米倉離脱の影響と深井とFW起用

米倉選手の負傷について(ジェフ公式サイト)


 ちばぎんカップの試合中に負傷した米倉は、左足腓骨骨折で全治約2ヵ月半と診断されたそうです。
 骨折の程度にもよりますが、腓骨は運動する上では重要な骨ですし、開幕前ということもあってショックは大きいですね…。
 早期復帰を期待するとともに、米倉へのメンタルのケアも重要ではないかなと思います。



 ちばぎんカップでの米倉は、攻撃面においてかなり効いていたと思います。
 ボランチを中心にパスをつないでいくビルドアップを目指す中で、米倉がFWの位置から下がってきて、伊藤が右SHから中に入ってきて、パスワークをサポートするというのがまずポイントだと思います。
 それに加えてCFWの藤田にあてて、中盤の選手が前を向くというのが攻撃パターンだったと思うのですが、米倉は若干中盤に下がってから藤田のボールを受ける役割をしていたことによって、ポジションのギャップが生まれて、相手が捉えにくい状況になっていたと。


 2トップにしてセカンドストライカーとSHにパスもつなげる選手を置いて、中盤を厚くしポストプレーから中盤に前を向かせてゴールに迫る…という形は、09年終盤に一時期江尻監督がやっていた戦術でもありますね。
 この時のCFWが巻で、セカンドストライカー役は谷澤で、アンカーに置かれた中後もこの時はうまく機能していたと思います。
 見ている限りではある程度の手応えも感じていましたし、この戦術で2010年も行くのかなぁとおもっていたら、まさかのバルサ風味で作り直しに近い状況になってしまったわけですが…。


 米倉も負傷前から徐々に疲れが出てきたのか失速しており(90分間やシーズンを通しての波があるのは米倉の大きな課題ですね)完璧ではなかったとはいえ、飛び出しのタイミングも良く可能性は強く感じました。
 それだけに、今回の怪我は非常に残念です。



 変わって深井が入ってからは、パスを散らす役割の兵働がボランチからポジションを変えてしまったことや、チーム全体の押し上げができなくなっていったこともあって、本来やりたいサッカーからは遠のいてしまった印象があります。
 深井がセカンドストライカー役になると、高い位置で受けたがるし、動きも直線になる分、どうしてもカウンターサッカーになりがちですね。
 中盤に一度下がってタイミングを見計らって前に出るとか、色んなところに顔を出すようなタイプではないだけに、中盤との距離が出来てしまうことが多い。


 これによって、深井や前線の選手だけで攻めるシーンが増え、中盤からの飛び出しを活かす回数や中盤とのコンビネーションで攻める形というのは減っていってしまった印象があります。
 木山監督の目指しているサッカーは中盤からショートパスをつないでいくサッカーなのでしょうから、深井が前線に入った後のサッカーとはギャップがあるのではないかなぁと思います。
 もちろん深井自身はコンディションも良く動けていたとは思いますし、本人が思い切りよくやれたのはFWで起用されて以降なのでしょうけど、このあたりは難しいところがありますね。
 試合終盤などにカウンター狙いの展開になれば、それもアリなのでしょうけど…。



 本来のセカンドストライカー候補である米倉も負傷してしまいましたし、どういった起用法を試すのか悩ましいところかもしれませんね。
 実際問題として、深井を前線に置いた方が得点は近いかもしれません。
 けれども、本来目指すサッカーとは違うのかもしれませんし、上記の中盤との距離感の問題もあって、結果的に深井頼りになってしまう可能性も出てくるかもしれない…。
 途中出場した荒田などもいるわけで、選手間の競争も含めて、理想の形を作っていってほしいところだと思います。