、チェックをさぼった時がありましたしね(笑)
また、この守備システムのために右SBには、CBもこなせるキムなのかなとも感じました。
特に押し込まれていた後半は、右サイドの米倉も含めて5バックに近いような戦い方をしており、キムが中央の位置でプレーする時間帯も長かったですからね。
試合に戻ると、しっかりと守備で跳ね返してカウンターを狙っていたジェフ。
相手にボールを持たれる時間が増えていきますが、柏も攻撃にキレや勢いはなく、怖さはあまり感じませんでした。
すると、60分にCKから米倉が足で合わせてゴール。
このシーンも柏の集中力のなさを感じるシーンでした。
一方の米倉は守備での頑張りが結果的に報われた形に。
続いて71分には、渡邊のセンタリングからナムがゴール。
渡邉はこの試合で再三良い攻撃参加を見せていましたが、このシーンでは良いボールを出せましたね。
ボランチといわれていたナムがFW起用というのは意外でしたが、このゴールではダイナミックな走り込みからのジャンプでヘディングを決めてくれました。
体幹が強く、ジャンプ力もあって、動ける選手ということでナムがFW起用されたということなのでしょうか。
確かにフィジカルの強さは感じましたし、形になれば楽しみではあります。
ただし、そこまでの動きは決して良いとは言えなかったと思います。
一対一の当たりのシーンに関しては可能性も感じましたが、ポストプレー時の動きができておらず、ボールの受け方・引き出し方、相手との体の入れ方などがまだまだで、ナムへの足元の楔のパスはことごとく潰されていた印象です。
一昨年の米倉も急遽FWをやらされて、ポストが機能していなかったことがありますが、それに近く現時点ではもっとひどい感じかなと。
ポテンシャルとしては十分やれそうではありますし、動けて戦えるFWは個人的には好みですけど、確実に経験不足だったように思います。
逆に選手としての総合的な可能性は感じましたし、ボランチでは兵働などが守備に遅れるシーンも目立っていましたから、そっちは大丈夫なのかなと。
穴を埋めるべく谷澤、米倉などが頑張っていましたけど、左右のバランスでジャイールのフォローもしなければいけないし、兵働もサポートしなければいけないし…となると、なかなか大変そうな気もしますね。
プレーオフだとかこの試合だけならなんとかなるのでしょうけど、フルシーズン通すとなるとどうしてもバランスというのが大事になってくるでしょうし、そこを治さなければ歪みというものは徐々に大きくなっていくものでしょうから…。
■多くの希望の光が見えた試合
結果的にジェフが3-0で柏を下しました。
しかし、相手はコンディション、戦術面、モチベーションなどトータルで見てもやはり本気ではなかったと思います。
ですから、「柏に勝った」、「J1のクラブに大勝した」というよりも、単純に「練習試合でいい試合をした」という評価になるのではないでしょうか。
全体的に見ると良い試合ではあったと思うのですけど、ジェフの選手たちのほうが体が仕上がって動けていましたし、そのまま比較するのは難しいだろうなと思います。
むしろ、ここ数年のジェフはちばぎんカップではいい試合を見せて、シーズンに入ると尻すぼみになっていく印象もありますから、ここまで動けていいのかな…とも(笑)
特に兵働や米倉、渡邊などはそれぞれシーズンを通しての戦い方に課題がある気がしますから、今後の管理が凄く大事になってきそうですね。
新外国人選手も試せて収穫の多い試合だったと思うのですが、1つ注文を付けるとすれば後半は特にカウンター気味の展開になっており、前半のような遅攻の際にどれだけ攻撃の形を作れたかというと、若干物足りない部分があったのかなと。
ジャイールも前を切られると弱そうなところがありましたし、カウンターは良くても遅攻では苦労しそうな気もしますから、ジャイールに頼っているようだと心配かなとも思います。
この試合のジャイールは前半は相手が3バックだったためワイドに位置取りし、後半は中寄りでプレーしていましたが、後半のほうが行き詰ることが多かった気もします。
J2でも4バックのほうが多いと思いますし、ジャイールはマークされる(逆に言うと攻撃の遅らせどころになる可能性も)でしょうから、いろんな展開を考えて準備していかなければいけないのかなと思います。
とはいえ、全体的には面白い試合だったと思います。
・ともかく積極的に前にパスを早く出して、素早い攻撃ができていたこと。
・高い位置でボールを奪ったら、そのまま前に突進していく動きがみられていたこと。
・ここ数年にない流動的な選手の動きが見れ、ピッチ上に停滞感を感じることが少なかったこと。
・選手たちがしっかり戦えていたこと。
これらの良かった部分を今後伸ばしつつ、全体的なバランスや遅攻の面の課題を解決していけるか。
課題を解決しようとするとそれまでの良さが失われたり、更なる向上を目指すと逆に停滞感が生まれてしまったりすることもありますから、そういったことのないようにチーム作りが進むといいですね。
まだまだうまくいくかどうかは、可能性の段階。
とはいえ、多くの希望の光は見えた試合だったのではないでしょうか。