5連戦4敗1分の根本的な問題は…?

 監督が変わって3試合目。
 神戸監督体制では初のホーム・フクアリでの試合ということで、勢いに乗っての勝利というのを期待したのですが、サッカーというのはそう簡単ではないですね。
 今回も残念な結果に終わってしまいました…。


 後半のパワープレー時もそうですし、深井のPKの時もそうでしたけど、かなりプレッシャーを感じながらプレーしているのかなぁといった印象も受けましたね。
 気持ちの余裕がないというか、焦りというか。
 選手達にはもちろん頑張ってほしいと思うけど、心に余裕は持ってほしい…。
 このあたりは難しいところだなぁとも思いますが。
■いくつかのチャンスも決まらず
 ジェフはスタメンに出場停止明けの深井が復帰。
 左ウイングに深井、右ウイングに米倉というポジションでした。
 一方、竹内がこの試合は出場停止となり、代わりに青木良太がスタメンに。
 ベンチにはオーロイ、ゲッセルが怪我から帰ってきました。



 ジェフは守備的な試合の入り方をしていった印象でした。
 無理にプレスに行かず、縦にボールが入ったら中盤の選手が囲い込む。
 過去2戦は立ち上がりで、もう少し前からプレスにいっていたイメージがあったのですが、2試合とも後半にスタミナ切れを起こしてしまったことを考慮してのことだったんでしょうか。
 あるいは、徳島の攻撃は流動的に2列目の選手が前に出てくるので、そこを警戒した結果なのかもしれませんが。


 攻撃面では後方のパスワークからタイミング良くくさびのパスを出せるようになり、久保が足元で受ける展開や、右SB山口の攻撃参加のタイミングも良くなっていましたね。
 米倉が中でポストを受ける体制をとって、右サイドの前を開かせておいて山口の走るコースを空けておく…という意図があったのかなと感じました。
 ただし、前半途中からは相手も対応してきて、危険なシーンでは必ずエリゼウが顔を出してブロック。
 敵ながらいい選手でしたね…。


 ジェフは久保にボールを入れる形までは良いのですけど、ポストからのボールを受ける選手がまだ少ないことが多いですね。
 ウイングの2人は開いていることが多く、インサイドハーフの2人は低い位置に構えることが多いので、久保が上手くキープしても落としどころが見つからない場面が目立っていました。
 この4人のうち誰かが、上手く動いて受けるようにしていきたいところなのではないかと思うのですが…。



 試合の方は、序盤でFKを得たジェフが村井からミリガンで決定的なシーンを作りますが、惜しくもヘディングシュートはゴールマウスから逸れます。
 前半20分には深井がカウンターから一度は相手選手2人とつれながらも持ち込み、最後は微妙な判定ながらPKを得ます。
 しかし、このPKを深井本人が蹴るも、相手GKに止められ得点ならず…。
 過去2戦、後半失速したジェフだけに、この2チャンスのうちどちらかは決めてほしかったところでした。


 その後はジェフの攻撃に慣れたのか徳島が守備をどっしり構えるようになり、ジェフは攻撃のテンポが上げられない状況に。
 チャンスがあったものの、0-0で折り返す嫌な流れで前半を終了します。
■またもセットプレーから失点
 後半開始と同時に、徳島は一気に勢いをかけて攻めに転じてきます。
 ジェフは全体が押し込まれ、流れは徳島か…と心配したのですが、なんとかその時間帯は凌ぎます。


 その後は両者、攻撃に勢いが作れず均衡状態に。
 徳島は久保へのくさびのパスが入らないように、しっかり前のパスコースを消すように対応してきたような印象でした。
 状況を打開しようと、ジェフは後半22分に久保に代えオーロイを投入します。 



 しかし、その直後の後半24分。
 徳島のCKを西嶋がヘディングで合わせて、徳島に先制得点を許してしまいます。
 西嶋は180cmの選手ですが、ジャンプ力があってセットプレーに強さがあり、警戒すべき選手の1人だったと思うのですが、そこに競り合ったのは伊藤でした。
 前節セットプレーでやられた時も、豊田に勇人が競ってやられてしまったわけで、同じような形でやられてしまった印象です。
 徳島は現在のジェフ同様、CK時に少し後方から選手が入ってくるパターンをやってきたため、ジェフの選手はエリアを見る形で守った結果、西嶋と伊藤が競り合うことになったということなのでしょうが、それでは相手の思うつぼなわけで、もう少し相手選手も見ながらうまく対応してほしかったなぁ…と。



 その後、ジェフは米倉に変えてゲッセルを投入。
 左ウイングに村井を回し、ゲッセルは村井の位置に入りました。
 オーロイに簡単にボールを出して、周りの選手が拾うパワープレー気味の攻撃を展開していきます。


