ベネズエラ代表戦は1-1の引き分け

 オリンピック直後で、次のW杯予選までは時間があるということで、世間的にはちょっとわかりにくい立ち位置のキリンチャレンジカップだったのかもしれませんね。
 スケジュールを見ると西欧リーグの開幕前で、この日しか招集できなかったのかもしれませんが。
 まぁ、オリンピックで日本男子代表が結果を残せていなければ、この試合にかかるものも大きかったのかもしれませんけどね。
 男子サッカーの悪い空気を払拭するという点において。




 さて試合。
 前半は中盤でトップ下の本田がポストを受け、サイドでパスをつないで行って、中央の遠藤が高い位置で前を向く形が作れていました。
 そこから遠藤の素晴らしいパスでチャンスを作る…だけではなく、今回はゴールも狙っていく。
 得点シーンも右SBの駒野の素晴らしい突破から、遠藤が足元で合わせてゴール。
 その後も中盤からの決定的なラストパスだけでなく、ゴール前への飛び出しも見せ素晴らしいプレーを披露してくれました。


 押し込む時間帯が多かった日本代表ですが、前半から守備のほうは危うさの感じる展開で。
 まず、中盤でボールを失うシーンが多かったですね。
 日本の攻撃は4-5-1で裏を狙うタイプの選手も少なく、中盤でボールをつなぐ意識が高いうえに、中盤の位置で日本の選手が密集していた分、パスコースも逆になくなる状況になってしまっていたのかなと。
 また、ボールを奪われた後の中盤の選手の戻りも遅く、スタメンだった伊野波の粘りもこの試合ではもう1つで、危ないシーンが幾度か作られていました。


 攻撃の方も中盤でボールをつなぐだけにいなっていき、徐々に高い位置にボールを運べなくなっていったかなと。
 FWは前田1人で前田は本田などの上がりのスペースを開けるべく動いていましたが、チーム全体おいてゴール前の迫力においてもう1つだったところがあったのかなと。
 前田自身の動きというのは悪くなかったと思うのですが、ゴールに向かってどう他の選手も飛び出していくのか、中盤で受ける選手と出ていく選手のバランスというのが、もう1つだったのかなぁと。



 後半はそのあたりのバランス修正の意味合いもあってか、よりシンプルにサイドを使っていった印象です。
 前半からサイドを使ってはいましたが、よりサイドを縦に狙ってチャンスメイクしていく形に代わっていったのかなと。
 ただ、遠藤の動きも徐々に落ち始め、サイドは崩せるもののスペースの消された中央は決めきれず…といった展開になっていきます。


 一方、日本の守備に関しては、よりベネズエラ代表が前に出てきた印象で、逆に日本のほうは運動量が落ちていったのかなと。
 どちらがホームなのかわからないようなコンディションでしたが…(笑)
 それに対して、相変わらず日本の選手たちの戻りと、寄せが甘く、ボールを奪われた後のカウンターでピンチを作られていました。


 そして、後半17分。
 日本の左サイドでボールを奪われたところから、そのまま縦に突破されて同点。
 その前から、日本の左サイドは狙われていた印象もあります。
 日本の左サイドに人数をかけると、簡単に数的優位を作れ、香川と長友の守備の連係ももう1つでチャンスを作れてしまう。
 基本的には動けていない問題というのが大きかったのでしょうが、気になるのはカウンターの受けた時の守備ですね。
 遅らせるのか奪いに行くのかの判断もそうですが、カウンターの時にスペースを潰すのか、人についていくのか、そのあたりも迷っている部分があるのかな?と感じました。


 ザッケローニ監督になってから当初は守備を形成していったチームですけど、強固な守備というのは初めの半年くらいで、徐々に守備組織というのが何をしたいのかというのが曖昧になっている印象があります。
 攻撃に関してはそれなりのタレントもいますから、そこでやっていければというのはあるのでしょうけどね。
 ただ、周りを活かす前田、トップ下で受けながら前も狙う本田、頑張る岡崎、後方の司令塔遠藤…ときっちり型にはまり、他に代わりの選手もいないだけに、主力がけがをしたらどうするのか…はもちろんのこと、これ以上の伸び代が期待できるのか?という疑問もなくはないですが。
 6月のW杯予選、オマーン戦、ヨルダン戦あたりがピークだった…ということにならなければいいのですけどね。



 引き分けてはしまいましたけど、「このチームはコンディションが良く本気で戦えばもっと行けるだろう」といった感じなのが、すごいチームになったというか、逆に怖いというか。
 とりあえずは、先ほど言った6月のW杯予選のレベルまで戻せればいいわけですしね。
 あまり選手を試した印象もないですし(伊野波、水本くらい)、蓋を開けてもやっぱりあまり印象に残らない試合だったのかなぁと思います。
 まぁ、個人的には水本を見れたので、そういった収穫はありましたが。
 伊野波、水本がこの試合の経験を活かして、9月11日のW杯予選イラク戦でよいプレーができるかどうかが、この試合の価値に繋がっていくということでしょうか…。