自分たちの強みはどこか

 帰省していた関係で、日曜日にフクアリにも行けず、スカパー!で生観戦も出来ず、遅れての録画視聴となりました。
 しかし、試合をチェックする前にtwitterなどは見てしまったもので、あまりいい結果ではなかったんだろうな、というのは事前にわかってしまったのですが…(笑)
 以前からあった問題が表に出てきた感じだとは思いますけど、悪い方向にはまってきた感じになっているんでしょうか。
■サイドに追いやる町田の守備
 ジェフは栃木戦からスタメンを変えて、ロボに変えて藤田、深井に代えて米倉と前線を変更。
 栃木戦では無失点だったということで、切り替えてきたということなんでしょうか。
 そして、右SBも大岩ではなく、浦和からレンタルで加入した高橋峻希を起用。
 これまでも相手が格下と思われる相手には、守備のできる佐藤健太郎ではなくいパサーである伊藤を起用するなど、木山監督は相手を見て変えてくる傾向がありますので、高橋も最下位の町田相手に攻撃面を期待してということだったんでしょうか。



 対戦相手の町田は、前回のジェフとの試合で1-6で大敗。
 しかし、その反省もあってか、守備をしっかりとやってきました。
 中盤でも最終ラインでも、中から外にジェフの選手を追いかけて、ボールをサイドに追いやるイメージ。
 例えば最終ラインでもあえて若干中央よりにポジショニングをして、パスを外に出させておいて素早くチェックを仕掛けるなど、ジェフのボールを外へ外へと向かせる策を取ってきました。


 狭いエリアに追い込まれてしまうジェフは、そこからの打開策をなかなか見いだせなかったですね。
 そこから縦への仕掛けや、オフザボールでの抜け出し、逆サイドへの展開などが作れず、数的不利なサイドでボールを奪われる場面が非常に多い流れになってしまいました。
 もともと、どのエリアでも「3人、4人が狭いエリアで絡んで打開する」というパターンや、「サイドチェンジを有効に使う」ことができておらず、縦に速い攻撃がメインのチームでしたから、こうやってサイドに追いやられると辛くなってしまうということでしょうか。


 ボール保持者がサイド脇に追いやられている分、ラストパスを出せてもその距離が非常に長くなってしまい、どうしても正確性を欠くことが多かったですね。
 町田のほうは3バックで、簡単に1対1の局面を作らなかった…という点も守備が成功した部分が大きかったのではないでしょうか。
 FWの打開力に頼るジェフは、1人余る3バックに苦労していた試合が何度かありましたし、今回もそれに近いパターンだったように思います。
■サイドからの守備で失点
 一方、町田の攻撃は前回同様、グラウンダーのパスをつないでいくのが基本。
 それに対してジェフの守備はなかなかプレスにも行けず、選手が囲んでも前を向かれて間を通される場面が目立っていました。
 守備で数的優位を作ってチェックに行く選手とパスコースを消す選手で組織的に守れていた町田とは、対照的なディフェンスとなってしまいました。


 引いて守るもののスペースが多くできていたジェフに対して、前半途中から町田がパスをつないでいってチャンスを作る時間帯が増えていきます。
 そして、後半5分、町田の攻撃。
 中央のコリン・マーシャルが町田から見て右から左にサイドチェンジをすると、そこから逆サイドへグラウンダーのクロス。
 平本がこれを受けて、最後はドラガン・ディミッチが先制ゴールをあげます。


 全体的に良くない動きだったので、1人をどうのというのはあれですが、対面する相手がサイドチェンジを受けた後に高橋がずるずると下がって受けてしまったのは、ちょっと残念だったかなぁと思います。
 町田による中央からのパスワークで、ジェフの右サイドが空いてしまったのはここだけではないですし、その後も高橋の前でポイントを作られ、逆に前半には対面の選手を中に入れてしまって、そこからピンチを作られる場面もありました。


 まぁ、まだ1試合目ですから、すべてをこの試合で判断できるものではないですが、やはりSBとしての守備はまだまだ学ぶべきところがあるのかなぁと思います。
 加えて、ジェフの現状を考えると右SBの守備というのは、難しいところがあると思うのですよね…。
 基本的にジェフの守備は、ボランチやSBがギュッとCB付近によって守る傾向にあるわけで。


 特に右SBはCBに寄って中央をサポートする意識が強く、そこからサイドに出ていかなければならないため、大岩ですらも守備で後手に回って狙われることが多かった。
 高橋は守備の選手ではないと思いますし、だからこそ前目で使うのかなと思っていたのですが、SBで起用することでより攻撃的な選手を増やそうという意図だったのでしょうか。
 このあたりの守備の課題に関しては、誰を使うかに限らず、改善しなければいけないところではないかと思います。



 なかなか攻め手の作れないジェフは、後半16分に深井とロボを同時投入。
 前節はスタメンだった2人ですが、得点力を期待されての投入ということなんでしょうか。


 このあたりから徐々に町田の選手にも疲れが見え、それまでなかなか入っていけなかった中盤中央のエリアにもボールが入れられるようになってきました。
 しかし、町田の3バックは最後までしっかりと集中。
 基本的に「FWに前を向かせて点を取る」攻撃で、そこまで打開力のあるストライカーもいませんから、相手CBがミスをしてジェフのFWを外さない限りは得点は難しいという状況があると思います。
 それが3バックになるとカバーとチェックでより強固になって、ジェフのFWは中に入っていけなくなるということですね。
■周囲のチームとの差、強み
 試合はそのまま0-1で終了と、非常に残念な結果になってしましました。
 まずコンディションに関しては、町田のほうが多少良かったのかな?とは思います。
 ただ、それを言い訳にしてはいけないですね…。
 ホームでの試合ですし、スタメンも何人か入れ替えての状況ですから、コンディションの悪さも含めて今のジェフだと思いますし。
 逆に言えば本当に強いチームというのは、多少コンディションが悪くても勝つ術を知っているというか、コンディションが悪い時にどれだけ良いプレーができるかが強い選手、強いチームなのだと思いますし。


 それと戦術面ですよね…。
 やはり守備の堅いチームには点が取れない。
 やっているサッカーは、ロンドンオリンピックの男子日本五輪代表と近い部分があると思います。
 守備を固めて、ドリブルではなくショートパスも絡めたカウンターを狙う…と。
 OAに山口智を呼んで(笑)


 それは日本人に合ったサッカーではあるとは思いますが、日本五輪代表が韓国戦では苦しんだ理由と同じような理由でジェフも苦戦している気がします。
 要するに、切り替えだとかスピード、組織的な守備など、世界相手に『自分たちの差』を活かしたサッカーができる。
 しかし、これが自分たちと似たようなチーム相手だと、『自分たちの差』は少ないわけですから、そこを活かしたサッカーをしたとしても、大きな強みとはならずに終わってしまいます。
 普通の日本のサッカー。
 現状だと、それ以上でもそれ以外でもない…というか。



 だから、そこ以外の強みを作っていけないと、同じようなチームの多い国内ではなかなか勝っていけないということではないでしょうか。
 攻撃の課題はもちろんですが、守備に関しても完ぺきではないですし、例え強固な守備が出来たとしてもそれだけでは引き分けにはできても、勝ちきれない…。
 それでは昇格争いをする上で、どうしても抜けていけないと思います。
 ということで、特に攻撃において、周囲のチームとの差、強みを作っていきたいところで、そこができていないことが苦戦の大きな原因なのではないか…と思います。