 新体制になってもオーロイをめがけてのパワープレーを行うと言うのは、少し意外な気もしました。
 しかし、過去2試合を見ても守備の方からチームを作りまだ攻撃の形は作れていませんでしたし、この試合でも攻撃のスウィッチとなるはずくさびのパスが試合途中から防がれてしまいましたから仕方がない…といったところなのでしょうか。
 FWへのくさびのパス以外の展開も作ってほしいところではありますけど、その時間もなかったのかなぁと。
 J'sGOALのプレビューに「「絶対に点を取らないといけない時のバージョン」(菅澤コーチ)の攻撃も改めて練習した」と書かれているので、このパワープレーも練習していたということなんでしょう。
 個人的にはドワイト監督時にもオーロイに向けたロングボールからの展開は相手に封じられてきたわけで、パスワークにこだわってほしかった気もしなくはないのですけど、「勝つためにあるものは何でも使う」ということだったのでしょうか。



 徳島もやはりしっかりとオーロイ対策を実施してきて、オーロイのところは無理に競り勝とうとせず、周りのスペースを消す守り方で対応してきます。 
 後半41分には中盤の徳重に変えて島村を投入し、オーロイマンマーク気味で対応。
 これによりオーロイに人が付いて行っても、守備組織はずらさない徹底した守備を行っていました。


 試合終盤、前方に放り込んだ後の混雑状況から、ミリガンがシュートを放ちますがこれも決まらず。
 そのまま0-1で敗戦となりました。
■クラブの根本的な問題
 試合を振り返ってみると、やはり前半のうちに点を取りたかったですね。
 過去2試合を見ても、それはわかっていただけに、2度のビックチャンスで決められなかったのは、すごく残念でした。
 ここまで厳しい試合展開でもゴールを決めてきた深井だけにいいにくいですけど、あのPKはやはり決めてほしかった。
 また、失点のパターンも前節のものと同様な展開だっただけに、こちらも残念です。



 …ただ、毎回同じことを言っている気がしますが、まだ新体制で1週間。
 新たなコーチ陣に厳しい意見もあるようですけど、個人的にはこの短い期間で完璧なチームを作れてしまっては、積み重ねも必要になくなってしまうし、事前合宿だとか日頃の練習すらも否定するような気がします(笑)
 「この1週間だけで多くを作れ」という意見があるのなら、それはころころと監督を変えるフロントと発想は同じではないかと。


 そんなことなら、監督を変えるべきではなかったという話になるかもしれませんけど、中位から下位チームに当たる草津、水戸に負けた段階で既にこのチームは崖っぷちの状況だったのだと思います。
 試合内容も右肩下がりでサカマガの記事から察するに、チーム内での監督不信もあったのではないでしょうか。
 ならば、もっと早い段階で交代を…という方もいるかもしれませんけど、実際問題として昇格争いというのは取りこぼしの少なさで決まってくるところが多いのだから、シーズン中の交代は難しい。
 8月の0-4で負けた札幌戦もその前は勝ち・引分・勝ちできていますし、強いて考えられるとすればその後の8月27日京都戦となるのでしょうけど、この試合は深井が不在で米倉と孝太の2トップの4-4-2で戦い守備が安定し、久々に可能性の感じた試合だったと思いましたし…。


 ですから、問題なのは、そもそもの今期の監督人選。
 もっと言えば、チームの長期視点に立った方向性の無さ。
 昨年も1年での昇格を目指すと言いながら経験のない江尻監督でしたし、一昨年の残留に向けての江尻監督途中起用もおかしかったし、その前のシーズンオフの戸田、レイナウドなどを含む大量解雇も大いに疑問があった…。
 あの時に若手を一気に切ったのも、今に来て大きな足かせとなっているんじゃないでしょうか。
 今思えばあの時から、現フロントによるコストカット計画は始まっていたということなんでしょうね。


 「もう少し前に監督を変えておけば…」とか「もうちょっとここが良ければ…」とかいったレベルの話ではなく、もっとクラブの根本的な問題が尾を引いての現在のチーム状況の悪さがあるんじゃないかと思います。
 その結果がこの大事な5連戦の4敗1分と現在の成績に、結びついているのではないでしょうか。



 J1昇格は数字上の可能性はあるとはいえ、実際問題としてはかなり厳しい状況でしょう。
 それでもまずは新体制での勝利を目指すべく、出来る限り伸び伸びとプレーしてほしいなぁと思います。
 そして、それがどんな形でもクラブの未来につながるものとなれば、良いのですが…。