5試合勝ちなしを払拭するような内容では…

 岡山で行われた岡山泰ジェフ戦は、1−0でジェフの勝利。
 ジェフは5試合勝ちなしの状況でしたので、久々の勝ち星ですね。


 勝ったことに関してはもちろん嬉しいのですけど、内容に関してはここ数試合から改善されておらず。
 ジェフは試合がなかった水曜日に試合があった上、大量失点をしてしまった直後の岡山の内容の悪さに助けられた部分も多い試合だったと思います。
■大島が先制するもミラーゲーム?
 前半7分に早くも試合が動きます。
 右サイドからのクロスに、大島が頭で合わせて先制ゴール。
 この流れでジェフは、何か特別な動きをしたわけではありませんでした。
 ゴールを決めた大島の前には相手DFがいたけれど、体を寄せきれてはおらず。
 前節、大量失点した岡山の守備の緩さを感じたシーンでした。


 ともかく、このゴールで波に乗っていきたかったジェフですが、試合展開の方は大きく変わらず。
 岡山は3バックだったのですが、サイドの選手がジェフのウイングに引っ張られて後方に押し込まれ、5バックのような状況で守っていました。
 そのため、ジェフはSBが完全にフリーに。
 それに関連してCBも楽にボールを持てる状況となっていました。


 しかし、それを有効には活かせていませんでしたね。
 DFラインから縦にくさびのパスを出せても(くさびからポストプレーの流れでのミスも多かったですけど)、そこからの展開が作れず。
 深井あたりが狭いところで強引に仕掛けて、ボールをロストすることも多かった印象です。



 一方の岡山の方も、ジェフと同じような状況で。
 ジェフは相変わらず、前線からの守備が作れていない。
 ストヤノフに対しては大島が見る約束事だったのでしょうけど、相手が3バックということもあって横のストッパーにボールを出されると、簡単にフリーにしてしまう。
 ストヤノフへの大島のマークも緩くあまり意味のない状況になっていましたし、岡山は後方からパスを出し放題といった感じで。
 かといって、深井などが相手ボランチの位置を潰せているかといるとそうではなく、結局大島と深井が相手のDFラインとMFラインの間でフラフラと浮いているような状況でした。


 岡山も大量失点の後なのだからもう少し落ち着いてつなげばいいものの、前へボールを運ぶ意識が強かったですね。
 1トップのチアゴをめがけたロングボールや、サイドの裏を突くボールが多く。
 そういったチームとしての狙いは(ジェフ以上に?)はっきりしていたとは思うのですが、そこに複数の選手がサポートに行くという展開は少なかったですね。
 その結果、ロングボールを蹴ってはボールを失うというシーンが多かったと思います。
 このあたりは、中2日の過密日程の影響も大きかったのかもしれませんが、ならばなおさら焦って攻めなくても…と思ったのですが。


 ともかくどちらも守備が緩く攻撃時は後方でボールを持てるのですが、そこから縦に出しても攻撃の形が作れないというミラーゲームのような試合展開となってしまいました。

ストヤノフが前に出るも…
 後半から岡山は攻撃時にストヤノフボランチ付近に出てくることが多くなっていきました。
 もう初めから4バックにすればいいのに…(笑)
 まぁ、前半からジェフは前線2人の守備が機能しておらず、FWへのプレッシャーもボランチ付近への守備も効いていない状況だったわけですから、よりパスの出しどころであるストヤノフを前に出させようということだったのでしょうね。
 理に適った変化ではないでしょうか。



 ジェフは後半13分に、岡山に決定的なシーンを作られます。
 相手右CBにボールが渡ったところで、対面した大島の寄せが非常に緩い。
 そこから少し下がってきたチアゴに浮き玉のパスを出されると、竹内が前に釣りだされる形に。
 チアゴがフリックで前に出すと、竹内の裏を中盤の選手に突かれて、ゴール前まで侵入されてしまいました。


