2012シーズン反省会 FW編

 MF編も終わってFW編…なのですが、今回は取り上げる選手が少ないですね(笑)
 オーロイ、ロボは退団時に取り上げてしまったし、その後に藤田も退団。
 大塚も完全移籍が決まった際に、話しをしてしましましたしね…。


 大塚は違いますけどそれだけFWに退団者が多いということにもなります。
 退団者が多いこと自体は悪いことばかりではないとは思うのですけど、問題はその穴が埋めきれていないというか、単純に人数不足が懸念されますね。
 こういった不安というのは「始まればどうにかなるか!」という適当な考えではどうにもならず、そのままチームの課題としてシーズンが進んでしまうことが多いですから、何とか補強などをして"間に合わせて"ほしいところですが…。
 なかなか時期も時期ですから、簡単ではないのでしょうけどね。



深井正樹
 2011年は大活躍の年でしたが、昨年はかなり苦労しましたね。
 出場試合数は一昨年も昨年もリーグ戦36試合とちょうど同数でしたが、得点数は14ゴールから4ゴールに激減。
 出場時間も3217分から2166分に大きく減っています。


 シーズン前半はウイングでの起用が多かった深井。
 鋭いドリブルは変わらず良い動きを見せていましたが、木山サッカーにおけるリトリート時の守備は比較的重心が低く、CBを中心に人数を集めてスペースを潰すやり方で、後方を埋める守備というのが得意ではない深井は守備時の穴になっていた印象があります。
 まぁ、一昨年もそういった守備の穴は見られていましたが、そこには目を瞑って起用されていたところがあったんだろうなぁとは思いますが。


 また、シーズン途中には木山監督が4-4-2のカウンターサッカーに移行したため、2トップの一角として起用されることもありました。
 しかし、ここで深井は大きな壁にぶつかってしまいました。
 木山監督はFWにポストプレーを求める傾向にあり当然深井もポストプレーをしなければならなくなったわけですけど、フィジカルの弱さから簡単に相手選手に潰されてボールを失うシーンが目立ってしまいました。
 攻撃の大筋は「くさびのパス→ポストで落とす→中盤でつないでサイドなどから前を向いたFWにパス」という流れだったはずですが、深井はその初めの楔を受けて落とすプレーができなかったため、その後の前を向いてプレーするところにまでうまく入って行けずに終わってしまいました。
 その後、再びパスサッカーに戻った昨年のジェフですが中盤も構成できる谷澤の加入もありましたし、木山監督の目指すシンプルなパスワークからの攻撃にはうまくあわないまま、シーズン終了となってしまいました。



 もともとやれることとやれないことがはっきりとしている選手なわけですけど、昨年はその悪い方が出てしまったというか、応用力のなさが浮き彫りになってしまいました。
 一昨年のサッカーと言うのは世間一般には"オーロイサッカー"と言われていたと思うのですが、個人的にむしろ"深井サッカー"ではないかと思っていたのもそのあたりで。
 悪いところを周りがサポートする、あるいはそこには目を瞑って、自由にプレーさせないとなかなか活きないというか。
 その自由奔放さがチームが苦しい時にはよく見えたりもするのですけれども、それは得てして深井の良い部分だけを見た結果であることが多く、実際にはその分他に穴も作ってしまう"もろ刃の剣"であることも忘れてはいけないように思います。


 「深井はそれでもいい」と言いたいところではありますけど、チーム全体で考えるとどうなのか。
 モダンなサッカーと言うことを考えると、様々な場面に適応して、いろんなことができる選手のほうが好かれる傾向にあるのではないかと思いますし、もう少しドリブル以外の部分も頑張ってほしいような気もします。
 人気があって、影響力もある選手なだけに、なおさらかなと。

 
戸島
 昨年もほとんど試合には出場していませんから、本来は取り上げないつもりだったのですけど、FWの人数不足と今年への期待ということで。
 正直、昨年のプレーを見るとポジションは違いますけど、町田あたりのほうが個人的には期待していたし、もっと見たい選手でもあったんですけどね。
 町田は重心の低い細かなドリブルから針の穴を通すようなショートパスが出せる選手で、スタミナやフィジカルなどはまだまだだと思いますけど、スーパーサブとして流れを変えられる可能性があったのではないかと。
 個人的には『姉崎のマラドーナ』と呼ばれた工藤よりも、よっぽどマラドーナに近いタイプなんじゃないかなと感じたのですが。
 ただ、木山監督はあくまでもシンプルなパスワークを目指していたため、町田のようなボールを持ってタメを作る選手は好きではないのかな…とも。
 しかし、そのシンプルなパスワークにこだわった結果、アクセントのない、単調なサッカーになってしまった印象があるわけですが…。


 戸島に関しては190cmに近い長身ではありますが、練習で見てもそれ以上に柔軟な足元でのボール使いのほうが目立つ選手ではないかと思います。
 天皇杯などでも懐の深い受け方で、ボールをさばいていた印象があります。
 また、サイドなどにも積極的に動いてボールを受けるなど、動きもあるFWなのかなと感じます。


 ただ、それらの動きというのはまだまだ可能性の段階であり、実際の試合で強さとなるレベルかというと未知数ではないかと思います。
 サイドに流れる動きも見方次第では、中央での厳しい圧力から逃れているようにも見えなくはなかったですし、足元の技術はいいですけどCFWとしては中央での高さや強さもみたいかなと。
 あるいは相手をいなすことができるレベルまでの技術に、もっていければいいのでしょうが。
 個人的には年齢も違いますけど、1年目から中央で相手DFと戦えていた久保のほうが可能性を感じてましたし、技術などは戸島の方が上だったとしても久保のほうが「実戦向き」だったようにも思います。


 なかなかあそこまで懐の深いボールの受け方ができる日本人選手というのも少ないでしょうし、うまくそこを強みに変えられれば楽しみな選手だとは思います。
 ただ、まだ今は可能性の段階であって、今年いきなりブレイクするのを期待するのは、ちょっと無理があるんじゃないかなと。
 結果的に成功してくれればもちろんうれしいことではありますけど、過度な期待は本人の重荷にもなりかねませんし、冷静に見ていかなければいけないんじゃないかなぁと思います。
 戸島はサイズが大きい分、まだ体が出来きれていないような印象もなくはないですし、もしかしたら大器晩成型の選手かもしれないな…とも。
 今年で4年目ですから一般的には勝負の年ではあるわけで、本人の意識を高めるために「18」番を背負わせたのかもしれませんが、大器晩成タイプの選手をじっくりとクラブとして見ていけるのかどうかも、選手育成においては重要になるのかもしれないなぁと思います。
 もちろん今期は将来的に芽が出るキッカケくらいは作ってほしいと思いますし、そのためにも昨年まで以上の成果は出してほしいと思いますけどね。