2011年シーズンを振り返る ドワイト監督編

 天皇杯も敗戦となり今シーズンも終了ということで、1年を振り返ってみたいと思います。
 例年より遅い反省会となりますね(笑)


 まずはドワイト監督に関して。
 個人的には「大枠は作れたけれど、細部を詰め切れなかった監督」といった印象です。


―――――オーロイ―――――
―深井―――米倉―――ラム―
―――伊藤――――勇人――― 
良太―ミリガン―竹内――山口
――――――岡本――――――
 シーズン序盤の基本フォーメーションはこんな感じだったかなと。
 状況によって、最終ラインには坂本が。
 2列目の右ウイングには青木孝太だったり、5月の孝太負傷後には太田もスタメンで使われることもあり、シーズン途中からはゲッセルをボランチにして伊藤もこのポジションで起用されました。
 序盤はオーロイに当てて2列目の選手が拾ってアタックを仕掛ける攻撃も、中盤からのプレスもある程度うまくいっていた印象でした。


 しかし、徐々に他チームが連携を増していきジェフ対策なども進む中、ジェフはなかなかチームの熟成ができずにいました。
 守備に関してはダブルボランチに高さがない分、中盤を狙ったロングボールにはミリガンなどが前に出て対応していたのですが、そのミリガンの穴を埋める役割が左SBで。
 前の深井も守備に難のある選手で、左SBは中央に絞りながらサイドも見なければならず広大なスペースのカバーを求められ、そのエリアから守備が崩壊することが増えていきました。
 その後、アンカーにゲッセルを起用し高さの面では問題が解消されますが、ゲッセルはアジリティに課題があり、今度は地上戦の守備に問題が。
 また、前線のプレスに関しても局所的にはうまくいくもののボールにより過ぎる傾向が強く、ピッチ全体に関するマネジメントが出来ておらず、サイドに展開される対処しきれない…といった課題があり、それを潰しきれずにいました。


 攻撃に関しても当初はオーロイにマークが集中することで、2列目の選手がフリーになることが多かったですが、各チーム、オーロイには背の高い選手をマンマーク気味に付け、周りのエリアをゾーンで消す守備に変えてきてから、ジェフの攻撃の手段がなくなっていきました。
 それでも深井の個人技とセットプレーでなんとか勝点を稼いでいきましたが、深井に頼るサッカーではじり貧で…。
 その間に他の攻撃のパターンが作れれば良かったのでしょうが、深井に中に切り込ませるのではなくサイドを縦に走らせるなどの変化を加えたりはしましたが、攻撃においても細かな戦術面での向上は残念ながら見られませんでした。


 その後、ドワイト監督は村井や太田などをサイドアタッカーを両サイドに起用した、3ラインの4-4-2を採用。
 初戦となった8月末の京都戦では、米倉・孝太と守備で頑張れる選手を2トップに置き、サイドアタッカーもサイドのポジションを守ることで守備が安定しますが、その後深井が怪我から復帰し大島と2トップを組んだことで、前線の守備が全く効かなくなってしまいます。
 もともとDFライン裏へのロングボールへの対応にも問題があったジェフは、FWの守備の問題もあって大きな守備の穴を作ってしまいます。



 全体的に見て、処々の問題に関して選手の起用法での対応など小手先での対応しかできず、根本的な解決策を打ち出せなかった印象です。
 中盤の高さ不足もゲッセルを起用した分スピード面で問題が出て、深井によるサイドの守備問題も深井をFWに移したら今度は前線の守備に課題が出て…。
 攻撃面でもチーム全体としてのオーガナイズが出来なかったから、最終的に個で点を獲れる大島・深井の2トップに頼る形となったのでしょうが、攻撃を2トップに任せるだけでは限界があったと思います。


 練習でも雰囲気を大事にする監督さんなのかなといった印象を受けましたし、モチベーションコントロールを重視される方だったのかなぁとは思います。
 孝太などはドワイト監督が解任されたあたりから、メンタル的に落ち込んでいった印象もなくはないですし。
 ただ、サカマガにも書かれていたように戦術面での構築が出来ず、選手達が主導で戦い方を決めていたところも多かったようですから、そうなってくるといくら雰囲気などを大事にしていたとしても内部からの疑問が出来てしまうものなのではないでしょうか。


 江尻監督もそうでしたが、一番良かったのはシーズン開幕前のちばぎんカップだったような気がします。
 これは柏のネルシーニョ監督がちばぎんカップを練習時試合としか思っておらず、ジェフが気持ち良くプレーできたというのも大きかったのかもしれませんが、江尻監督もドワイト監督も監督としての実績が少ないため(江尻監督はなく)大枠の理想こそ持っているものの、その理想に向けて細部を詰めていく術を持っていない、監督としての引き出しが少ないなどの問題があったのではないかと思います。
 リーグ前半はそれでも戦力差などである程度の結果は出せていましたけど、他チームは戦術面などの向上が進む中チームを引き延ばすことが出来ず相対的に後れをとってしまい、徐々に結果の面でも内容でも厳しくなっていったということではないでしょうか。
 もしこのまま昇格しても厳しいのではないか…と感じる部分が強かったのも、チームとしての組織的な積み重ねや成長を感じなかったところが非常に大きかったように思います。
 チームの伸び代が少なく感じたのは選手構成にも問題があったとは思うのですが、それだけの問題でもなかったように感じます。