チームとしてのジェフのこだわりは?

 フクアリオープンから早くも6年が経ったそうです。
 この6年、ジェフもいろいろありましたね。
 ナビスコ2連覇、オシム監督の退団。
 主力選手流出後のJ1残留も、翌年J2降格。
 そして、1年でのJ1昇格失敗…。


 いろいろあるからこそ面白いんだとは思うのですが、そろそろ落ち着いたチーム作りも見たいところ。
 そのためにもしっかりとした計画作りと、言葉だけではなく実行力が必要だと思うのですが、今のところ今年はどうなのでしょうか…。
■先制するも流れは草津
 ジェフのスタメンには伊藤がボランチで復帰。
 両サイドには右に米倉、左に青木孝太が入りました。
 ミリガンはCBに
 そして、左SBには渡邊が。
 伊藤に関してはゲッセルも負傷中ですし、シーズン序盤はボランチでレギュラーだった選手ですから、天皇杯でスタメンを試しての復帰ということなんでしょう。
 しかし、渡邊がスタメンに残ったというのは少し意外でした。
 これまでSBには守備力を要求してきたドワイト監督ですからね。
 ただ、あまり攻撃に上がる動きは少なかったので、結局はチームとしてSBに守備を重視させる傾向は変わらないのかなぁとも感じましたが…。



 試合はジェフが早々にゴールを決めました。
 左サイドからのミリガンのロングスローに対して、相手GKが目測を誤って前に出て、その真後ろにいた深井がヘディングで先制ゴール。
 思った以上にミリガンのロングスローが伸びたということなのでしょうけど、やってはいけないレベルのミスだったと思います。


 しかし、その後は草津に押される時間帯も。
 守備では相手のDFラインで自由にボールを持たせていました。
 ジェフが先制したので引いて守ったのか、獲りたくても獲りにいけないのか…。
 前からの守備ができないから、MFライン以降も前にいっていいのか、後ろに戻るのか決めかね、結局MFとDFの間を突かれてしまう…なんてことも。
 また、サイド攻撃を受けて、押し返せずラインが下がっていくことも多かった印象です。
 特に渡邊の裏を意図的に狙われたのかな?とも思いますが。
 サイドの守備で選手がボールによる意識はあるのですけど、それが中途半端で逆にピンチを作っていました。


 そして、攻撃ではミスも多くボールを失うことが多かったですね。
 技術的なミスというよりは、縦にボールを出してもサポートの形が作れておらず、孤立してしまって出しどころがなくなり、ボールをロスト…ということが多かった印象です。
 草津はしっかり戻っての守備をしており、ジェフはボランチを経由した攻撃が作れず。
 せっかくのパサー伊藤も活かせない状況でした。


 結局のところポゼッション率に関してはジェフの方が高かったかもしれませんけど、縦にボールを出してからスムーズに高い位置のでパスを回せていたのは草津の方だったと思います。
 そして、前半終了間際、相手左サイドからクロスをあげられて失点してしまいます。


 この前にFWリンコンが中央でポストプレーをすると(ここに山口が付いていたのも謎ですけど)、相手選手がCBの前で簡単にフリーになってしまいます。
 このプレーの前でも何度もバイタルエリアでフリーでボールを持たれていましたが、こうやって危険な位置でボールを持たれると、ラインを下げざるを得ない。
 そして、全体のラインがさがったことで、相手左サイドの選手がフリーとなり、そこからクロスをあげられて失点…と。
 得点時のクロスと後藤のヘディングは見事だったとは思いますが、あれだけ縦にボールを出されれば、いつかは失点するだろうなぁといった状況だったと思います。
■跳ね返せず、最後は左サイドから崩されて…
 後半に入って56分。
 伊藤がゴール前の直接FKをねじ込んで、2-1とします。
 こうやって直接FKが決められる選手がいると、相手も警戒しますし、チームとしても助かりますね。
 これだけ“決められる”プレースキッカーがジェフの主力として活躍するのは、水野、阿部の頃以来でしょうか?
 今年のプレーを見ると決定率は2人の頃以上かもしれませんけど、相手GKもJ2レベルですから…。


 しかし、63分には2-2とされてしまいます。
 前半から見られた傾向ですけど、相手のルーズなロングボールを跳ね返せませんね。
 これはやはりゲッセル不在で、ミリガンではなく勇人・伊藤のボランチにしたことも大きかったんじゃないでしょうか。
 この攻撃も相手左サイドからのロングボールに対して初めに触ったのは勇人ですがしっかりとクリアできず、伊藤が一度はシュートコースに入って跳ね返しますが再び相手選手の足元にボールが戻り、シュートを決められてしまいました。
 そのあたりを狙ってなのか、草津もどんどんロングスローなり、アーリークロスなりで放り込んできた印象でした。



