日本代表、イラク代表相手に1-0で勝利

 W杯アジア最終予選日本代表対イラク代表戦。
 テレビ朝日では試合前からイラク代表のジーコ監督をプッシュ。
 日本代表時代の監督として緩いイメージの残るジーコ監督とテレビ朝日の代表中継との絶妙なまでの相性の良さを、一度離れて"再会"した今になって改めて感じてしまったりして…。
 まぁ、その頃に現在のテレビ朝日の代表中継基準が出来たから、というのもあるのかもしれませんが。



 日本代表はスタメンのCBに伊野波、CFには前田。
 そして、香川は体調不良で欠場となり、右に岡崎、左に清武といった布陣になりました。
 伊野波に関してはこれまでの試合で水本のほうが落ち着いてプレーできていた印象もあったのですが、序列的な意味で伊野波スタメンなのかなぁとは思っていました。
 伊野波はこれまでも、なかなかこのチームで連携面の問題で周りとうまくサポートしあえない印象がありましたけど、それでも選出し続けていましたしね。
 一方の香川はUAE戦でもイマイチな動きだったので、ここでお休みはよかったのかもしれませんね。
 主に精神的な意味で?


 前半から日本は様子見だったのか、選手1人1人の運動量が少なめでなかなか波に乗れなかったかなと。
 一方のイラクは、明確に日本のストロングポイントを潰しにかかってきましたね。
 イラクが攻め込んだ後に日本が低い位置でボールを保持しているときは前にプレスをかけてきましたが、日本がそのプレスをかいくぐるとかなり守備的な守り方をしてきました。
 後方に人数を固めながら、遠藤、本田にはマンマークをつけて対応。


 現実的で賢い方法だとは思いますが、なんとなくジーコ監督らしい対応だなぁと思ってしまいました(笑)
 イラクは思ったよりもいいチームではありましたけど(といってもイラク代表自体は実績もあり、下に見ていい相手ではないですが)、どうしても完全に受け身から入るところがあるというか、その場しのぎで未来への期待が薄いような感じがどこかに感じられるというか。
 「ブラジル代表が絶対」という意識があるから、ブラジル代表監督をやるまでは心のどこかで必ず受け身になってしまうところがあったりするんでしょうか。


 初めはよかったイラクですけど、やはり遠藤、本田へのマンマークだけでなく全体的に人に付く意識の強い守備だけでは日本の選手たちに付いていけず、日本選手のフリーランに混乱させられるようになり、高い位置まで日本がボールを持ち込むと単純にゴール前に人数をかけて守るだけになってしまう状況に。
 しかし、一方で攻撃に関してはそれなりにキレもあり、特にCKからの攻撃は怖かった…というか、日本の守備に不安が見られましたね。
 これまでも日本代表の守備は課題を感じる部分があり、この試合では特にDFラインを積極的にあげることで修正を図っていた印象があるのですが、個人的にはこのチームの守備の課題はその前に中盤でスペースを消せないこと、そして後方で粘り強く守れないケースがあることのように思うのですが…。
 それに加えてこの日はセットプレー時の守備も問題でしたね。
 相手のキッカーが鋭いボールを蹴っていたとはいえ、スカッと穴ができることが多かったと思います。
 このあたりの課題は、今後修正されるのかどうか。



 後半からはイラクの守備のバランスが修正されてきて、日本の方の攻撃も1点先制しているメンタル的な部分もあるのか、攻撃が単調になっていった部分があったように思います。
 なかなか得点の奪えない中、可能性を感じたのはやはり本田だったかなと。
 後半の途中までほぼFWの位置と思えるポジションで、積極的にゴールを狙う本田には悔しいながらも頼もしさを感じてしまいました(笑)
 本田にとってはなかなか得点を奪えないもどかしい展開で、W杯予選という"本番"だからこそ、燃える物もあったのではないかと。
 こういう時の本田と言うのはやはり周りとはワンランク別の選手に見えてしまって、そういうむらっ気のある選手は正直あまり好きではないのだけれど、窮地においてチームを引っ張っていくときの本田を見るとやはり認めざるを得ない能力がある。


 ただ、本田が前にいく分、トップ下の位置は秋中央高い位置からのチャンスメイクにおいては物足りなさも感じて。
 サイドからもチャンスが作れていたとはいえ、それだけでは…という部分もあったのではないかと思います。
 そこで、ウイングが中に入って行くのか、それとも本田をFWにしてトップ下に誰か(今でいえば香川や清武?)を入れていくのか。
 この日ゴールを決めた前田の周りを活かすプレーも、2列目に個性がそろう状況なだけに置いておきたい選手な気もしますし、悩ましいところですね。


 試合ではトップ下から前へのボール運びに不足分を感じたのか、終盤にまた本田が下がってきた印象がありましたが、選手の自発的な形で行われた2トップ気味の選択だったのか、トップ下本田がいなくなった後の形というのが曖昧だったような気がします。
 ただ、本田、前田の2トップ気味の布陣は十分可能性も感じましたし、若干停滞感を感じていたチーム作りにおいて、新たな風となる可能性もあるのではないでしょうか。
 ともかくイラクに勝ってW杯に一歩前進。
 ただ、既に日本代表の目標はW杯出場だけではないはずで、ちーむとしてより進化していけるかどうかが気になりますね。