ジェフ経営情報'11前編 『営業収入』『営業費用』が大幅減

 先月、Jリーグ各クラブの経営情報が発表となりました。
 毎年恒例となっていますので、今年も取り上げてみたいと思います。
 ただ、開示される項目は変わりませんので、これまでのデータと比較するだけのサラったしたものになります。


 まずは『営業収入』に関して。

 ここが今回一番のポイントというか、変化ですね。
 前年から比べて、『広告料収入』、『入場料収入』、『分配金』、『その他』ともに減少し、『営業収入』が3億円以上減少してしまいました。
 『分配金』は仕方ないとしても、この減少分は不景気だけでなくJ2降格の影響がもろに出ているのではないでしょうか。
 特に『入場料収入』で前年比1億5000万円以上減少しているのが、大きな痛手となっています。
 『営業収入』23億600万円はJリーグが経営データを公表し始めた過去6年間、ジェフの中では最低の数値ということになりますね。


 もちろん『営業収入』を増やすことがすべてではなく、無理に収入を増やしてそれ以上の赤字を出しても良くないですし、『資本金』(言わば会社の体力)に見合った経営をしていくことが本来は理想的と考えられるわけですが、今後見ていく『営業支出』や『資本金』の項目などを見ても全体的な状況はあまり良くないように思います。
 続いて、『営業費用』の部。

 『営業費用』の面も『事業費』、『事業費』内に含まれる『人件費』、『一般管理費』も軒並み減少し、4億円弱減少したことになります。
 ただし、『営業収入』が23億600万円なのに対して、『営業費用』は26億2200万円ですから、当然『営業利益』では赤字のままと言うことになります。

 ここが今回もう1つのポイントとなりますね。
 Jリーグの発表するデータでは計算されていない『経常利益』と『当期純利益』の差額である「特別損益」ですが、今年は初めて大きな赤字が出ず、むしろ黒字が残りました。
 プラスになった理由まではわかりませんが、毎年大きな「特別損失」が出るのは監督交代による違約金が原因ではないかと言われており、昨年は江尻監督が1年間指揮を執ったため、ここで大きな赤字が出なかったのではないかと思われます。



 「特別損失」が無かったこともあって、「最終赤字」は前年に比べて3億2600万円ほど縮小傾向にはなりました。
 しかし、それでも3億1200万円以上もの最終赤字が出ており、クラブの経営規模から考えるとかなり大きな額だと思います。
 『営業収入』が減少した1つの理由として、当然J2降格の影響が考えられると思います。
 そのためできる限りの補強を行ったんだとは思いますが(三木社長もそのような話しをサポコミでしていたし)、結局J1昇格は達成できなかったため、より苦しい状況になってしまったということでしょうか。


 2013年にはJリーグクラブライセンス制度を導入することが決定しており、報道の通りだと3年間赤字が続いたクラブはJFL降格(Jリーグライセンス剥奪)になると言われています。
 この流れのままでは、非常に危険な状況であると言えるのではないかと思います。