2012シーズン反省会 MF編 その2

 朝から予想以上の大雪でびっくり。
 皆さん足元には十分にお気をつけて。


 MF編その1では主にボランチの選手などを中心に取り上げました。
 今回は2列目の選手ですね。
 狙っていないのですけど偶然にも同じような話になってしまって、テーマはプレーの選択肢や判断力、ドリブラーとしてのさらなる成長などについて…ということになってしまいました。



米倉恒貴
 昨シーズンは開幕前からレギュラーポジションを獲得。
 もともとパスサッカーを目指していた木山監督は4-5-1でプレッシャーの厳しいトップ下の位置に米倉を起用し、そこでボールをさばきながら前を向いてもらうという期待をしていたのではないかと思います。
 しかし、ちばぎんカップで骨折すると、長らく戦列からは離れそのうちにチームは4-4-2のカウンタサッカーに変更。
 戦線復帰後もなかなか出番が回ってきませんした。
 しかし、シーズン終盤、田中の負傷もあって右ウイングの定位置を確保。
 ゴリゴリと強引に行くドリブルからのシュートなどで決定機を作り、特に残り数試合はチーム全体が「米倉に突破させてチャンスを作る」状態になっていたと思います。


 それだけ最後は素晴らしい活躍をしたとは思いますが、シーズン全体でみると良い年だったかといわれるとそこまでではなく、成績も2010年はリーグ戦33試合に出場して8ゴールあげていたのに比べて、昨年は22試合出場2ゴールと印象ほどの活躍はしていません。
 もちろん骨折で全治2か月となった影響はすごく大きかったと思いますしそこは不運でもありますが、怪我から回復して6月上旬にはすでにリーグ戦に出場しています。
 しかし、それ以降すぐに活躍したかというとそうではなく、調子が上がってきたのは10月下旬から11月でした。
 また、シーズン終盤は米倉のドリブルに頼ったサッカーになりつつあったジェフですが、プレーオフ決勝の大分戦ではその米倉が研究されて大ブレーキ。
 縦へのドリブルばかりを狙っていた米倉はその縦を切られると、1人で中央に持ち込んで強引にシュートをしてはボールを失っていました。


 毎年、好不調の波の激しさが指摘される米倉ですけど、この辺りが要因の1つではないのかなと思います。
 気持ちよくプレーができている時は大いに活躍できる選手なわけですけど、その気持ちよさのポイントというのが前を向いてのドリブルが通用するかどうか。
 その際に縦が空いていればグイグイ行けるわけですけど、相手が注意して縦を閉じられた途端に次の一手がなくなってしまう…。
 ようするに、選択肢の少なさと判断力に大きな課題があるんじゃないかと思います。


 本来はドリブルだけでなく、パスやクロスも出せてフィジカルもあって走れる選手なはずなんですけど、現状だと猪突猛進にドリブルで攻めるだけの選手になってしまっていますね。
 1年目のアマル監督の頃はボランチで起用されたり、賢い選手として期待されていたはずだったのではないかと思うのですが、個人的には少し残念というか。
 今期はそのあたりの克服を期待したいところではないでしょうか。
 もっと周りを使える選手になってほしいし、そうなれるだけの能力はあるはずの選手だと期待しています。
 ドリブルがJ2で通用するのはもうわかったので、それ以外の部分を伸ばしていってほしいですね。


田中佑昌
 去年のオフに補強した選手の中では、ベストと言えるくらいすごく良い補強だったのではないかと思います。
 基本はスピードあるドリブラータイプの選手なのですけど、それだけではなくてクロスも出せるし、ゴール前に入っていった際にはヘディングも期待できる。
 1トップが多い現在のサッカーにおいては、ウイングの位置からゴール前に入って行けるというのはすごくプラスですね。
 また、両足でボールを蹴れるというのも選手としての幅の広さを感じますし、年齢も26歳と中堅で今後の活躍にも期待できます。
 クロスなどをトップスピードで出せるというのも、ポイントが高いところではないでしょうか。
 それによって相手を抜き切らずにボールを出せて、相手の守備が整う前にワンテンポ速く、ゴール前にボールを供給することができます。
 そのあたりをもう少しうまく使ってあげられれば…と思ったのですが、なにせ最後は選手頼みなところが強いチームで、ゴール前との連携がもう1つといった印象もありました。


