2011年シーズンを振り返る MF&FW編

 昨日のDF&GK編に続いて、本日はMF&FW編を。
 今年度中に反省会を負えるために、どんどん行きますよ。


ミッドフィルダー
佐藤勇人
 今期も中盤の要としてリーグ36試合に出場しました。
 ドワイト監督の下ではダブルボランチで、特にシーズン序盤は後半に入ってから積極的に前に出て行き、チーム全体のリズムを加速させる役割を果たしました。
 神戸監督体制になってからは、1ボランチでプレー。
 1ボランチでのプレーは、06年後半以来になるんでしょうか。
 危険なスペースを埋める役割を任され、見事にこなしていました。
 ただ、スペースは埋められてもボールを奪いきれないことも多く、そこから相手に展開されてしまうことも。
 やはり本来は中盤のバランスを取りながらも、そこから飛び出しでゴールに迫るプレーや気の効いたパスというのがウリの選手だと思うので、そういったプレーが少なかったのは残念ですね。
 今季の得点は、ブレ球での直接FKによる1ゴールだけでしたし。
 来期は思いきって攻撃にも参加できる状況が作れれば、チームにとっても良いのかなぁと私は思います。


深井正樹
 リーグ戦14得点はクラブトップで、2位が米倉と竹内の7ゴールですから2倍の差があることになります。
 細かいステップとスピードあるドリブルからのシュートだけでなく、パワーのあるミドルシュートはシュートレンジが広くこぼれ球を拾ってのシュートがチームの武器の1つになっていました。
 ただし、守備に関しては課題も感じました。
 確かに自分の守備範囲に相手が入ってきた時は、素早いチェックと重心の低いタックルでボールを奪いに行けます。
 しかし、ボールがないところでのスペースを消す動き、攻撃からの戻り、相手の選択肢を消すための寄せなどには大きな課題がありました。
 大島と前線で起用した時に守備が全く機能しなかったのも、広範囲を守ることになるとパスコースの遮断など”賢い守備”を求められ、素早いチェックだけでは対応しきれなくなったからだと思います。
 神戸監督体制になってからは守備の約束事が明確になったため穴を作ることは減っていきましたが、今度は攻撃で持ち味を出せなくなったかなと。
 ドワイト監督、ミラー監督といったアタッカーに対して自由にプレーさせる戦術においては伸び伸びとプレーできる選手ですが、神戸監督や江尻監督のようにある程度組織の中でプレーさせる戦術だと難しいのでしょうね。
 ですから、木山監督の下ででどこまで深井が活躍できるのかというのは、気になるところです。

 
米倉恒貴
 今期はリーグ戦35試合に出場し大幅に出場数を伸ばしましたが、その結果、課題もはっきりとしたシーズンだったように思います。
 「ジェフはオーロイ対策で苦しんだ」というのは多くの記事で目にしますが、具体的に考えると「オーロイにはマークを集中させず、2列目の選手を警戒する守備」だったと思います。
 ようするに、厳密に言えば「オーロイ対策」ではなく「2列目対策」であり、それに苦しんだのが米倉でした。
 実際、米倉の得点はシーズン序盤に集中しており、最終的に7ゴールどまり。
 当初は一部で“米倉シフト”と呼ばれるほど米倉に点を獲らせる戦術だったと思われますが、昨年5ゴールから2つしか増えておらずドワイト監督の誤算は米倉が点を獲れなくなったことと言っても過言ではないかもしれません。
 プレー内容に関しても、シーズン中盤は試合から消えることが増えていきます。
 そして、何よりも残念なのは判断力の面で課題が見られたこと。
 ドワイト監督から仕掛けるように言われたのか序盤の成功が過信に繋がったのか、何度もハーフライン近くからドリブルを仕掛けてボールを奪われるなど、強引なプレーが目立ってしまいました。
 米倉のドリブルはキープなどはできても、スピードやキレなどはないですから判断力が非常になってくるはずで。
 期待していた選手なだけに、このままではまずいと思います。
 早い段階で賢さを身につけられるかどうかが、選手人生においての今後の大きな分かれ道になるかもしれませんね。


