荒田は岡山に完全移籍が決定

荒田智之選手の期限付移籍終了について(ジェフ公式サイト)
荒田智之選手完全移籍加入のお知らせ(岡山公式サイト)


 昨シーズン、磐田からジェフにレンタル移籍していた荒田ですが、ジェフでの契約延長はなしということに。
 磐田から岡山に、完全移籍で加入することになったそうです。


 荒田は非常に相手DFの裏を取るのがうまいFWで、今期も公式戦通算で22試合に出場し6ゴールをあげていました。
 裏を取る動きに鋭さがあり、そこからポイントでボールに合わせられるタイプのストライカーで、積極的にゴールを狙う動きに魅力がある選手だと思います。
 また、単純に裏を取る動きだけに集中するタイプではなく、運動量もあってフィジカルも強く、守備やポストプレーなどでも貢献できるFWです。



 しかし、ドリブルの精度などが高いわけではないですから、単独で突破ができるようなタイプではなく、ボールを受けてもシンプルに回して周りの選手に生かしてもらうタイプのFWで。
 昨シーズンの木山監督はそういったシンプルなプレーを選択する選手が好きな監督でしたから合っていたと思うのですけど、鈴木監督がどうか…というのはわからないですしね。


 まぁ、その木山監督もレギュラー選手としては起用していなかったわけですが。
 荒田よりポストプレーが得意な藤田を1トップとした4-5-1にこだわっていた印象で、それによってカウンターサッカーよりもパスをつなぐサッカーを目指したということなのでしょう。
 結局はそこが木山監督の理想だったわけで、理想を貫くこと自体は悪いことではないと思いますが、そこまでして拘ったにもかかわらず、パスで崩すレベルまでは作れなかったことが大きな問題だったというか、限界を感じたところでもありました。
 水戸時代もカウンターサッカーだったわけですし、シーズン途中にパスサッカーがうまくいかず一時的に移行したカウンターサッカーのほうが、可能性は強く感じたような気がしたのですが…。



 荒田に関しては良い選手ではあると思いますが、決して幅の広いタイプではないというか器用なタイプではないため、例えば代表の岡崎のようにサイドで使えるほどの柔軟性はなく、使うなら前線でプレーさせるしかない選手だと思います。
 しかし、1トップならより適した選手がいるとも考えられるでしょうし、ポストプレーを任されても真面目にやれる選手ではありましたが、その分本来の持ち味である裏への抜け出しは出来なくなってくるというジレンマも感じました。
 このあたりがジェフが契約延長を見送った理由であるのかもしれませんね。
 もちろん、予算などに限りがなければ延長する可能性もあったのかもしれませんけど、しっかりと現実も見ながら選択をしていかなければいけないわけですし。


 ですから、荒田をうまく活かしてあげるのなら、2トップにしてもう1人にポストを任せる形が理想なるのかなと。
 ただし、4-4-2にしてポストプレーヤー+荒田となると、その分中盤は薄くなってしまうわけで(荒田も中盤に降りていってパスワークを構成できるタイプではないですから)、そこが難しいところではあるように思います。
 少し前には新居などにも感じましたが、このあたりがセンスはあっても不器用な(どんどん裏を狙って点を取りに行く)セカンドストライカーの難しさでもあるのでしょうね。
 まぁ、荒田は新居ほど裏への飛び出し一本だけでプレーしているわけではないと思いますし、目指すべきは寿人のようなタイプなのかもしれませんが。


 その流れで3バックが復権し始めているという話も、出来なくはないのかなぁとも思わなくもありません。
 実際には3バックでも3-5-2の2トップではなく1トップ2シャドーの3-6-1が多いのかもしれませんが、"前線の人数"と"中盤の厚み"のジレンマをどう補い合うかという話の中で。
 もちろんその分サイドの守備の問題だとかもあるでしょうし、バルセロナが成功したのでそれを参考にして…という指導者も少なくはなかったりするのかもしれませんが。
 岡山も昨年は川又を1トップで起用した3-6-1がメインでしたね。



 個人的にはもう少しジェフで見たかった選手ではあります。
 しかし、兵藤もですけど荒田も水戸時代の恩師である木山監督に声をかけられる形でのレンタル移籍でしたし、そういう意味では妥当な流れではあると思います。
 荒田としてはジェフでもレギュラー獲得とまではいきませんでしたし、岡山でレギュラーを獲得して活躍したいという思いも強いのではないでしょうか。
 その思いが完全移籍という形にも表れているのかなと。
 岡山は川又が新潟に復帰してしまいましたしね。


 基本的にはスーパーサブでというよりも、長い時間前線で走り回って勝負する選手だと思いますし、スタメンにこだわるべきタイプの選手ではないかと思います。
 そういう意味でも移籍したいという気持ちはわからなくもありませんし、来期はライバルとなってはしましますが、新天地で頑張ってほしいと思います。