来期ビジョンと神戸TDとジェフ"変革"の可能性

神戸清雄監督
試合とは直接関係ないですが、ご自身の来季の立場はどうなるのでしょうか?
「新体制が決まったところでしっかりお話はします。ただ、今言えるのは、私はもう監督はやりません。新しい体制で臨むつもりでいます」(J's GAOL

 水戸戦の試合後、神戸監督が来季の指揮などに関して、少しお話をされています。
 「来期は監督をやらない」ということは、はっきりしているようですね。
 まぁ、今期に関してもS級ライセンスを持たない菅澤コーチのサポート的な役割であって、実質な指揮は菅澤コーチがとっていたのだろうと思われますが。



 個人的には、来季は神戸さんに強化部の全権を任せるべきだと思っています。
 神戸さんはユースの指導者として名高い菅澤コーチや朴アカデミーダイレクターの招聘に成功し、アカデミー再建に向けて貢献しているところは大きいと感じます。
 アカデミー再建に至っては井出、佐藤祥の昇格だけでなく、vivaiの渡辺さんが有望な選手をジェフU-18に送り出してくれたのも、それなりの信頼があったからではないかと思います。
 渡辺さんは講演会でもお話を聞きましたが、かなり芯の強い方だと感じましたし(文章からもそれが伝わってきますね)、そういった方を納得させるというのは簡単なことではないと思いますし。
 もちろんまだ成功というには早過ぎますが、良い状況に向かっているのは確かなのかなと。
 現在のジェフは経営面の問題もありJ2ということもあって、新卒の補強も簡単ではないと思いますから、アカデミーの再建はクラブ全体で考えても重要視しなければいけないポイントだと思います。


 また、神戸さんは選手の補強に関しても、少ない予算で地味ながらもまずまずの成功をしているではないかと思います。
 カンテーラ組は代理店側からの売り込みなのかなと思いますし、昨年の倉田、鎌田は江尻監督のルートだったのかな?とは思いますが、ミリガン、竹内、山口、渡邊、久保あたりは年齢的に若手から中堅で、戦力としても貢献している選手が多いはずで。
 一方でミリガン以外の外国人選手の補強はうまくいっていない(といってもゲッセル、ラムはドワイト監督が連れてきたのでしょうが)ですので、そのあたりは改善点だとは思いますが。



 それと、気になるが監督人事ですね。
 江尻監督に関しては神戸TDが加入した頃には就任していたので、契約延長も含め神戸TDには決定権がなかったのではないかと思います。
 しかし、ドワイト監督に関しては、最終決定はクラブが行ったそうですが、神戸TDも関わっていたところはあるはずで。
 ドワイト監督招聘は残念ながら成功とは言い難いものだったと思いますし、監督人事に関しては不安もなくはないのですが、来期に関しては今までの報道だと城福氏や木山氏など割と堅実な方向で進めているのかな?と思いますし、そこは今後の変化に期待したいところではないかと思います。


 そこに関わってくるのが、クラブ全体に関するビジョンに関して。
 江尻監督の後にドワイト監督を選ぶなど、その間に目指すサッカーにおいてもブレが出ていました。
 また、新人監督の江尻氏に劣勢からのJ1残留や1年でのJ1昇格を要求するなど無理なノルマを科し、方向性を一変させてドワイト監督にもすぐに結果を要求するなど、クラブ単位でチグハグな運営をしていたと思います。
 しかし、来期に関してはベテラン選手の契約満了や島田社長の発言からも若手中心で行くということなのでしょうし、それに沿った育成に定評のある監督人事を行っているようにも感じます。


 もしクラブのビジョンとしてまず若手を育てることを考え、今後の補強も若手から中堅主体で、監督人事も育成面を考えて行うのであれば、一本筋が通った運営になるのではないかと思いますし、それは近年方向性の見えてこなかったジェフにおいては大きな変化だと思います。
 言ってしまえば、その結果として来期は目立った結果がでなかろうとも、まずはその信念を貫くことが何よりも大事だと思いますし、それをやり通すことが出来れば、またもう一歩先のステージに立った課題・修正点というものも見えてくるかもしれません。
 個人的には今期の戦力に上積みした状況で結果ばかりを求めても限界があると感じていましたので、その方向性で行くと決めたのであれば大いに歓迎すべきだとも思っています。
 ひとまずの問題はその方向性を決めて貫けるのかどうか、フロントはもちろん、サポーターも我慢できるかどうか…と言ったところになるのかもしれません。


 GM(TD)人事に関しては実際問題として、(さほど日本には人数が多くないであろう)優れた強化部のトップを任せられる人物を招聘できるほどのコネ・魅力が今のジェフにあるのか?という疑問もありますし、まずは神戸さんがやりやすい環境を作って全権を任せる必要があるのではないかと思います。
 これまでの神戸TDに関しては様々な制限もあったのではないか?とも推測できなくもないところがありますし、最終評価に関しては全権を任せられた後でされるべきではないかなぁと思います。
 そして、現状のジェフというのは2年間成果も出せず、チーム強化においても経営面でも厳しい状態であることは間違いないはずですから、来期からはともかくチーム・クラブを一から立て直すことを主眼に置かなければいけないのではないでしょうか。



 …逆に考えれば、今のジェフは大きな可能性を秘めているとも言えるのかもしれませんね。
 現在のジェフに関して「厳しい状況である」という危機感は、多くの関係者が感じているところなはずで。
(もしそうでなければ、それこそ深刻な状況ではありますが。)
 ジェフに関わる多くの人々が「このクラブは変わらなければいけない」と共通理解を持つことが出来れば、ジェフは大きく変わる可能性があるのかもしれない。
 クラブが中途半端な状況では”変革”は難しい場合もあるでしょうし、初めは苦労することも多いかもしれないけれど、多くの関係者が共通のビジョンを持ってそこに突き進むことが出来れば、生まれ変われるかもしれないわけで。
 そういった可能性を信じて、このクラブが大きく”変革”できることを期待していきたいと思います。