J1昇格にもがく伝統ある2チームの対戦
試合前日の土曜日から一気に気温が下がり、ようやく秋らしくなってきました。
ジェフ対東京V戦が行われた日曜日は雨も降って、肌寒さを感じるような気温に。
気温が落ち着くことで、主力選手にベテランの多いジェフにとって、体力面で追い風になるといいんですけどね…。
まぁ、また今週から暑くなるなんて予報もありますが。
■谷澤のアシスト、中後のゴール
ジェフは負傷明けの山口智と岡本が復帰。
FWは荒田と深井の2トップにしましたが、それ以外のメンバーは前節と同じでしたね。
2試合連続で前半早々に失点しているジェフは、この試合ではかなり集中して試合に入っていった印象でした。
特に守備に関しては、相手ボールをサイドに追いやって、素早く人数をかけてサイドの選手だけでなくボランチの選手も含めてプレスに行く感じで。
東京Vは監督が変わってからサイドチェンジのパスが増えているということで、サイドチェンジさせる前にサイドで潰そうということだったのかなぁとも思います。
攻撃においてはサイドの裏を積極的に狙っていき、縦に仕掛けてクロスという展開。
チーム状況が悪い中で、シンプルに攻めようという考えなのかもしれませんね。
しかし、前半15分あたりから徐々にジェフの前からのプレスがなくなってしまって、相手のパス回しをうまくサイドに追い込むことができず、サイドでの数的優位を作りにくくなっていきました。
そうなってくると相手のサイドチェンジも増えていき、中央を使われる時間帯も出てきてしまって。
いつも通り、DFラインとMFラインが低くなって、その前を使われてしまう時間帯が増えていきます。
前半25分には飯尾のミドルシュートから岡本がはじいたところを和田がつめ、決定的なシーンを作られてしまいます。
しかし、その直後の前半26分。
谷澤がサイドで相手選手をするっと抜くと、荒田に正確なクロスを上げて、ゴールを演出。
流れはあまり良くなかったと思うのですが、そこは空気を読まない谷澤というか…(笑)
それまでのプレーでも動きにキレがあったように思いますし、ここ数試合プレーに重さを感じた谷澤でしたが、この日は"良い谷澤"だったのかなと思います。
その後、試合は落ち着きますが、ボールを支配する東京Vがジリジリと攻め込んできます。
それに対してジェフはDFラインは高さを一定に保ち、CB付近中央にSBやボランチが集中し、人数を固めて守る展開。
人数をかけることによって相手にスペースを与えず、何とか守っている感じでしたが後半43分。
CKからのクリアボールを左サイドで受けた東京V中後が、そのまま見事なミドルシュートを放って同点に。
このシーン、まず荒田のクリアが中途半端だったのがまず失敗だったと思います。
それに加えて、ジェフの守備というのは先ほども言った通り、基本的に中央後方に人数を固めて守る守備で。
相手がポゼッションしている状況ならラインをコントロールすることで、ボールを持たれてもぎりぎりミドルシュートを打たれても大丈夫な位置のところまでスペースを制御することがでるという守り方だと思います。(まぁ、そこのスペースを潰せきれずに崩されることもありますけど)
しかし、CKでも中央後ろに守る意識が強いため、ポジショニングも含めてその前のスペースへの警戒が浅く、このシーンでは中後のところへの対応も難しくなってしまったのかなと思います。
■ロスタイムに失点し引き分け
後半、山口智に代わって大岩を起用。
ジェフは引いて守って、サイドでカウンター。
東京Vはポゼッションから高い位置まで持ち込み、スルーパスで崩していく流れ。
ジェフはここ数試合、守備の不安もあるのか、カウンター時に人数をかけることができないシーンが目立ちます。
しかし、荒田のクロスに合わせる動きが非常にうまく、相手の守備から消えてから入っていくことで、良いボールさえ入れば…と感じる動きを何度か見せてくれます。
また、荒田はポストに入るタイミングも良く、後半10分にはカウンターから左サイド低い位置でワンタッチでボールを返し、右サイドに展開して、最後はゴール前に飛び出していって惜しいシーンを作ります。
