ハーフナーの起用と中盤の守備

 日本代表のスタメンは出場停止の今野に代わり伊野波が入り、1トップにはハーフナー。
 SBは内田が出場停止、長友がコンディション不良ということで、左に駒野、右に酒井宏樹が入りました。
 現状だとこれしかないのかなとも思いますね。
 そして、右ウイングには清武が選ばれました。


 前半の日本代表は左からの攻撃に偏っていた印象で。
 左の香川に加えて、トップ下から本田、ボランチの遠藤が左に寄ってパスをつないで行って、ゲームメイク。
 そこからチャンスを作って、他の選手が飛び出す…という形なら良いというか、いつも通りだと思うのですが、この試合スタメンの右ウイングは清武。
 岡崎ほどどんどん前に出ていくタイプではなく、ハーフナーも運動量豊富に動き回る選手ではないですし、チャンスは作っても中での動きが足りない印象を強く感じました。


 前半の途中からは清武、香川などが中盤の位置で中に絞って、トップ下の位置を厚くし、そこからパスワークをつないでいく形が増えていきました。
 ただ、ポストでうまく入って落とすのなら前田であって、うまくそのパスワークにハーフナーが絡むというプレーは少なくチグハグナ印象もあったように思います。



 後半スタートからメンバー交代で、伊野波に代わって水本、長谷部に代わって細貝、香川に代わって岡崎が入りました。
 清武がパスワークに絡んで、岡崎が飛び込む形になったことで、バランスは改善されたのかなと思います。
 このあたりの2列目のバランスが岡崎に代わって清武だと心配だったので、昨日のブログで清武に関しては将来的に期待しているという話をしたわけですが…。
 本田、香川を外す勇気はなかなかないでしょうし。


 ただ、その後もなかなか攻め込んでも得点は奪えず。
 後半14分には本田に変えて憲剛を起用。
 これが良い交代だったかもしれませんね。
 本田をトップ下で起用するとそこでポイントを作り、そこを軸としてチーム全体を形成するような形になりますが、憲剛をトップ下に置くとそこからサイドなどにも素早くパスを散らす展開になるわけで。
 前半からハーフナーを起用しての地上戦での中央突破には違和感を覚えていたところがありますし、憲剛のようにシンプルにパスを展開してそこからクロスというのが正解なのかもしれませんね。
 そして、後半24分に憲剛からのパスを受けた駒野が素晴らしいクロスを上げて、ハーフナーが打点の高いヘディングで先制します。
 そのまま1-0で終了ということになりました。



 多くの選手が入れ替わったこの試合ですが、テストと言うよりは海外組をフルで使いたくないというところもあったのかなぁと思います。
 マンチェスター・Uのファーガソン監督も代表活動による香川にかかる影響を気にしていたようですし、ここは穏便にと言うところでしょうか。
 その中でもハーフナーや水本あたりは、テスト的な意味合いも強かったのかもしれませんが。


 ハーフナーを活かすならやはり攻撃はサイドからなのでしょうけど、ここ数試合中央もうまく使いつつの攻撃パターンが成功しており、前田の周りを活かす動きや囮になる動きが地味でも効いていたと思うので、ここにきてのスタメン変更は意外でもありました。
 イタリアの監督らしく、本来はFWに高さや得点力などを期待したいという欲があるのでしょうか。
 ただそれにしては、どうやって生かしたいのか具体的なところが見えにくい前半だったかなと思いますし、本田や遠藤などを有してサイドからのクロス攻撃を狙うという形が正しいのかどうか。
 イラク対策だったりするのかもしれませんけど、疑問も残る選択かなと思います。



 それでも現在の日本代表の戦力ならやれてしまうのでしょうが、心配なのは守備の方なのかもしれません。
 相手がUAEで前掛かりになりがちというところもあるのかもしれませけど、MFラインを簡単に掻い潜られ、DFライン付近で攻撃を受けることが多かったですね。
 これはこの試合に限らずみられる傾向で、やはりザッケローニ監督就任当初のDFラインとMFラインで前後左右の選手同士で挟み込む守備と言うのは影をひそめてしまっている印象です。


 前半は特に左サイドからピンチを作られることが多く、駒野の対応も良くなかったシーンもありましたが、香川やポジションチェンジしてきた本田の寄せなどが遅く、そこからやられることも珍しくなかった印象です。
 香川のサイドでの守備はこれまでも若干あやしい印象がありましたし、もしかしたら攻撃面ではなく守備面で変えられてしまう可能性…は、さすがに先ほども話した"勇気"の問題でないかもしれませんが(笑)
 それでも左サイドが守備の穴になりがちであり、相手に狙われる可能性は十分あるのではないかと思います。
 香川も守備ができない選手ではないはずですし、しっかりとした組織付と周囲との連携をもう一度確認することが重要ではないでしょうか。


 UAEのコンディションが良かったようには思えませんでしたし、1-0という結果も含めてあまり良い内容ではなかったと思います。
 とはいえ、メンバーも多く入れ方試合であり、本番はあくまでも来週のイラク代表戦。
 その試合でよいサッカーを見せてほしいところです。



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