 同点とされて、ジェフは一度ギアを上げてきます。
 一方の草津の方は疲れも見え始め、守備でほころびも見えるようになっていき、ジェフがゴール前までボールを持ち込めるシーンが増えていきます。
 しかし、最後のところで決め手に欠くプレーが多かったですね。
 あれだけ攻める時間は多くても、悪い流れが変わらないと言うのも珍しい気がします。
 それだけ攻撃に迫力を感じず、守備が緩かったということでしょうか。


 そして、88分。
 ジェフが攻めた後にロングボールから展開されると、ジェフ左サイドを攻められます。
 後半から左に回っていた深井が守備に戻ってこず、渡邊と遅れて伊藤が対応されますが、渡邊が裏をとられてクロスを上げられ、最後は萬代に決められてしまいます。
 渡邊のこの時の対応が悪かったとは思いますが、あまり渡邊の攻撃面を活かせていたとは思えませんし、あれだけ劣勢での守備機会が増えるのであれば、やはり守備的なSBの方がいいのかもしれません。
 良い状況で守れているのなら渡邊でも大丈夫だとは思うのですが、特に前を深井にするのなら守備専門のSBは必須でしょう。


 試合はそのまま2-3でジェフの敗戦となりました…。
■残り9試合、順位は5位に後退
 これで草津相手に3連敗ということに。
 順位も5位に後退してしましました。


 毎回同じことを言っているような気もすけど、ジェフはどうやって勝とうとしているのかなぁと改めて思ってしまいました。
 攻撃センスのある大島・深井の2トップにして、守備はある程度目をつぶる。
 その分守備は4×4で守る。



 そう聞くと納得な気もしますけど、前からの守備が作れていないのに、全体のラインを上げようとするから、裏が突かれてしまう。
 4×4で守りたいはずなのに、ボランチには大柄な選手がいないから跳ね返せない。
 そして、4×4の最大の特徴はスペースを消して、その間にボールを入れさせないことだと思うのに、スペースが蹴れておらずスカスカ縦にボールが入れられてしまって(だから、前で止めようと途中から深井をサイドに回したのかもしれませんが)、簡単にDFラインのところで勝負させられてしまっている…。
 中盤がラインで守る意味がなくなっていますね。
 3失点も当然の守備だったと思います。


 攻撃の方も大島・深井を活かせていないというか、守備に目をつぶるほどの効果は出せていない気がしますね。
 どこでポイントを作って、どうやって点をとって、そのために誰が走り、誰がパスを出すのか…。
 ともかく即興で攻撃を作っているような印象を受けてしまいます。
 この日の得点も、惜しいシーンは少なくなかったとはいえ、結局ロングスローと直接FKだけですからね…。



 まぁ、セットプレーからの形でも守り勝つチームを作ると言うのなら、それもわからなくはありません。
 しかし、それなら前線からの守備を確立し組織的な守備ができるチームになってほしいと思うのですが、現状はそうでもないと。
 逆に守備面で妥協を許しても、得点を奪えるチームなのかというと、そうでもないと。
 大島、深井、そしてこの日の渡邊と、決して守備がうまい選手達ではないけれど、そういった選手達を十分に活かせるほどの攻撃戦術もない…。


 もちろんコンディションが良ければもっと相手を潰せただろうし、点も獲れたかもしれない。
 それだけの選手の質はあると思うし、正直それで勝ち点を稼いできたチームなわけですけど、それ以上のものは感じず。
 結局、チームとしてのこだわりが見えてこないなぁなんて思います。
 どこがウリなのかなと。
 そんなことを改めて感じた試合でした。



 まぁ、騙し騙しやっていくしかないんだろうなぁということは、この試合に限らずわかっていたこと。
 チーム全体の穴は決して少なくないけれど、そこをうまいこと隠して、相手のミスにも乗じて勝ち点を重ねていくしかない。
 そのためには、小手先でも変化を加えられる選手選定の部分も、すごく重要になって来るように思います。


 ホームで草津に敗れたと言うのはすごくいたいことだとは思いますが、まだ勝点差は大きくない状況ですし、残り9試合必死で頑張っていってほしいと思います。