シーズン前半は苦しんでいた荒田ですけど、それだけ今はコンディションも良くプレーできているんだろうなぁと思います。
試合の方は一進一退。
どちらも運動量が落ちてきて、守備でのマークの軽さやチェックの遅さなど、動きの重さを感じる部分も。
それもあってか、比較的接触プレーの多いガツガツとした展開になっていきます。
そんな中で均衡を破ったのは、またも谷澤と荒田。
ゴール前右寄りの位置で、後ろからボールを受けた荒田は、そのまま反転して縦へ突破。
そのままグラウンダーのクロスを出して、逆サイドの谷澤が受けてゴール。
攻めていてもなかなかシュートまで持ち込めなかったジェフですが、これで2-1とします。
このままいけるかと思った後半ロスタイムでしたが、東京V阿部がクロスボールを頭で中盤の選手に落とし、"ジェフのCB集団"の前からボールを浮かせたスルーパスを出されて、裏を飛び出した阿部がうまくトラップして同点ゴール。
中央後方に守るジェフの守備ですが、それまでの時間帯も相手の中盤を高い位置でフリーにさせ、そこからスルーパスを出される危ないシーンを作られていました。
それでもゴール前のスペースを消すことで何とか凌いでいましたが、このシーンは疲れもあって選手も戻れなかったこともあって、ついに崩壊てしまったという感じだったかなぁと。
■J1昇格にもがく伝統ある2チームの対戦
ともにJ1昇格にもがく伝統ある2チームの対戦でしたが、ここ数年J2でのこのカードは比較的消耗戦というか、厳しい接戦になることが多い印象ですね。
内容に関してはそこまでレベルの高いものではないと思いますが、それでも同レベルの争いだから面白く感じる試合になるというか…。
本当の意味でのJ1昇格のライバルと言えるのかもしれませんね。
両チーム、毎年ギリギリで上がれるか上がれないかという位置にいますし。
ジェフの試合内容は過去2試合と比較すれば、そこまで悪くなかったとは思います。
選手たちも集中して気持ちのこもった試合をしていたとは思います。
ここまで集中できたのも、ここ2試合負けてしまったショックというのもあったのかもしれませんが、J1昇格に向けてのライバルチームとの対戦だったという意味合いもあったのかもしれません。
守備に関しては、「以前より良くなった」というよりは「元に戻った」感じだったと思います。
相変わらずゴール前で"CB集団"が凌ぐ守備で、2ゴールはその前からやられてしまった印象で。
個人的にはそこを解決しないと今後も失点が減ることはないように思うのですが、この時期では大きなメスを入れることも難しいという感じなのかもしれません。
一方、攻撃に関しては、今まで以上にサイドの裏を突く攻撃をシンプルに狙ってきた印象です。
このあたりは相手チームのスカウティングの結果だったのかもしれませんが、シンプルな攻撃となった分やりやく、『勢い』という面でも乗っていきやすいところもあったのかもしれません。
それに加えてこの試合では、谷澤と荒田が好調だったことも大きいと思います。
これまでは1人の選手が好調でもそれ以外の選手が出てこなかったりして、その選手だけに頼ってしまう結果攻撃に厚みができませんでしたが、この試合では2人の選手が可能性を感じるプレーを見せてくれたというのが大きかったのではないでしょうか。
東京Vも比較的主軸選手たちの年齢層は高いせいか、あまりコンディションは良くなかったのかなぁとは思います。
特に守備での甘さがある感じで、ジェフのほうもそうでしたけど、まだ昇格できるレベルのチームになるにはもう一歩足りないのかなぁと。
ジェフのほうも後半終了間際に失点はいただけません。
その前にボールを保持した時にもっとうまく時間を使って消費すれば、あんなことにはならず勝ち点3を奪えたはずだと思うのですが。
そこがチームの甘さというか、勝者のメンタリティの欠如ということでしょうか。
この試合の裏では首位を独走する甲府が北九州相手に、後半終盤に同点に追いつき、ロスタイムに勝ち越したそうで。
そういった勝負へのこだわりや勝ち方を甲府以外のどこのチームが手にするかが、昇格争いにおいて一番重要になってくるのかもしれません。
ジェフはその点で、まだまだ『甘い』ですね。