2012シーズン反省会 GK&DF編 その2

 だいぶ間が空いてしまいましたが、その1に続いて。
 その1ではGKやCBなど、昨シーズンの守備のかなめとなる選手たちを取り上げましたが、今回はSBなどを取り上げます。
 本来は高橋や武田の話もその2でしようと思っていたのですけど、その後に移籍が発表されたため、すでにお話しておりますので割愛ということで。


渡邊圭二
 毎年のように怪我に悩まされている渡邊。
 昨年もちょこちょこと負傷をして、フルシーズン、ベストな状況ではサッカーに臨めていなかったと思います。
 それでも夏を過ぎたあたりからリーグ戦に出場する機会が増えていき、シーズン終盤にはレギュラーポジションを獲得。
 チームはシーズン序盤以降なかなか良い状況では戦えていなかったので、苦労はしたと思いますが、それでも戦力としてしっかり貢献してくれたと思います。


 左SBのポジションから積極的に攻撃参加を仕掛けて、攻撃を活性化する役割を果たすという部分は健在。
 同ポジションでレギュラーを獲得していた武田が、あまり積極的にオーバーラップを仕掛けるタイプではないだけに、その差がはっきりと感じ取れました。
 ただ、一方でやはりクロスの質に関しては課題も多く、こちらに関しては精度という意味でもボールの種類という意味でも高いレベルにある武田のほうが大きく上だったかなと。
 また、守備でも相手に狙われることが多く、武田も守備時の対応は課題が多かったものの、試合をこなすにつれスペースは消せるようになっていった印象でしたから、若干その穴が目立っていたようにも思います。


 それでもシーズン終盤から渡邊の方を起用していたのは、SBの攻撃参加というのが木山監督の目指すサッカーにおいて重要なポイントとしてあったからではないかと思います。
 木山監督自身、SBが攻撃参加して、サイドハーフが中でボールを受けて、前線が前を向く形が攻撃の流れであるという話をしていただけに、SBの積極的な攻撃参加というのは必須だったのではないかと。
 しかし、であるのなら、なぜ補強選手が武田だったのか。
 確かに武田もクロスでの攻撃に関しては大きな武器ではありましたが積極的にアップダウンするタイプではなかったですし、もともと左SBは層の薄いポジションだっただけにちょっと違和感を感じる部分かなぁと。
 武田のセンスを買いたい気持ちはわからなくもありませんけど、もう少し目指すサッカーと補強とのすりあわせが必要だったのではないかとも感じなくもありません。



大岩一貴
 プロ入り1年目ではありましたが、当たりの強さと積極的なオーバーラップでシーズン序盤から右SBに定着しました。
 特にタイミングの良い積極的なオーバーラップというのは、これまで在籍したジェフの右SBではなかなか見られない部分でしたから、「ようやくジェフに右SB候補が現れた」といった印象を受けていました。
 しかし、チーム戦術としてSBが中央による傾向があり、そこから外へのケアが遅れがちで対面する相手選手に前を向かれることが多く、前を向かれた状況での一対一での守備には課題も見られました。
 このあたりは大岩だけでなく守備戦術の課題も大きかったとは思うのですけど、そのあたりの動きに対して木山監督が満足できなかったために、ミリガンを右SBで起用してみたり、高橋をレンタルで補強してみたりという流れにつながったのではないかと思います。


 個人的には大岩や武田など、一度育てようと決めた選手を途中であきらめてしまったように見える部分も、もう1つ木山監督を評価しにくい部分でもあります。
 もちろん昨年は1年での昇格がノルマだったのでしょうから、育成などは考えていられなかった部分もあるとは思いますけど、それにしても失点につながった町田などのケアを感じられなかったり、武田もシーズン途中から気持ちが切れてしまっていたようにも見えましたし、選手のケアがうまくできていなかったように感じてしまう部分があります。
 そうなってくると、ますます昨シーズンのチームの伸び代というのはどれだけあったのかな?と。


 大岩に関してはクロスの精度は徐々に上がっていたもののもう少しでしたが、それでも前線へのグラウンダーのパスやゴール前に入っていた時の動きなどにはセンスを感じました。
 SBからペナルティエリア隅に入って行く動きというのは珍しく、攻撃のバリエーションを増やすという意味でも可能性を感じた部分もあります。
 このあたりはもともとセンターでプレーしていた選手だからこそ、という動きでもあったのかもしれませんね。
 SBとしてはもう少しクロスの精度も上げることができれば…といったところなのかもしれませんが。
 また守備においてはヘディングも含めて、単純な当たりの強さではJ2のトップレベルでも十分通用するレベルだったと思います。
 ただ、守備範囲だとかカバーリングにはまだまだ課題があって、そこが苦労した部分なんだろうなぁと思います。
 加えて相手が前を向いた時の一対一での対応も、向上の余地があるのではないでしょうか。


 今後SBとしてプレーしていくのか、CBでプレーするのかは悩ましいところでしょうけど、特にカバーリングなどの点においてはDFラインでプレーする以上、必ず必要になってくる部分だと思いますので、相手への読みだとか一歩目の出足の部分などを学んでいく必要があるのかなと思います。
 ポジションに関してはどうしてもチーム事情というのも絡んできますし、本人としてもポジションにこだわるより出場機会を考えるかもしれませんし、出たとこ勝負になることも多いと思います。
 ただ、思ったより器用なタイプな選手ではないような気もしていますので、本来ならポジションは固定してあげる方が良いのかもしれませんけどね。
 昨年、SBとCBで出場機会があったのは、器用だからというよりは強さだとか技術だとかそれぞれのプレーの質の高さからであって、それをうまいことポジションに合わせて応用できているようなタイプとはまた少し違うのかなと。
 将来が楽しみな選手の1人ではありますけど、もし高橋がジェフに定着してくれて、栗山が外国人選手も結果を出して…ということになれば大岩の立ち位置も決して安泰ではないかもしれませんから、今期も頑張ってほしいですね。