 昨シーズンは序盤戦こそレギュラーれはなかったですけど、夏頃には完全に右サイドのポジションを獲得、34試合に出場して8ゴールをあげました。
 移籍1年目にして十分活躍してくれたと思います。
 ただ、シーズン終盤は怪我もあって出場できず、米倉の"目立った"活躍もあったために、あまりに印象には残らなかったのかな?とも思います。


 プレー自体も非常にシンプルでしっかりと走り回り、サポコミで初めてジェフの選手としての田中を見た時の印象よりも、すごく真面目な選手だなと感じました(笑)
 予想以上にポリバレントな選手だったというか、なんでも出来る選手だしベンチからの指示にもしっかり応じてくれそうな選手で、監督としても使い勝手が良いのではないでしょうか。
 しかし、その分…というわけではないのでしょうけど、効果的なプレーの数というのはまだまだ少なく、そこが課題なのかもしれませんね。
 クロスなどの精度の問題だとか、もう1つ強い武器があれば、ワンステップ上を期待できる選手になるのかなぁと。
 後はもう少し中盤でのパスワークに絡めれば、良いのかもしれませんね。


 米倉も田中も才能は2人ともあるのですけど、意外と両極端な2人なのかもしれません。
 今期も同じポジションのライバルとして。
 あるいは、同じピッチに立つ仲間として切磋琢磨してくれればと思います。


谷澤達也
 昨年途中から完全移籍でジェフに復帰した谷澤。
 サッカーにおけるセンスという意味では、相変わらず素晴らしいですね。
 鋭いドリブルからの精度の高いパスはもちろんのこと、昨年はプレースキックやゲームメイクの面でも貢献してくれました。


 FC東京で経験からか、昨年は請われる形でジェフに復帰したため精神的な違いなどもあったのか、より周りを活かすプレーも増えていた印象で、単純なドリブラーというだけではなくなっていた印象でした。
 相変わらず好調の時の手の付けられないような活躍を毎試合維持できるわけではなくパフォーマンスの波はありましたけど、それでも悪いなりにプレーできていたというか。
 以前の谷澤は好不調の不調の際に試合から完全に消えていることも多かったですけど、昨年は良くないときでもパスワークに絡むなどしてチームに貢献できている部分があったように思います。
 それもやはり周りを活かす側のプレーができるようになったから、という部分が大きいのでしょうか。
 昨シーズン終盤は「自分がチャンスを作るんだ」と言う意志だけでなく、絶好調だった米倉をうまく活かすために、自分は左ウイングの位置から中盤後方に入って、右ウイングの米倉を前にだしサポートに回っていた印象もありました。


 精神的にも落ち着いてたくましくなった印象がありますし、今期あたりは中盤前目のリーダーとして期待してもいいのではないかと思います。
 責任感を与えたほうが谷澤のさらなる成長につながるかもしれませんし、谷澤としてもそれくらいの意気込みをもってやってもらわなければいけないのかなと。
 せっかく帰ってきてくれたからには、谷澤自身にとってもそういったプラス要素を与えてあげたいですしね。
 昨年のプレーを見ているとチャンスメイクだけでなくゲームメイクの面でも活躍できるのではないかと思いますし、現状の戦力だともう1人の中盤の軸候補として考えられる兵働はどうしてもコンディションに不安があります。
 フルシーズン、90分を通しての安定感なら谷澤のほうが期待できるのではないかと思いますし、兵働には一発での打開に専念してもらって、谷澤を中心に中盤の攻撃を作るというのも面白いのではないかな…なんて自分は思います。
 FC東京移籍前の谷澤では正直不安定さも目について(明らかなウェイトオーバーでキャンプインなんてこともありましたし)、自分の好きなようにサッカーをやっている印象もあったので、なかなかそうは思えなかったですけどね(笑)