現状でのジェフへの”ねがい”

ペトロヴィッチ監督の来季契約について(広島公式サイト)


 広島がペトロヴィッチ監督の契約に関して、来季更新をしないことを発表しました。
 06年から始まったペトロヴィッチ監督体制ですが07年にはJ2降格。
 しかし、そのまま監督との契約を続行し1年でJ1復帰しました。
 09年にはJ1で4位にまで食い込むなどの結果を見せ、試合内容に関しても面白いサッカーと称賛されていました。
 しかし、昨年はリーグ戦で7位、今期もJ1中位の順位となっています。
 若手と呼ばれてきた選手達もある程度の年齢に達してきましたし、伸び白という意味でも大きな賭けに出たのでしょうか。
 一番は予算の問題なのかもしれませんけどね。
 こちらの記事によると「クラブライセンス制導入に向けて、抱える累積赤字の解消が必要で、予算を圧縮。年俸8000万円(金額は推定)の指揮官との契約延長を断念した」とも書かれています。



 オシム監督の関係のある監督ですから、ジェフとしても今後の監督の動向が気になる部分もあります。
 ただ、8000万円という年俸が正しければ、ジェフにとっては厳しい額でしょうね。
 ドワイト監督の実績などを考えればそこまでの金額は出していないでしょうし、現在の経営状況では監督に支払う数千万円の上積みを確保するのも大変な状況だと思います。
 年々観客動員数も落ち込み、スポンサーも増えているようには見えないですし、ライセンス制導入はJ2のクラブにも関わってくるはずで。
 ペトロヴィッチ監督からすれば「一度はJ2に降格した中規模クラブを育て上げてJ1でも成功を収めた」というミッションは既に成し遂げたわけで、ジェフに来て成功したとしても同じことを繰り返すだけとなるはずです。
 少なくともステップアップにはならないわけですから、提示年俸もそこまで引き下げることはできないでしょう。
 強いてジェフを贔屓してくれる可能性を考えるとすれば、オシム親子が率いたチームであることと広島とのきっかけを作ったクラブ(オシム監督の紹介により)だというところでしょうけど、友人であるアマル監督をバッサリ切ったクラブでもあるわけで(これは城福浩さんと城福敬さんにも同じことが言えるのかもしれないけれど…)。
 これだけ頻繁に監督を変え方向性が定まらないクラブが良い印象を与えているわけはないと思いますし、広島で惜しまれながら勇退する形となるであろう監督を呼ぶというのは困難だと思います。


 それになによりも広島は07年ペトロヴィッチ監督体制でJ2に降格しても、我慢して続投した結果が今に出ているわけで。
 ジェフは07年の成績低迷で、あっさりとアマル監督を切ってその後は迷走。
 07年時はジェフの方がよい状況だったにもかかわらず、開幕時からチームにブーイングしアマル監督を追い出したような状況だったのではないでしょうか。
 あんな雰囲気で「良い試合をしろ」「結果を出せ」という方が難しい状況だったと思います。


 そんなことがあってその後に苦しんだからと言って、今さら『オシム路線』に”頼って”チームを立て直してもらおうというのは、あまりにも都合が良すぎるんじゃないかなぁと思います。
 確かに今から『オシム路線』に戻せば、チームを再建してくれる可能性はあるとは思います。
 イビチャ監督のジェフでの成功はそれまで築きあげた積み重ねが開花したものだとは思っていますが、ペトロヴィッチ監督せよ(実際には招聘は無理だとしても)イビチャ監督にせよ、今のジェフを立て直すだけの手腕は十分期待できる指導者ではないでしょうか。
 しかし、それが本当の意味でのジェフにとっての成功と言えるのかどうか。
 逆に現在のジェフでの『オシム路線』復帰は、数あるクラブの問題点を隠してしまうことにならないだろうか。



 …と、ここまで考えを巡らせて、自分の思いというか”ねがい”に気付いたわけです。
 自分のジェフへの”ねがい”というのは、単純に『ともかく早く強いチームを作ってほしい』とかではなく、もっと根本的に『クラブとして立ち直ってほしい』ということであることを。
 もちろん最終的には強くなってほしいけれども、クラブ体質も含めて諸問題を解決することが先決であって、ずるをして近道を探すような選択はクラブにとっても良くないのではないかと。



 もちろんいろいろなことを考えた結果、ペトロヴィッチ監督へのオファーを選んだというのであれば、それは尊重すべきだとも思います。
 ただ、この状態から東欧路線に復帰するというのも、言うほど簡単なことではないと思いますが。
 ペトロヴィッチ監督も健康状態には不安があるわけで方向性を維持することを考えれば、その後の監督も東欧路線で準備しておかなければいけないはず。
 しかし、今のジェフには東欧コネクションがあるわけではないでしょう。
 以前のジェフがそれぞれの問題でザムフィール監督、ベルデニック監督、ベングロシュ監督と短期間で終わっても大枠での方向性=東欧路線を維持できたのは、祖母井GMのコネがあったからこそだと思いますし。
 そして、その積み重ねの期間があったからこそ、オシム監督で大きく花開いたんだとも思います。
 それでも、今はない東欧のコネをこれから作っていくという大きな決意があるのなら、リスクは少なくないと思いますけど応援したいとは思います。


 もしペトロヴィッチ監督を招聘するのなら、選手構成を一から考え直すべきかもしれませんね。
 残念ですがベテラン選手やペトロヴィッチサッカーとは合わない選手とは決別して、監督の年俸と監督が望む選手(中島、山岸、楽山とか?みんな07年矢面に立たされた選手ですが…)の獲得にあてる。
 その中には現選手は今期活躍した選手もいるかもしれませんね。



 そういった覚悟がクラブにあるのかどうか。
 ともかく、どこに進むにせよ楽な道ではないでしょうから、簡単な気持ちで来季以降の体制や方向性を考えたくないなぁと私は思います。
 それだけの厳しい状況にあるのだと思いますし、真摯に現状を受け止めなければ前には進めないんじゃないかと思います。