 大島の守備の緩さは困った問題ですけど、その後の対応も気になります。
 今回に限らずですが、バイタルエリアにボールが入った時の対処法に関して。
 CBが前に出るのか、出るなら誰がカバーするのか、ボランチからのプレスバックという選択肢はないのか…。
 現在はFWの守備が緩い分ボランチが前も見なければいけないということもあって、CBが潰しに行くという選択肢しかないのかもしれませんけど、後ろのカバーも含めてバイタルエリアに入った前後の守備の連係に不安が残っている印象です。



 岡山が後方からシンプルにジェフDFラインの裏を突くボールが増えてきて、何度か危ないシーンを作られますが後半24分。
 途中交代で加入した直後の米倉が右サイドでドリブルを仕掛け抜きかけたシーンで、植田がユニフォームを引っ張って米倉を止めようとして、2枚目のイエローカードが提示されます。
 これで、前回ジェフと対戦した試合に続いて、岡山は退場者が出てしまいましたね(笑)


 岡山が1人少ない状況となり後方にスペースが増えたことで、ジェフが攻める時間帯が増えていきます。
 しかし、数的優位にはなり、相手が簡単にジェフの選手をフリーにすることも多かったのですけど、そこを上手く使えていなかった印象でしたね。
 1人多い状況なのに、結局強引なドリブルからチャンスを作ろうとするようなシーンも目立っていました。
 逆にカウンターを潰しきれず、危ないシーンを作られることも。


 しかし、試合の方は両者決め手を欠き、そのまま1−0で終了となってしまいました。
■問題は山積みな状況
 「結果を重視する」ということは、「目標を達成しなければいけない」ということなはずで。
 では、ジェフの「一番の目標」は何かということを考えれば、当然J1昇格となるはずです。


 ということで、この試合もJ1昇格に近づいた試合だったのかどうかが、何よりも肝心ということになります。
 この試合でジェフは6試合ぶりの勝利を飾ったことになるわけですが、1勝できてもここからまた勝ち星がない状況が続けば、J1昇格には遠くなるわけで。
 これはJ1残留争いではないわけで、昨年も簡単に結果が出てしまうことに勘違いをしてしまったところがあるはずで、シーズンを通して流れを読むことが重要となってくると思います。



 5試合勝ちなしの状況での勝利だったわけですが、試合内容の方は芳しいものではなかったですね。
 まず守備が一向に改善しない…。
 いや、改善しない原因はわかっているわけだけど、どうしようもないという状況なのでしょうけどね。
 前線2人の守備が機能しないけれど、ポストと点取り屋の2人は変えられない。
 変えると今度は攻撃に不安が残る…というところなのでしょうし。


 組織的な攻撃を作れる監督ではないから、大島・深井は代えられないのでしょうし。
 実際、攻撃の方も向上していたようには見えなかったですしね。
 相手のミスからのゴールというのは、前節鳥栖戦と同じで。



 正直、岡山が悪かったから勝たせてもらえた試合だったと思います。
 岡山も開幕からあまり進歩していない印象で。
 確かにストヤノフの高性能のロングパスというのは見ていても美しいのですけど、ストヤノフを入れると大きな展開ばかりが増えてしまうんですよね。
 そうすると、ショートパスなどでタメを作るような状況にならないから、相手のスペースが作れない。
 そのスペースがないところにもパスを出してしまうところがすごいところではあるのだけれど、狭いスペースだから受けた後のプレーの難易度も高くなってしまう…と。
 ある意味で弊害ですよね。


 でも、イビチャ・オシム監督の頃のストヤノフはそこまでロングボールを蹴り込むのではなく、ショートパスもつないでいたんですけどね。
 そこはオシム監督が、しっかり手綱を締めていたということなんでしょうか。
 どちらにしても、ちょっと存在が大きすぎるような気もします。



 ということで、岡山にもジェフにもちょっと今回は厳しめで
 元ジェフの多い岡山には素直に頑張ってほしいと思いますし、ジェフもこの1勝で油断するようでは昇格はないと思います。
 現在のジェフは今期の節目に立たされていると思いますし、問題は目に見えて山積みな状況ですから、それを解決する兆しが見えない限りは、前向きには語れないと思います。
 これは一発勝負のトーナメント戦ではなく、長期間戦うリーグ戦なわけですからね。
 ともかく、この1勝で雰囲気だけでも良くなれば…と思います。
 次の試合に期待したいところです。