"レギュラー"だったミリガンの退団
マーク・ミリガン選手の契約終了について(ジェフ公式サイト)
Victory moves on Mark Milligan(Telegraph)
Milligan headed back to Melbourne(SBS)
すでにジェフの公式サイトでも発表されたように、ミリガンが移籍することとなりました。
オーストラリア国内の記事によると、移籍先は今年初めにジェフからレンタルで移籍していたメルボルン・ビクトリーで、ジェフとの契約は残っているもののジェフがリリースしフリーエージェントで獲得することを望んでいるというような内容が書かれています。
だから、ジェフの発表にある『契約満了』という形なのかな?とも思いますし、順序もまずはジェフが契約を終了して移籍発表…という流れになったのもそのためでしょうか。
もちろん移籍ウインドウなども絡んではいるのでしょうが。
しかし、半年とはいえ契約は残っていたはずで、移籍金を確保できる可能性はあったとは思います。
けれども、半年分の契約しか残っていないため、移籍金も少額にしかならないことで、ジェフが譲ってしまったという形なんでしょうか。
木山監督に変わってミリガンが戦力になるかどうかわからないと悩み、躊躇って契約を延長しておかなかったことが敗因…というのことなんでしょうか。
けれども、フロントにはミリガンの実力はわかっていたはずで、早い段階でそこで見極めてほしかったところですが。
まぁ、レンタル移籍をした時点で、戦力とは考えていなかったのかもしれませんけどね。
しかし、実際にジェフに復帰してからは、ミリガンを戦力として使わざるを得ないような状況だったわけですが‥。
ミリガンとしては、メルボルン・ビクトリーへの移籍のほうが望ましかったのかもしれません。
今年初旬にレンタル移籍し、いきなりボランチでレギュラーを獲得。
それによってオーストラリア代表にも復帰できましたし、幼いお子さんとも母国で生活できるはず。
サラリーキャップのあるAリーグですから、記事中にもあるように年俸は下がるのでしょうけど、それよりも選手としての出場機会を希望したということなのかもしれません。
一方のジェフにとっては、大きな痛手だと思います。
2010年からジェフに加入したミリガンは、2年間けがさえなければレギュラーとして活躍。
しかし、今期は山口智の加入もあってCBでは起用されなくなっていました。
CB竹内のプレーも安定しており、当初はレンタルで復帰してもCB3番手で出場機会は少ないものかと予想する方が多かったですが、加入直後の試合や代表への参加、移籍が決まっていたため欠場したのではないかと思われる先日の熊本戦などを考えると、実質12試合程度しか出場のチャンスがなく、そのうち9試合に出場、7試合に先発し2ゴールをあげるなど、十分に戦力として機能していました。
確固たるポジションを獲得していたとはいいにくいですが、SB、ボランチ、(今期はプレー機会がなかったものの)CBと、複数のポジションであれほど一定のクォリティでプレーできる選手というのはかなり貴重だと思います。
これからミリガンのような選手を補強するというのは、冬のオフであろうと極めて困難な部分があるのではないでしょうか。
細かくポジションを見ていくと、CBとしては確かに裏への一歩への出足や対応が遅れた時にファールで止めてしまう課題などはありましたけど、スピードだけでなく高さも足元もあるCBだったと思います。
スピードある選手なゆえに、DFラインを高く保てるというメリットもあり、それが明確に出たのが昨年FC東京戦の第一戦目。
怪我から復帰し途中出場でミリガンが良太に代わって入った途端、一気にラインが上がり守備が安定していったのが目に見えてわかりました。
外国人選手で強さもあってスピードあるCBというのはなかなかいませんし、周りと連動してラインを保てるできる外国人CBとなるとさらに貴重な存在ではないかと思います。
例えば良太などはスピードがなく、あそこまでラインを保つのは難しいと思いますし、今後、夏場にかけて主力2人が疲労で苦しむ可能性や怪我、出場停止などを考えれば、CBとしてのミリガンも必要な選手だと思っていたのですが…。
ボランチとしてのミリガンはあまり多くの試合数は見られなかったですけど、外国人選手らしく自分でタメを作って打開しよいという意図を感じました。
日本人ボランチはともかくリズムが良くポンポンとパスを出せる選手が多いですが、外国人のボランチは周りを見極めてパスを出そうという選手が多い印象があります。
木山監督としては前車のほうが好みなのかもしれませんが、ビルドアップにアクセントをつける上では素直なパス出しだけでなく、こういったタメの要素も必要ではないかと思っていました。
精度の高いパスを出せる選手でしたし、守備や高さの面も含めて可能性を感じていたところなのですが…。
SBとしては、先日の湘南戦で大岩を差し置いてスタメンで起用されましたし、それほど木山監督の中でも高く評価されていたのではないかと思います。
スカパー!での説明もあったように木山監督は後方からのチャンスメイクなら、大岩よりもミリガンと考えていたようで、実際ビルドアップや守備面でも貢献できていたと思います。
積極的な攻撃参加がウリである大岩とはタイプが違いますが、大岩にはないグラウンダーのパスを持っており、SBとしての2番手の立場を確立していました。
その大岩も、ここにきて五輪本戦に帯同するようなコメントを残しています。
坂本はスピードやスタミナに課題があって、山口慶も攻撃面や一対一の守備はあまり期待できない中、ミリガンも放出…となると、どのように対処していくつもりなのでしょう…。
本当に勝っていくチームというのはスタメン11人だけでなく、12番目、13番目の選手も主力選手と同等の力を持っており、それらの選手も含めてチームとして戦っていくものだと思います。
実際のところここまでのミリガンの今期トータル出場時間は、勇人、伊藤、健太郎がポジションを争っているため、チーム内でも13番目の長さになっているようです。
後方の選手であることや、代表選出、レンタル期間があったことを考えれば、かなり長いプレー時間だと思います。
オシム監督もスーパーサブ的な選手に対して「レギュラーではないですが…」といった質問を投げかけられ、「いや、その選手もレギュラーだ」と答えていたように、スタメン=レギュラー選手ではなく、スタメン+数人の選手をレギュラー選手ととらえ、チーム作りを行っていました。
もちろん木山監督にはまた違った考えもあるのかもしれませんけど、それにしてもミリガンへの評価は見た目以上に高いものだったのではないかなぁと思います。
見方によっては、レギュラー選手とも言えなくもなかったミリガン。
怪我人や出場停止などによって、状況次第ではこの穴は非常に大きいものになるかもしれません。
補強するにしてもそう簡単にうめられるものではないように思いますし、他の選手の奮起とチーム力の向上でカバーしていくしかないですね。
京都戦で久々に山口慶が途中出場したのも、今後を見据えて…という部分があったたのでしょうか。
最後になりましたけど、オーストラリア代表選手だったにもかかわらず、J2のジェフを選んでくれてありがとうございました。
巻の最後の練習になったユナパで、巻とちょっとした接触があった後に、2人で握手を交わしていたのが印象的でした。
誤解されやすい性格だったのかもしれませんけど、コーチングなどはしっかりとしていましたし、サッカーに対しては真面目な選手だったと思います。
新天地での活躍、そして、サッカールーズとしての活躍を祈りたいと思います。
微妙な判定のせいで日本代表戦は残念な結果になってしまいましたけど、次こそは活躍して見せてほしいと思います。