青木孝太
 米倉とは逆方向に残念な方向にいってしまっているのが、孝太なのかもしれませんね。
 ドワイト監督の下では主力とは言えないものの、要所要所で試合に出て活躍もしていたと思います。
 残念だったのはスタメンで出始めていた5月4日の岡山戦での負傷でしたが、この試合でも縦に突破し米倉への絶妙なパスを出すなど(米倉がふかしてゴールならず)、個人技ばかりに頼りがちだったチームにおいて可能性を感じさせてくれました。
 また8月の岐阜戦ではトップ下で途中出場しスカスカだった中盤の守備を立て直すなど、守備でも度々貢献しました(守備に関してはドワイト監督も期待していた模様です)。
 こういった地味な貢献はありましたが、深井や米倉のように得点を決めるとかドリブルで抜きさるというような目立った活躍はできず、神戸監督に変わったあたりから一気にメンタル面でも落ち込んでいってしまった印象でした。
 試合に出れなくなったことへの不満なのかメンタル的な問題が出たから試合に出場できなかったのか。
 もともとメンタル的に強くない選手ではあると思いますが、そういった部分も期待されての新監督体制だったとも思うのですが…。
 上記の岡山戦でのアシストだとかドワイト監督体制終盤の草津戦での3人に囲まれて前へのパスを出す形だとか、地味でも大切なお膳立てが出来る選手になってきた印象です。
 湘南との練習試合でも上がってきたSBに受けやすい形で少し前にスッとパスを出すなど、周りを活かすプレーが出来ており、周囲が見えているという意味では米倉や深井よりも上なのかもしれません。
 元々ドリブルにキレがあるタイプではないですし(野洲高でも自分は下手だったと話してましたし)、こういった変化は面白いところではありますが周囲は派手なプレーを期待しているのか批判も多かったですね。
 無論仕掛けられるところは仕掛けてほしいし終盤のメンタル面の低下は大きな課題ではありますが、目立たなくとも良い部分を見てあげられないという環境が出来つつあるのであれば残念なことだと思います。
 来期はMF登録でプレーした方が良いんじゃないかなぁと、結構真面目に思っていたのですが…。


伊藤大介
 ドワイト監督体制ではボランチやウイングで、神戸監督体制になってからはインサイドハーフでプレーしました。
 ボランチでは中盤の底から縦へのミドルパスだけでなく、中距離の正確なパスも展開。
 監督が変わってからのインサイドハーフでも、あまりボールに絡めない試合もありましたが、高い位置からのスルーパスや時折見せる飛び出しなどにも可能性を感じました。
 前目で起用された時は、それらの回数をもっと増やしていくことが、今後の課題なのかなぁと思います。
 また守備でもサイズの面ではどうしようもない部分がありましたが、素早いチェックと運動量で貢献し、プレースキッカーとしても非常に重要な存在でした。
 ただ、サイドとしてはドリブルでの仕掛けもないし、やはり中央で活きる選手なのだろうなぁと。
 それでもサイドで起用されたのも、プレースキッカーをどこかに置いておきたいというドワイト監督の思惑があったのかもしれませんね。
 ボランチには勇人もいますし、サイズの面を考えるとトップ下がいいのかなぁと思っていたのですが、来期はどのように起用されるのでしょう。


フォワード編
オーロイ
 204cmの長身をいかして後方からのロングボールのターゲットとなり、ビルドアップに置いて貢献しました。
 ただ、サイドからのクロスへ合せる俊敏な動きなどはできず、サイド攻撃からの得点と言うのはあまり期待できなかったかなと。
 基本的に動きが少なく守備面での問題はもちろん、攻撃に置いても前線の動きが少なくなり、どうしても停滞感が出てしまうところがあったかなと。
 スタミナにも課題があり、特に怪我明けかはコンディションも万全でなかったのか、45分間しかもたなかったですね。
 強みと弱みがはっきりとした選手ですので、チームのスタイルによっては戦力にはしづらい選手だと思うのですが、2年契約を結んでいるようで残留となるそうです。
 来期はどういった起用法になるんでしょうね。


久保裕一
 昨年の強化指定を経て正式入団となった久保は27試合に出場し1ゴールの成績で、意外にも20試合出場のオーロイよりも出場試合数は多いのですね(ただ、オーロイは1397分で久保は1054分と出場時間は久保の方が少ない)。
 実際、体つきも昨年より絞れてきた印象があります。
 しかし、ドワイト監督は1トップに後方からのロングボールの落としを任せており、それをそのまま久保もやらされることも多く苦労した部分も多かったと思います。
 神戸監督体制の序盤では運動量豊富に攻守に貢献し、ポストプレーでボールを引き出したり、鋭く裏をとる動きを見せたり、積極的に前にチェックにいったりと可能性を感じさせてくれました。
 ただし、チーム全体が得点の形を作りきれず、再びオーロイなどを起用する方向になって出場機会も減ってしまいました。
 タイプ的には大学の頃から言われていたそうですが、オールラウンダーなFWで運動量もあって体も張れるしシュートもうまい(相手DFを抱えながらの抑えたシュートなど)選手だと思います。
 しかし、今年1年を振り返るとチームとして久保の良さを引き出せるような状況ではなく、それもあって大活躍とまではいかなかったかなと。
 目指す選手としては巻よりも高原のようなイメージでしょうし、もっと久保が前を向いてプレーできるような状況を作ってあげたいところではないかなぁと私は思います。